■200年月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
未承認トウモロコシBt10、名古屋港で検出

 農水省は6月1日、5月26日に名古屋港で荷揚げされた米国産飼料用トウモロコシから、未承認の殺虫性トウモロコシ「Bt10」が検出された、と発表した。
 5月30日(6月3日発表)には苫小牧港でも検出されたため、同省は検査対象を日本に入港する全船に拡大した。
 5月26日、衆院議員会館内で行われた集会で農水省・厚労省は、4月15日に欧州委員会がとった、Bt10の混入がないと証明されない限り、トウモロコシ・グルテン飼料、エタノール副産物飼料の輸入を禁止する、事実上米国産トウモロコシの輸入を禁止した措置に関し(前号参照)、日本では検出されれば積み戻しを命じるので、対応は欧州並みであるとする見解を述べた。

中国違法Bt米、対応は困難とする政府見解

 中国で違法栽培・流通していたBt米について、農水省は4月22日、政府が保有する中国産米(14万5000トン)のエライザー法による殺虫毒素Cry1Ac検査を行ったが検出されなかった、と発表した。それ以前には、日本に輸出されるコメには湖北省産がないこと、栽培されたコメはインディカ米であり、主食用として入ってくる可能性がないと述べていた。
 5月26日、衆院議員会館内で行われた集会で、農水省・厚労省に対して、湖北省以外で栽培されている可能性と、PCR法による精確な検査をしていない点に関して質問が出たが、両省は中国政府に詳細な情報の提供を求めているが、まだその回答がないため、これ以上の対応が図れないとした。
 6月13日、湖北省、広東省でBt米が市販されていることがグリーンピースによって判明した。なお4月27日に、中国はカルタヘナ議定書を批准した。

複数の除草剤耐性イネ開発へ

 独立行政法人・農業生物資源研究所は、人間の肝臓から取り出した遺伝子をイネに導入する試験を開始した。この遺伝子は、体内に取り込まれた化学物質を分解する「CPY2B6」酵素をつくり出し、複数の除草剤に抵抗力を持つため、現在のように1種類にしか抵抗力を持たないものに比べて、特定の農薬への依存度が低くなる、というのが開発の狙いのようだ。しかし、多剤耐性雑草をつくり出す危険があると、研究者は警告している。〔Organic Consumers Association 2005/4/24〕

GM作物開発、途上国の状況

 5月6日、FAO(国連食料農業機関)は「発展途上国におけるGM作物研究・応用の現況」と題する報告書を発表した。栽培国・開発国の中で目立った動きを見せている国は、すでに栽培国となっている中国、アルゼンチン、南アフリカ。非栽培国の中では、エジプト、キューバで開発が活発である。
 5月11日には、UNCTAD(国連貿易開発会議)が「GMOsとGM製品にかかわる国際貿易」と題する報告書を発表したが、ここでは途上国がGM作物をめぐる米国・EUの争いに巻き込まれている、と述べている。
 途上国でのGM作物開発は、ほとんどが多国籍企業との共同開発であり、将来的にはそれらの企業による種子支配が懸念される。

新ゴールデンライス商業化目指す

 IRRI(国際イネ研究所)のロバート・ジグラー所長は、ベータ・カロチンを多く含む新型ゴールデンライス(GR2)について、2年以内に野外試験を始め、5年以内に商業栽培を開始したい、と述べた。ベータ・カロチンは体内でビタミンAに変わるため、栄養失調の子どもたちが多い貧しい地域で有効だとして、開発が進められている。 〔日本農業新聞 2005/6/5〕

ブラジルなどでGMコーヒー開発

 ブラジル、フランス、米国などで、カフェインのないもの、生産が容易なもの、病気に強いものなどのGMコーヒーが開発されている。しかしコーヒーは多年生の樹木であるため、いったん栽培すると影響が大きく、市場に出るまでに15〜20年程度かかるだろうと、ブラジル農業省研究機関の研究者ルイズ・ゴンザガ・ヴィエイラは述べている。 〔Planet Ark 2005/5/19〕

●北米事情
アラスカ州がGM魚の表示義務化

 米アラスカ州議会は、GM魚の表示を義務化する法案を可決成立した。米FDA(食品医薬品局)が、GMサケの認可を検討していることへの対抗策として打ち出したもの。 〔Peninsula Clarion 2005/5〕


エチオピア代表の入国が拒否される

 カナダ・モントリオールで5月30日から、第2回カルタヘナ議定書締約国会議が開催された。その直前の25日から開かれた、賠償責任に関するワーキンググループの会議も含めて出席しようとした、エチオピアのTewolde Berhan Gebre Egziabher 博士に対して、カナダ政府が入国ビザの発給を拒否した。博士は途上国グループのリーダー的存在であり、途上国や環境保護団体からの批判の声を受け発給、同博士はワーキンググループの会議の最終日にモントリオールに到着した。

●アジア事情
インド政府、GM綿の種子販売更新拒否

 インド政府の遺伝子組み換え承認委員会は、南インドにあるアンドラ・プラデーシュ州でのモンサント社のBt綿種子販売許可の更新を拒否した。2002年3月に販売が許可されたが、害虫被害防止に効果が得られなかったためと見られる。 〔Aljazeera 2005/5/3〕


●遺伝子組み換え動物
抗がん剤生産用のGM鶏

 6月3日、クローン羊を誕生させたことで有名になった英国のロスリン研究所は、米英のバイオ企業2社と共同で、がん治療用の抗体を多く含む卵を産むGM鶏を開発した、と発表した。報道では、5年以内に商業生産を目指すとしているが、GM動物製品はウイルスなど安全面での課題が多く、これまで商業化されたものはない。 〔共同 2005/6/3〕