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 第一ラウンド終了後、軽く水分補給を行いながら他愛のない会話を続けていた。情事の色が濃く残るベッドの上。たまにはじゃれあったりもして。触れて、触れ合って。繰り返ししたのは啄ばむだけのバードキス。合間に数回だけピクニックキスなんてのも混じっていた。 
 下肢に残る疼きがだんだんと薄れていく感覚と言うのが、それはそれで心地の良いものがあり、こういう時間の潰し方もわりと好きであったりする。 
 赤也の方はどう思って過ごしているかは知れないが。 
 この穏やかな時間と気だるさの残るこの躯。そしてかたわらに赤也。自分にとっては至福の三点セットと言えよう。 
 「先輩、水、もう一本いるっすか?」 
 残りの少なくなったペットボトルをかざして、残量でも確かめているのか。振りながらたずねてきた赤也はベッドから足を下ろそうとしていた。 
 「んー……」 
 ブン太が唸ると短パンを拾い、それを履いて出て行こうとする。 
 その足を慌てて呼び止めた。 
 「赤也、いいよ。わざわざ下に行くことないって」 
 「でももうこれだけっすよ? あと一本くらいあった方が絶対いいっすよ」 
 「じゃあ今でなくてあとで行けよ」 
 今の穏やかなこの空気が壊れてしまうのが、ブン太にはイヤだった。
 今は水よりも赤也をかたわらに置いておきたい。欲しいのは水分ではなくて気配。今この場から赤也の姿がなくなってしまうのはダメなのだ。 
 「赤也」 
 呼んで戻ってくる赤也の手を引いて、彼が持つ温もりを再び自分の上へと誘い込む。 
 だけどそれは行為を促すつもりではなくて、あくまでも温もりを求めてのこと。 
 「ばか、そうじゃねえよ……」 
 だから、胸の突起へと掛かった不埒な手は容赦なくぴしゃりと払って。かわりにこちらから首に手を回してその耳に、抱き締めろと囁く。 
 「しよう、とは言ってねえ。でもあとでさせてやっから……とりあえずぎゅってしてくれ」
 我侭と、項垂れるのと同じような仕種を見せてから唸るが聞かなかったことにすれば問題はない。
 その仕種を見せられたあと少しして、わずかに反応があったのが伝わるが、それだって気付かないフリをしていれば赤也はおとなしくおあずけを食っているしかない。 
 合図を出す権利を得たのは自分、である。 
 存分に甘えさせてもらったらあとでちゃんと願いなら叶えてやるつもりだ。 
 「赤也」 
 恨めしげな目を向ける男に髪を撫でてとねだったら難しい表情が返ってきた。 
 「なんだよ、そのツラ」 
 「あんた、意地悪いっすよ?」 
 「そんなことねえだろよ。こうやって甘えてやってんじゃん」 
 「でも何もするなって言った」 
 「何もするな、とは言ってねえだろ。まだダメだって言ってるだけじゃん。いいからほら、撫でろ」 
 「じゃあ……キスくらいさせてよ」 
 「キス? しょうがねえな……」 
 「……ちっ、ちがうっすよ!」 
 不満げに尖っていた唇にチュッとしたら、ちがうと、怒鳴り声が返ってきた。せっかくしてやったと言うのになにが不満だと言うのか。 
 たずねると、されたらそりゃあ嬉しいけどでも今は自分からしたいのだと返ってきた。 
 「ああ、そういうこと……わかった。ほれ……」 
 ペロリ……。 
 ん? 今のが、キス? 舐めただけではないのか? 
 「……いましたら……多分そのままがぁーって、いっちゃいますよ、オレ……」 
 なるほど。 
 躯と相談してセーブしたと言うわけか。 
 いい子ではないか。 
 笑いながらそう言って褒めてやると、……さらにぐいんと、ちからの増した反応が伝わってきた。
 ふと、それがどうなっていくのか気になって今度はブン太がペロリと、隙をついて赤也の下唇を舐め上げてやった。 
 返ってきたのは獣じみた唸り声と、もう一つ、ひとまわりは大きくなったのではないかと錯覚させる大きな反応だった。










END

 


 

じゃれる赤ブン。赤也のぬくもりが結構好きなブンブン。甘えたがりと言うよりは自分の欲求に忠実な生き物っぽいので、あくまでも自分が望むものを望み、得る為の行動をしてるだけ。

それを考えると赤也って結構お預けくらってることが多そう。エッチの最中だけしか主導権取れないの。それはそれで可愛いと思うからがんばれよって思う。

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