■2025年10月号

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バイオジャーナル

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●ゲノム編集
●ゲノム編集黄色トマトが新たに届け出される

 9月8日、サナテックライフサイエンス社(旧サナテックシード社)が新たなゲノム編集トマト「高GABA黄色トマト」を届け出た。従来と同様の方法でグルタミン酸にかかわる遺伝子を壊しGABAを増やしたものである。黄色トマトであることから、ミニトマトと思われる。これにより同社が届け出たトマトは、ミニトマト、中玉トマトに次いで3種類になり、日本で届け出られたゲノム編集食品は9品目になった。市民団体OKシードプロジェクトの調査によると、機能性表示食品届け出の際に掲載された産地は、当初熊本県に限定されていたが、2023年10月の届け出の際には茨城県、栃木県、千葉県、長野県、2024年6月には秋田県、2025年7月には山梨県、広島県、長崎県、宮崎県が追加されていた。

●英国におけるゲノム編集食品をめぐる攻防

 英国の「The Telegraph」紙(2025年8月30日付)が、ゲノム編集食品推進の記事を掲載した。それによると、年明けにも英国のスーパーの棚に、発がん物質アクリルアミド低減小麦を用いたパン、日持ちイチゴ、日持ちバナナ、味覚改善により甘くしたレタス、耐病性ジャガイモが市場に出るだろうと報じた。これに対してGMWatchは、これらの作物はほとんど商業化の準備さえできておらず、しかもどれも必要なく求められているものでもない、と指摘した。日持ちバナナはフィリピンなどで承認されているが、まだ出回っておらず、アクリルアミド低減小麦に至っては技術的な問題が発生しており市場化は困難だ、とも指摘した。(GMWatch 2025/9/13)

●異種移植
●中国でゲノム編集ブタの肺を脳死患者に移植

 中国の広州医科大学付属第一病院の何建行らの研究チームは、ゲノム編集したブタの肺の人間への移植を行なった。広西特産の巴馬香豚の左肺を脳死患者に移植したものである。拒絶反応を抑えるため、遺伝子を6か所ゲノム編集した。9日間生命は維持したが、その間、異種移植で最も懸念される超急性拒絶反応は見られなかった。これまで異種移植は、腎臓、心臓、肝臓に限定されていたが、初めて肺の移植が行われた。研究は家族の要望により9日間で中止された。(人民網日本語版 2025/8/26)