■2016年12月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース



●北米事情
●協会を隠れ蓑にしたGMO推進キャンペーンに罰金

 米国ワシントン州で2013年に行われたGM食品表示を求める住民投票の際に、その法案成立阻止を目指したGMO推進派のキャンペーンが州法に違反したとして、ワシントン州サーストン上級裁判所は、食料品製造業者協会に対して1800万ドルの支払いを命じた。州法違反の罰金は600万ドルだが、懲罰のために重加算され、3倍の1800万ドルになった。
食料品製造業者協会は、GMO推進派キャンペーンに1100万ドルを投じた。それらの費用はペプシコ、ネスレ、ゼネラルミルズなどの企業からの拠出金だったが、企業が資金提供を隠すことを望み、協会からの拠出金としていた。そのことが州法違反に問われたのである。〔The Seattle Times 2016/11/2〕


●米国ネスレ社が非GM原料使用へ

 米国ネスレ社が、非GM食品に取り組むことを明らかにした。GM食品表示を望む消費者の意向を受けて、食品企業が相次いでGM作物から非GM作物への原料の切り替えを進めているが、その流れがネスレ社にまで及んだ。最初は、パスタ&ソース「ブイトーニ」の原料に非GM作物を使用するという。同社は、「消費者の信頼に応える出発点だ」と述べた。今後「ブイトーニ」には、「遺伝子組み換え原料使用せず(no GMO ingredients)」と表示されることになる。〔Just Food 2016/10/25〕


●米紙などがGM作物栽培にメリットなしと結論

 『ニューヨーク・タイムズ』紙が、米国などのGM栽培国と、フランスなどの非栽培国を比較して、GM作物は農薬の削減も、収量の増加も果たしていないと結論づけた。『ザ・タイムズ』紙が国連のデータを用いて分析した結果、栽培国の米国やカナダは、非栽培国のドイツやフランスなどに比べて、食糧生産量においてメリットが見られないとした。全米科学アカデミーは、従来の作物に比べてGM作物の収量は増加していないと報告している。米国地質調査所のデータでは、GM作物導入後の米国では、殺虫剤・殺菌剤の使用量は3分の1に減ったが、除草剤の使用量は21%増えた。それに比べてフランスでは、殺虫剤・殺菌剤の使用量は65%減少し、除草剤の使用量も36%減少していた。〔New York Times 2016/10/29〕


●カナダでGMリンゴの初収穫

 カナダ・オカナガン社が開発したGMリンゴ「北極ゴールデン」が初収穫を迎え、2017年頭頃から、米国とカナダの市場に出回ることになる。〔ISAAA 2016/10〕

●欧州事情
●EU離脱で英国政府がGMO政策変更を検討

 英国政府ジョ−ジ・ユースティス農相が、EU離脱にあたり、GMO規制を見直すことを明らかにした。EUの規制を受けなくなることから、GM栽培解禁を示唆したものである。EUの新規則では、各国ごとにGM作物栽培を禁止するか否かを決めることができ、多くの国が禁止している。英国では、イングランドは禁止していないが、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドが栽培を禁止している。〔The Independent 2016/10/26〕


●英国のスーパーが非GM飼料使用食品に切り替え

 英国のスーパーマーケットのウェイトローズが、GM飼料を与えた家畜の肉、牛乳、卵を扱わないことを決めた。英国食品規格庁の調査によると、消費者の大半がGM飼料使用かどうかを表示すべきと思っているという。ウェイトローズでは、これまで家畜の飼料は南米からの輸入GM大豆に依存してきたが、これからは欧州産の非GM大豆に切り替える。これに対して、有機農業を支援している英国土壌協会は「この決定はGM作物大規模使用の終わりの始まりだ」として歓迎した。〔GM Watch 2016/11/2〕