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 「日吉、今年の夏はどうするの? 夏季講習とかどこかに申込みする?」 
 「ああ。するつもりだ」 
 「どこ? 教えてよ」 
 「どこだっていいじゃないか。なぜお前に教えておく必要がある?」 
 「いいじゃん教えてくれたって。意地悪しないで教えてよ」 
 「イヤだね」 
 「なんで!」 
 「なんでだと? 俺から聞き出してそこへお前も申込みするつもりなんだろ。冗談じゃねえ。夏休みにまでお前につきまとわれてたまるかよ」 
 「ケチ! て言うかそこまでわかってて教えてくれないなんて冷たいよ! まさかお前夏休みの間は俺のことなんかほっとこうとか思ってんのかよ!」 
 「うるせぇな。クラブの方には講習を受けながらでもちゃんと顔を出すさ。合宿にだって参加する。夏休みが終わればすぐにランキング戦だ。成績が下がるのもまずいけど負けるのはもっとイヤだ。だから講習があろうが模試あろうが遅れてもいいから絶対休まねぇで部活には顔を出す。だからお前が休んだりさえしなければ部の方で必ず会える。それでいいじゃねえか」 
 「よくないよ! 会えないのはイヤだから会えるのは嬉しいけど顔だけ拝んでろなんてひどくない? そんなことされたら俺涸れちゃうよ!!」 
 「ふん。結構。涸れてくれるなんてこんな嬉しい話はないね」 
 「……そこまで言うんだ。ふーん。そぉ。わかった。日吉がそういうつもりでいるならもういいよ」 
 「へえ、お前にしちゃ聞き分けがいいじゃないか。もう少し梃子摺るのかとも思ったけどお前も分別がつくようになったんだな」 
 「なに言ってんのさ。お前がそういうつもりなら俺にだって考えはあるって言ったの」 
 「は? えっ……? ちょっ、……! おいっ、こら、待て! ど、どこへ連れて行こうっていうんだ!?」 
 「部室」 
 「ぶ、部室!?」 
 「うん。だってそこなら今は空いてて誰も居ないし来る心配もないし」 
 「ま、待て! そこならって……お前いったいなに考えてる!?」 
 「わざわざ確認をとろうなんて日吉も律儀だね。勿論日吉が考えてるようなコトさ」 
 「ばっ……! 冗談じゃねぇっ……! 放せ!」 
 「ヤだね」 
 「お、鳳っ!」 
 「日吉がいけないんだよ。だって俺の為には時間なんか割かないって言うんだもん。それと俺には秘密で講習受けるとか言うし」 
 「ひ、秘密だなんて言ってねぇだろ! ただ教えたくないって言っただけでっ……! ちょっ! 待った……! 鳳っ……!」 
 「だから俺も考えたんだよ。話し合いにならない場合はやっぱ聞き出すしかないじゃん? だろ? 聞き出す方法なんていくらだってあるしとりあえず今からちょっと俺に付き合ってもらうから」 
 「聞き出すってっ……! む、無理強いするなんて最低な男のやることだぞっ……!」 
 「無理強い? そんなことしないよ。俺がこれからするのはお願いだって」
 「お、お願いって……む、無理強いじゃねえかやっぱ……!」
 「しないって言ってんじゃんそんなコト。お願いしいこといっぱいあるんだよねぇ俺。ふふ。楽しみだなぁ。日吉が意地なんか張るからいけないんだよ? だからお願いしたいことの数がちょっと多いかな? 覚悟、しといてね?」 
 「お、俺が悪かったっ……!! だからっ……! 鳳……っ!」










END

 


 

夏休み前のひと悶着。
こんな風にして鳳に駄々こねられて結局は一緒に講習受ける羽目になるんだと思う。むしろそうでなくちゃ鳳若じゃない。や、日吉は結局は鳳に振り回されて常に悩んでた方が色っぽいくていいよ。

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