男の子VS女の子、強い子AND弱い子のこと<副題:新・遺伝について>
                            この記事に関してお寄せいただいたコメント〜月村様

今回のワンコの気持ちは、とても日常的でさりげないテーマなのです。この種の観察視野は、人と共通する部分も多く、犬という動物がいかに人間臭い生き物かを再認識させてくれますね。ただ、あくまでも私達の犬舎でのお話ですので、使用法を良くご確認のうえ、お飲み。。。お読みになってください(笑。著しい副作用はありませんので・・・

男の子VS女の子のこと…
犬舎には、男っぽい男の子、大人っぽい子、ちょっぴり乱暴な子が多いなか、それと反対の性格をもった子達もいます。なよっと、こそこそ、どぎまぎ、びくびくした子達です。女の子専用ランにもいます。男ぽい女の子、おしゃまな子、ちょっぴり強引な子、なよっと、こそこそ、どぎまぎ、びくびくした子達です。あれ!?同じですね。こう書くと、♂&♀の性別にあまり違いが無いように思えませんか? 事実、交配のご依頼に犬舎に来られたお客様が、性別がよくわからなくて、女の子を指差し「あのブラ&クリの男の子でお願いします」とおっしゃったこともありました。でも、同じような性格の男の子と女の子を、よーく見ると微妙に違う点もあります。それは欲を主張する対象と方法が微妙に違うことです。性別に関わらず、おやつやおもちゃなどを自分だけにしたいのは同じですが、自己の主張や他に対する認知、互いの関係と付き合い方は、性別で違う行動をみることが出来ます。とくに男の子と女の子を別けて観察するとその相違点がはっきりします。

男の子達は、抽象的な「モノ」にこだわります。たとえば、ドックランから犬舎の行き帰りなどは、必ず上位の犬が吼えて、周りを威圧し従わせようとします。上下関係が決定していない男の子達は一触即発の精神状態になります。この状態は、関係が決定されるまで毎日続きます。これに対して、女の子達はそんな無駄なことはしません。一番に行けばおやつがあるとか、大好きな飼い主さんがいるなど、具体的な「モノ」にこだわります。男の子達が上下争いで忙しい間に、女の子達はさっさと人間の側に来て可愛くアピール、魅力たっぷりなしぐさでおやつを貰っています。しきたりとメンツが大好きな男の子達にくらべて、彼女達はなんと効率的なのでしょう。乱暴者達が来る頃には、争い事を避けて少し離れた位置に移動しています。そこでまた愛らしくチンチンなんかして、またまた悩殺アピールを繰り返します。生活力は、だんぜん女の子に軍配があがります。

それでは女の子達は争わないのでしょうか。いえいえ、けっこう激しい戦いがあります。男の子達とは違って、情緒的な原因で火花が散ります。それは食べ物や、大好きな場所だけではなくて、「私、あの子が嫌い」という、感情的な衝動が原因でケンカになったりします。この行動は、男の子達にもありますが、直情的で単純な行為で、互いの不仲につながることが多い男の子と比べて、女の子達の不仲は私達人間では原因が理解できない場合があります。彼女達の言葉が理解できない限り本当の理由は解らないはずです。身体の構造が複雑で、ホルモンの働きに強く影響される彼女達が、思考と行動が複雑になっても不思議ではありません。「あのブリッコなとこがイヤ、わけわかんない!なんかイヤ」と、思って威嚇しているのでしょうか。。。ともかく、高級精密機械は取り扱い注意ですぞ・・・男性諸君。

勝ち組、負け組って、流行り言葉がありますが、ワンコ達にこそあてはまる言葉です。歴然とした力の差が、絶対的な上下関係を形成しているからです。人間の場合には、まだ、助け合いの精神(倫理・理性)がありますが、ワンコ達には全くと言っていいほど無いからです。獲物を襲う時とか、子供を育てるとかの本能や、後天的習慣などによる協力する行動はありますが、日頃は固体ごとの能力と、性格(強さ・弱さ)で順位は決まっていますし、強い子グループの中にも順位があって、弱い子グループにも順位があるようです。これらの順位は、めったなことでは変わらない秩序となっています。厳しく、厳格な犬社会のルールなのですね。

不思議なことにカーマインだけかもしれませんが、大人の男と女の激しい争いはありません。
未成熟犬は、性別に関係なく、大人達に教育的指導(服従させようと)を受けますが、成熟月齢に達して群れに認知されると、違う性別では争い事が激減します。私自身、これほどまでの多頭飼いをするまでは、ワンコ達はシーズン中(発情)だけ、互いの性別を意識するものと理解していましたが、どうも違うように思えてなりません。生殖本能=発情は当然ですが、性別によって日常的に態度を変化させてコミュニケーションをとるとは意外でした。大きな骨を独占するレオ君を驚かせてバセロン君はそれを奪いますが、相手が♀の場合は横にちょこんと座り、その子が飽きるのを根気よく待ったりします。強い女の子であるアイちゃんも、男の子達には少し遠慮して「がぅー!!!」の攻撃はしないで、回りをまわりながらチャンスを窺っています・・・おー、恐い。
不思議なことはまだまだあります。同じ性別(女の子の場合)の兄弟は非常に仲良しで、ケンカをすることもほとんどありません。仲良く遊び、一緒に休む姿をよく見せます。男の子の場合も、バセロン君とパティー君は親子なのですが、バセロン君はあきらかに特別扱いをしています。性別、血縁など、ワンコ達にはあまり関係ないと思っていたことが、次々と疑問を最近は感じるようになってきました。いつもながら、彼らを観察していたら時を忘れます。

そして、カーマイン犬舎・ワンコの気持ち的・・・結論は。。。
「やっぱり性格も遺伝する…かも!?」になりました。

性格が良い父、良い母からは、良い子ちゃんは高い確率(以前は、反対論者だったけど)で生まれる。うーん、そんな気がする。まず間違いない。どう考えても。。。そうなんです。走り方、休み方、癖までもそっくりな親子、外見は違うのに内面的行動はコピーちゃんな兄弟達。お里帰りをしてくれた子までもが、うりふたつのウリっ子ちゃん。そうして。。。私の持論は壊滅しました完膚なきまでに。

姿としてのスタンダードを追い求め、内面の美である家庭犬としての優れた性格を創る。それらはすごい努力と忍耐で、やっと達成できる事なのです。やっかいな課題はそれだけではありません。先天的疾患の問題、その犬種特有の欠点を薄めるブリードも考慮しないと、次世代に不安の影を遺すことになります。私達が信頼する、トップブリーダーご夫婦のお話からもその困難が伺い知れます。「完璧は無いですよ。信念のままやるだけです」と、お話されるご主人を強力にささえておられる奥様も「毎日疲れるけど、この子達が大好きだから、平気よ」と、優しいお声でぽつり。

遺伝。。。DNA。。。血統、益々この重要性を感じます。

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