■2002年7月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

今月の潮流●遺伝子組み換え作物で想定外の問題


 Bt(Bacillus thuringiensis)ポテトが、ある害虫には有効だが、別の害虫を繁殖させ無防備になることがわかってきた。Bt毒素は、ヨコバイには効くが、アリマキのような樹液吸虫には効果がない。そのためアリマキに対するポテトの抵抗力を増すために、他の殺虫毒素遺伝子探しが進められてきた。現在研究中の殺虫毒素のレクチンは、葉のグルコアルカロイドを低下させ、ヨコバイに対する抵抗力を低下させるという〔New Scientist 2002/6/2〕。
 また、除草剤耐性大豆は暑さに弱く、茎が裂けて開く現象が見られる。収量の減少も、原因は不明である。
 米国では、Btトウモロコシを餌にしたブタの繁殖率が激減すると報告されている。アイオワ州農務局によれば、ある農家では、ブタの約80%が妊娠せず、この傾向は他の農家でも現れているという。Btトウモロコシを与えると偽性妊娠が起きるためとみられる。やめると偽性妊娠もなくなるという〔Organic Consumers Association機関誌 2002/5/20〕。
 遺伝子組み換え技術が、思いがけない現象を引き起こすことは、以前から指摘されていたが、この間、このような複数の報告が出ている。
ことば
*偽性妊娠
 
妊娠時のような身体的な兆候やホルモン変化を示すため、妊娠したようにみえる状態。