■2013年6月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
●スタック品種の有効性に疑問符

 複数の殺虫成分を組み込んだGM作物(スタック品種)は、想定する防除効果を得られない可能性があることを示す研究結果が、米国アリゾナ大学で報告された。殺虫成分であるBtタンパク質を産生するよう遺伝子を組み換えたBtトウモロコシやBt綿が開発されたが、そのBt毒素に耐性を獲得した害虫が増えてきたため、2種類以上のBt毒素を組み込んだスタック品種が開発された。米国では2011年以降、ほとんどのGM綿が2種類以上のBt毒素を組み込んだ品種に切り替わっている。だが、今回の研究では、Bt毒素「Cry1Ac」に耐性を持つ害虫に、「Cry1Ac」と「Cry2Ab」の2種類のBt毒素を組み込んだBt綿の葉を食べさせたところ、対照群(いずれのBt毒素にも耐性を持たない)よりも有意に生存率が高かったという。「Cry1Ac」に対しては耐性があるので生存できることはわかるが、耐性がないはずの「Cry2Ab」でも生存できる確率が高いことが示された。このため、GM作物開発者が想定している、ある毒素に対して耐性を獲得した害虫を、もう1種類の毒素で退治すると単純にはいかないことが示された。また、Bt毒素「Cry1Ac」に対する耐性が、遺伝的に優性なこともわかった。これまでは、GM品種を栽培する際、非GM品種を栽培する「緩衝地帯」を設ければ、そこで非耐性害虫が繁殖できるため、この非耐性害虫が耐性害虫と交配して生まれる非耐性害虫をBt毒素で殺すことができ、全体としての害虫の発生を抑制できると考えられてきた。だが、耐性遺伝子が優位であれば、非耐性害虫が耐性害虫と交配して生まれる害虫は耐性を持つことになり、Bt毒素に曝露しても生き延びることができる。米国環境保護局(EPA)は現在、緩衝地帯に関する要件を緩和する方向にあるが、害虫による耐性獲得を遅らせるには、より厳しい対応が必要なのではないか、と研究者は指摘している。〔University of Arizona News 2013/3/28〕


●人間に影響を及ぼすGM食品のRNA

 GM作物の安全性評価で、新たな危険性が見過ごされている、とニュージーランド、ブラジル、オーストラリアの共同研究者が指摘した。最近オーストラリアで、遺伝子の働きを止めて新たな性質を持たせるようにしたGM大麦と小麦が開発された。この作物には二本鎖RNA(dsRNA)ができる。最近の研究で、dsRNAは食べものを通して、あるいは皮膚から吸収されるなど、作物から人間や動物に移動することが明らかになり、小麦粉など細かい粒子では吸引などによっても移動する可能性があることがわかった。RNAは通常の細胞構成要素だが、dsRNAは、種や細胞によっては予想外の影響を与える可能性があり、充分な安全性評価をする必要がある、と研究者らは指摘する。ニュージーランド、ブラジル、オーストラリアの三カ国の制度を調べた結果、いずれの国でも、dsRNA分子を含む食品の安全性や影響を適性に評価する安全基準やガイドラインなどが整っていないことがわかったため、この規制の穴を埋めるために、dsRNA製品に適用できるリスク・アセスメント・システムを提案している。〔Centre for Integrated Research in Biosafety, University of Canterbury, New Zealand, European Network of Scientists for Social and Environmental Responsibility (ENSSER) 2013/3/21〕


●GM作物用除草剤がもたらす蝶へのダメージ

 除草剤耐性GMトウモロコシやGM大豆栽培がオオカバマダラ蝶に及ぼす影響について、アイオワ州立大学とミネソタ大学の研究者による新たな研究が報告された。1999年から2010年にかけてGM作物栽培が拡大するとともに、米国中西部でオオカバマダラの卵が推定81%も減少したという。オオカバマダラが卵を産み付け、その幼虫が餌にする植物のトウワタが、GM栽培の際の除草剤散布により農地から激減したことが影響している、という。研究では、毎年オオカバマダラの繁殖期に、ボランティアの手を借りて、生育しているトウワタとその葉に産み付けられたオオカバマダラの卵を数え、集めたデータを分析した。〔Star Tribune 2013/3/16〕


●Bt綿栽培で新たな病害虫対策の農薬使用増加

 インド・パンジャブ州では、Bt綿畑に新たな病害虫が出現した結果、被害が拡大していることがわかった。調査を行ったのは、ナグプールにある綿リサーチ中央研究所で、所長のキラン・クラーンチによると、2003年から2011年の間に、オオタバコガ対策のBt綿栽培に使用する農薬使用量は6599トンから222トンへと減少したが、新たな病害虫対策のための農薬は2909トンから6372トンに増加している。〔The Hindu Business Line 2013/4/9〕


●3種類の除草剤耐性大豆

 独バイエル・クロップサイエンス社とスイス・シンジェンタ社は共同で、米国政府に3種類の除草剤に耐性をもつ大豆の承認申請を提出した。このGM大豆は、グルホシネート・アンモニウム、メソトリオン、イソキサフルトール除草剤に耐性を持たせたもので、広がり続ける「スーパー雑草」対策として開発された。〔Delta Farm Press 2013/3/6〕