<ワンコの気持ち的・・・虹の橋>
犬の十戒と同じくらい有名な詩があります。
その詩は、世界中の共感を持った人たちによって、様々な国語に翻訳されて
大好きな動物と別れることになった人々の寂しい心を癒しています。
出会いと別れ、命ある者の定めではありますが、それでも人はそんな日が来ないことを祈るものです。
思い出の子たちを思い出しつつ、ワンコの気持ち的アレンジをしてみました。。。 ご容赦ください。
<虹の橋>
命とお別れした生き物たちが必ず通る橋があります。
その天にある橋は「虹の橋」と呼ばれています。橋の前広場では、地上で病気だった子も、年老いて目も
見えなかった子も、元気な頃の姿にもどり走り回って遊びます。そこには立てなかったはずのジョンもいます。
メリーも仲良しだったミリーに逢ってはしゃいでいます。ここには大嫌いなクルマもいませんから。
あちらの方では、いろいろな動物たちが暖かい風につつまれて、心地よい幸福感でいっぱいのお顔をしています。
なぜここにいるのかも忘れるほどに・・・
みんな幸せで時を忘れてはいますが、時々、胸がちくっとするときがあります。
理由がわからない不安です。不満のない世界なのになぜか寂しいのです。
でも、ある日・・・
遊び回る仲間たちから、ふと仔犬が突然立ち止まりました。
橋の上を見つめています。
その瞳はきらきら輝き、からだは喜びに震えはじめます。しっぽもちぎれそうなぐらいに。
突然その子はみんなから離れ、緑の草原を飛ぶように駆け出しました。
迎えに来たあなたを見つけたのです。
仔犬はここに来て初めて橋をわたり、再会の喜びに固く抱きあいます。
そしてもう二度と離れたりはしないのです。
幸福のキスがあなたの顔にふりそそぎ、あなたの両手は愛する友を愛撫します。
そしてあなたは、信頼にあふれる友の瞳をもう一度のぞき込むのです。
あなたの人生から長い間失われていたけれど、その心からは一日も消えたことのなかったその瞳を。
それからあなたたちは、一緒に「虹の橋」を渡っていくのです・・・
でも、いつまでたってもお迎えが来ない子たちもいます。
運命に打ちのめされ、飢え、苦しみ・・・虐げられて、誰にも愛されることのなかった子たちです。
仲間たちが1匹また1匹と、それぞれの特別な誰かさんと再会し、橋を楽しげに渡っていくのを、
うらやましげに眺めているのです。この子たちには、特別な誰かさんなどいないのです。
地上にある間、そんな人は現れなかったのです。生きていることすら、しられない存在だったのです。
でも、ある日・・・
愛をしらずに、人しれず命をなくした彼らが、いつものように遊んでいると、橋へと続く道の傍らに、
誰かが立っていることに気がつきました。
その人は、そこに繰り広げられる再会を、うらやましげに眺めているのです。
生きている間、彼はいちども動物と暮したことがありませんでした。
そして彼もまた、運命にみはなされ、飢え、苦しみ、誰にも愛されなかったのです。
ぽつんとたたずむ彼を見て・・・
今までいちども愛されたことのない、寂しい目をした動物が近づいていきます。
どうして彼はひとりぼっちなんだろうと、不思議に思って。
そうして、愛されたことのない者同士が近づくと、そこに奇跡が生まれるのです。
見つめあい、たしかめ合うことで、お互いが気づきます。特別な相手だと。
そう、彼らは一緒になるべくして生まれたのでした。
地上では巡りあうことができなかった、特別な誰かさんと、その愛する友として。
悲しくて、寂しい二つの気持ちが、葉にこぼれた露がひとつになるようにあわさります。
この「虹の橋」のたもとで、ふたつの魂は出会い、苦痛も悲しみも消えて・・・
彼らは共に「虹の橋」を渡って行き、二度と別れることはありません。いつまでも。
<みなさまも、特別な誰かさんと巡り逢えますように・・・>