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 満開の桜の下。 
 鳳は、力強く誓った。 
 飲んで飲ませて、ぐでんぐでんにさせて意識を朦朧とさせてから、抱えるようにして連れ帰るのだ。 
 いくら酒に強い日吉でも、日本酒ばかりあまり食わせもしないですすめていたなら、きっと酔うはずである。 
 思えば、最後にエッチをしたのは二週間も前のこと。 
 いくら仕事で忙しいからって、一緒に暮らしててかつ同じベッドで眠っているのにこんな長い間ナニもないなんてのは酷い話でしかない。
 ちょっと肩に触っただけですぐに、疲れてるんだ、触るなとけんもほろろに拒絶され、じゃあキスだけでも粘ればそれまで『うざい』と切り捨てられ、キスですらここ何日もろくにさせてもらえていない。
 だがそれを言われる度、反論がしたくて仕方がなかった。
 だって疲れてるって言うけど冒頭から終局を迎えるまで、動くのは大抵が鳳の方なのだ。日吉はただおとなしく横たわってくれているだけで構わないのに、日吉はまったく愛想がない。 
 だから、考えたのだ。 
 なまじ意識があるからうるさくごちゃごちゃ言われてしまうのであれば、だったらその意識を朦朧とでもさせてしまえばその口も静かになるであろうと。 
 そこで花見をすることを思いついたのだ。折り良くも目星をつけてた場所の桜は満開ときていた。 
 桜を見に行こうと言えばきっと日吉だって断ったりはしないだろう。そう思い誘ってみた。二日前になっていきなり切り出したのだが土曜日であったことと天気も良いと予報されていたことが幸いしたのだろう、最初考えるような仕草を見せたけど、こうして鳳の目論見はまんまとうまく行った。 
 あとは作戦通りに飲ませて、さっさと酔わせてしまえばいいだけの話。 
 「あ、日吉、もうそれほとんどないね。まだいけるだろ? 新しくあけるね。――はいどうぞ!」 
 果たしてどれだけ飲んだならつぶれるかがわからなかったから、一応一升瓶に相当するだけのカップ酒を買い込んでみた。 
 痛い出費だったけど夢を叶えるためである。 
 月曜から弁当を作り始めて昼食代を切り詰めればなんとかやっていけないこともない。 
 「いっぱい買ってあるからどんどんいってね!」 
 

 
 ふわり。

 夢を見る鳳の頭の上に風で舞う花びらが一枚、偶然にも乗っかった。

 吉兆か。

 あるいは風に舞う花びらの如く彼の願いも散るという知らせか。

 残されたカップはあと七個。

 そこから一つを手にとった鳳が口をつけようとしたその時、ふわり、日吉の頭の上にも花びらが降るのだが、煩悩と言う夢に酔う鳳は、花びらが舞っていたことすら気づいておらず、春のうららかな気持ちの良さにちょっぴり気持ちの緩んできている日吉もまた酒を飲むことを楽しんでいるらしく、鳳はともかくなぜか日吉までもが花見に来たのだということ、すっかりと忘れてしまっているようだった。

 

 さて、一杯食わした男が会心の笑みをもらすのか、それとも芝居を打ち男がほくそえんでいるのか、ひらり、はらり、春の風に舞う花びらの向こうにいる人はまだ霞みその姿を判別することは叶わない。


 










END

 


 

社会人でしかも同棲しているらしい鳳若です。

大学の一年の途中くらいから一緒に住むってのが、実は密かに抱えている鳳若同棲設定であります。

鳳んちの持ってるマンションの一つで共同生活をするってのをきちんと両家の親御さん了承のもとで始まるラブラブライフってのが夢なんだよぉ〜。

当然、鳳が世話焼きマンですよ。

日吉、めいっぱい甘やかされてりゃいいですから!

つか、一緒に暮らすようになって鳳のエッチが濃くなって若さん、もう大変ってのがマイ設定ですから!

やぁ〜、いつか柳・乾コンビで謎の薬でも開発されて男が女になれちゃう日が来るのも有になってますから。で、日吉に生ませてあげたいんだな、鳳の子を。

そんないい具合にイっちゃってた頃になぜか書いてた話です。メモにそりゃあここではばらせないくらいのくさりっぷりが証拠として残ってて、思わず削除して床に転がってバカ!?って連呼しちゃったよ!

あはは。なんちゅう妄想してたんでしょうね、う〜ん、ころころの有島が一番腐敗してたんだろうね、多分。

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