■2019年9月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●ジカンバ系除草剤認可取り消しを求め、EPAとバイエルを提訴

 米国の農民団体と環境保護団体の4団体が、除草剤ジカンバとラウンドアップの混合剤「XtendiMax」を認可した環境保護庁(EPA)と製造したバイエル社(旧モンサント社)を再度訴えた。EPAは2016年に「XtendiMax」を承認し、それに対して4団体は訴訟を起こした。しかしEPAは、判決が出る直前の2018年に認可を更新したため、新たな訴訟が必要となっていた。その後、モンサント社のジカンバ耐性大豆と綿の栽培によりジカンバの被害が拡大したため、今回、新たな訴訟に踏み切った。〔New Food Magazine 2019/08/14〕


●米国穀物団体らがゲノム編集に規制を求める

 全米穀物飼料協会(NGFA)は他の業界団体とともに、ゲノム編集など新しいバイオテクノロジーの規制をしないのは問題であり、「将来的に貿易を混乱に陥れる危険性がある」という声明を発表した。名前を連ねたのは、トウモロコシ精製者協会、全米油糧加工業者協会、北米輸出穀物協会、北米製粉者協会。それによると、6月6日に政府が示した規則では、ゲノム編集生物にかんして、農務省の動植物衛生検査局(APHIS)の監視を免れることになっている。このままでは遺伝子操作した生物を自由に開発し提供してよいことになる。これでは貿易上の混乱を回避することができないため、APHISがすべての情報を掌握して提供するべきであると訴えた。〔World-Grain.com 2019/8/7〕


●発癌物質の記載なきグリホサートの販売をめぐり提訴

 米国の市民が8月5日、カリフォルニア州のホームセンターのホーム・デポを、「発癌性の可能性がある」旨の表示をせずにラウンドアップを販売したとして、カリフォルニア連邦地裁に提訴した。続いて7日には、ホームセンターのロウズを同様に提訴した。同州では2017年、ラウンドアップの主成分グリホサートを発癌物質として正式に認定し、発癌化学物質リストに登録。グリホサート製品には「発癌性の可能性がある」旨の表示をしなければならない。〔Sustainable Pulse 2019/8/8〕
これに対して環境保護庁(EPA)は、グリホサートが癌の原因であるかのような表示は誤解を招くため認めないと発表し、カリフォルニア州との立場の違いを鮮明にした。〔Merco Press 2019/8/10〕


●中南米事情
●パラグアイの農薬被害救済を国連が要請

 パラグアイでは、多国籍企業による大規模なGM大豆栽培が展開され、その結果、農薬による汚染が拡大し、人々の健康被害が深刻になっている。すでに8年が経過しているが、その間なんの調査も行われてこなかった。そのため国連人権高等弁務官事務所は、徹底的な調査と、責任者を訴追し被害者を救済するよう要請した。〔United Nations Human Rights Office of the High Commissioner 2019/8/14〕


●遺伝子組み換え作物
●新たな殺虫毒素にも抵抗を示す害虫

 トウモロコシや綿の害虫オオタバコガは、いまやほとんどの農薬の殺虫毒素に耐性を持つようになった。そのためスイスのシンジェンタ社は、新たなBt毒素「Vip3A」を導入したトウモロコシを開発したが、それにもオオタバコガは耐性を持ったことが報告された。耐性を確認したテキサスA&M大学の昆虫学者のデイビッド・カーンズ(David Kerns)は、「トウモロコシで耐性を獲得すると、次の世代では綿に対して耐性を持つようになる」と述べている。〔DTN Progressive Farmer 2019/8/1〕