■2024年5月号

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バイオジャーナル

食品安全委員会がGM食品・添加物の安全審査を緩和

 

内閣府食品安全委員会は2024年3月27日、これまでGM食品の安全性を守るために行ってきた、安全性評価基準に基づく規制を変更し、新たに「遺伝子組換え食品(種子植物)に関する食品健康影響評価指針(案)」を提案し、一般からの意見募集を行った。
GM食品の安全性評価基準から食品健康影響評価指針への変更は、安全性評価が義務づけられる基準から、規制力が一段階下がる倫理基準に過ぎない指針への変更となる。また「安全性評価」から「食品健康影響評価」への変更は、安全性という広い範囲から、食品健康影響のみに範囲を狭めたことになり、食の安全性を守ろうという姿勢の弱体化といえる。
内容的には、評価の方法を国際基準に合わせることが示された。現在、国際基準は安全性よりも経済性を優先し、規制が弱くなっている。そのため国際基準に合わせることは規制緩和につながりかねない。現行の国際基準は科学的根拠の名のもとに、問題が起きるまで規制されないことが多く、予防原則は適用されていない。
またGM食品の安全性で特に重要なのが、予期せぬ影響である。新たな指針案では、現行の安全性評価基準の「遺伝子組換え食品(種子植物)がヒトの健康に対し予期せぬ有害影響を与える可能性を最小限にするための充分なデータ又は情報が必要とされる」という文章が削除され、安全性への取り組みが簡略化されている。 GM食品に関しては、昨年、表示制度が変更され「遺伝子組み換えでない」「遺伝子組み換え不使用」表示がほとんどできなくなったが、今回は安全審査までも簡略化された。
同日、内閣府食品安全委員会は「遺伝子組換え微生物を利用して製造された添加物の安全性評価基準の一部改正について」をまとめ、一般からの意見を募集した。GM食品添加物においても食品同様、安全性評価基準に基づく規制を変更し、新たに「遺伝子組換え微生物を利用して製造された添加物に関する食品健康影響評価指針(案)」とした。基準から指針への変更、安全性評価から食品健康影響評価への変更であり、国際基準重視である。それは食品同様、安全性軽視といえる。