■2025年8月号

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バイオジャーナル

ニュース


●欧州事情
●EUのGMO規制緩和案の交渉行き詰まる

 6月26日、欧州議会のメンバーが、6月30日に行われる予定の欧州議会、欧州理事会、欧州委員会の三者による最終会合の中止を求めた。翌6月27日、正式に中止となった。最初に三者会合が開かれた4月22日以降、欧州議会では少なくとも15回の技術会議と2回の政治グループ指導者会議を開催した。しかし、欧州委員会と欧州理事会は「6つの重要な課題」について妥協点を見つけるための作業を何もしてこなかった、と欧州議会のある議員は指摘する。持続可能な農業や食品のための新しいGMOへの認可の制限、新しいGMOの定義、環境への影響の監視、健康または環境問題が発生した場合の対応、有機およびGMOフリーに取り組んでいる企業や人々の保護、トレーサビリティと食品表示、この6つの課題はこの問題では必須なのだが、それらが無視されようとしている、と同議員は述べた。7月1日に欧州理事会の議長国がポーランドからデンマークに替わるが、デンマークもまた、GMO規制緩和を強く支持している。〔ENGA 2025/6/27〕

●アジア事情
●インドの綿生産に致命的打撃をもたらしたBt綿

 2025年7月11日、インドの農業大臣Shivraj Singh Chouhanは、綿生産に関する会議を開いた。目的は、綿の生産性の向上で、事前に農家から提案を募集していた。インドにおける綿の生産性は近年低下が著しく、最近ではTSV(タバコ条斑ウイルス)によるBt綿の被害が激しく、農家は深刻な苦境に立たされている。コインバトールで開かれたこの会議には、綿栽培農家の代表者、農民組織、インド農業研究協議会(ICAR)の科学者(ICAR事務局長を含む)、綿花生産州の州農業大臣、州政府関係者、綿花業界の代表者、農業大学の専門家が参加した。
この会議に対して、インドにおける綿研究の第一人者で、40年以上にわたって世界の綿を研究している生物学者アンドリュー・ポール・グティエレスは、次のように指摘した。

1、この問題の根本は、種子会社とインドの規制当局および研究機関との癒着
2、ハイブリッド品種はインド特有のものだが、種子の価格が高い
3、綿の主要な害虫ピンク・ボールワーム(PBW)とアメリカ・ボールワーム(ABW)の異常発生は、Bt綿の導入、殺虫剤の大量使用に起因している
4、ピンク・ボールワームの殺虫剤への耐性はインド全土で高くなっており、殺虫剤の使用は新しい害虫(コナジラミ、ジャシド、ダニなど)を誘発している
5、ハイブリッド綿、Bt綿の普及により、何百年にわたって受け継がれてきた地域の風土に適応した在来綿の品種が失われた。
そして最後に、ハイブリット綿、Bt綿の早期の使用中止と在来品種の復活を求めた。〔countercurrents 2025/7/16〕