■2021年9月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●アジア事情
●輸入漬物からGMパパイヤ検出
 7月9日、東京検疫所で、合同会社智太がフィリピンから輸入したパパイヤの酢づけからGMパパイヤが検出された。そのため政府は、輸入企業に自主的な検査を行うよう求めた。8月16日には自主検査により、インターフレッシュ社がベトナムから輸入した漬物から違法GMパパイヤが見つかった。いずれも積戻しか廃棄が求められた。見つかったパパイヤはどちらもリングスポット病耐性パパイヤで、どこで開発されたGMパパイヤかは調べられていない。
●インドでBt綿への害虫の異常発生
 インドのBt綿は、4年ごとに害虫のピンク・ボールワームの攻撃を受けてきたが、今年もマハラシュトラ州ヴィダルバのBt綿栽培農家がこの害虫の攻撃にさらされた。この害虫により30%の減収が予想されるという。〔The Times of India 2021/8/6〕

●オセアニア事情
●GM大豆バーガー、豪州とNZでの市場化目指す
 インポッシブル・バーガーを製造・販売しているインポッシブル・フーズ社は、オーストラリアとニュージーランドで2年以内の市場化を目指している。そのため、両国共通の食品の安全に関する規制機関であるオーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)は、このバーガーの原料であるGM大豆の、肉から生じるような血に類似した物質(レグヘモグロビン、SLH)について安全性評価を行なっている。SLHは、大豆の根に存在するイースト菌をGM技術で改造したもので、食経験がない物質である。大豆にもイースト菌にもGM技術を用いたインポッシブル・バーガーは、安全性に強い懸念がもたれており、FSANZの評価が注目される。〔FoE Australia/Gene Ethics 2021/8/3〕

●ゲノム編集
●ゲノム編集魚の市場化間近
 本年早々、厚労省によるゲノム編集魚の承認に向けた動きが始まり、その検討が7月に終了した。これはリージョナルフィッシュ社の「肉厚マダイ」の承認に向けたもので、読売新聞は8月19日付で、間もなく市場化されると報道した。リ社は京都大学内にあるベンチャー企業で、立ち上げたのは京都大学の木下政人助教と近畿大学の家戸敬太郎教授。二人はゲノム編集技術を用いて成長が早い「肉厚マダイ」を開発してきた。木下助教は同じ技術で肉厚トラフグも開発している。一方、家戸教授は養殖しにくいサツキマスなどの養殖技術を開発してきた。そのほか、九州大学農学研究院附属アクアバイオリソース創出センターの大賀浩史助教授は、ゲノム編集技術を用いて養殖しやすいマサバの開発を進めている。ゲノム編集魚の開発は活発で、政府はこれらの魚に関して、環境影響評価も、食品としての安全性評価も、表示も不要としている。ゲノム編集魚の種類は今後、増え続けていくものと思われる。