■2017年7月号

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バイオジャーナル

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●アジア事情
●GMマスタードは収量増をもたらさない
 
 インドの遺伝子工学規制委員会(GEAC)は5月11日、インドで初めてGMマスタード(DMH-11)を承認したが(本誌2017年6月号参照)、このマスタードが期待通りには収量の増加をもたらさないことが、デリー大学作物遺伝子操作センターの科学者のプレゼンテーションで明らかになった。それによると、インドではすでに4種類の生産性の高いマスタードがあり、そのうち3種類がGMマスタードと同じDMHシリーズである。なかでもDMH-4はGMマスタードよりも生産性が14.7%も高いという。〔Business Standard 2017/5/16〕
ビハール州、ケララ州に続いて、西ベンガル州政府が、GMマスタードの栽培を許可しないことを決めた。すでに栽培禁止を決めているタミル・ナドゥ州、デリー州を加え、5つの州政府が栽培禁止を決定したことになる。〔The Tribune 2017/5/24〕
●GM汚染
●GMペチュニア、汚染拡大
 
 未承認のGMペチュニアが世界中に拡散している(本誌2017年6月号参照)。日本でもタキイ種苗に続き、サカタのタネなどで汚染が明らかになった。農水省は5月10日、タキイ種苗(京都市)販売のペチュニアに関して、GMペチュニアが確認されたと報告。さらに5月31日には後藤農園(神奈川県寒川町)が育成し、サカタのタネ(神名川県横浜市)が販売していたペチュニア4品種と、ゲブラナガトヨ(茨城県河内町)が育成販売していた6品種が未承認GM品種であることを確認し、回収を命じた。
●省庁動向
●名古屋議定書締結
 
 5月19日、日本政府は遺伝資源に関する「名古屋議定書」締結を閣議決定した。22日に国連事務総長に寄託し、8月20日に効力が生じることになる。名古屋議定書は、2010年名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で成立した。締結までに7年もかかったのは、産業界の抵抗が強かったからである。同じCOP10で成立した、遺伝子組み換え生物に関する「名古屋・クアラルンプール補足議定書」は締結が遅れている。

●GM食品添加物の安全審査さらに簡略に
 
 厚労省がGM食品添加物の審査をさらに緩和する改正を5月15日に告示した。GM食品添加物はこれまで、同じ生物のみの遺伝子を用いた組み換えであるセルフクローニングで製造する添加物、自然界でも起きている組み換えであるナチュラルオカレンスで製造した添加物、不純物を減らした高度精製の添加物に関しては、手続きの簡素化が図られてきたが、今回は、その中の高度精製品に関して、さらに食品安全委員会での審査を省略する、届け出制に変更した。

●消費者庁によるGM食品に関する意識調査
 
 消費者庁はGM食品表示検討委員会を開始するにあたり、消費者の意識調査を行なった。実施期間は2016年12月12日から2017年1月4日で、ウェブでの調査である。回答者は男性5296人、女性5352人の計10,648人。それによると、組み換えDNAの認知度に関しては「知っている、聞いたことがある」が69.6%。安全審査に関しては「知っている、聞いたことがある」が61.3%だった。GM食品に不安があるかという質問に対しては、「不安がある」が40.7%、「不安はない」が11.4%で、「気にしない」「分からない」を除くと、不安を持つ人は約8割を占めている。また、「不安がある」「不安はない」人でGM食品を忌避している人は83.0%だった。