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関係代名詞の継続用法(非制限用法;連続用法)

英文

Yesterday evening I returned from the army at Potidaea, and having been a good while away, I thought that I should like to go and look at my old haunts. So I went into the palaestra of Taureas, which is over against the temple adjoining the porch of the King Archon, and there I found a number of persons, most of whom I knew, but not all.

翻訳作業

Yesterday evening I returned from the army at Potidaea, and having been a good while away, I thought that I should like to go and look at my old haunts.

この文は実質的に、Yesterday evening...Potidaea. と And haviing...haunts. の2文に分けることができる。

まず、Yesterday evening I returned from the army at Potidaea,
この文の主語(S)は I、動詞(V)は returned。「SはVした」でいいので、「私は戻った」。いつか? 「昨日の夜(夕方)」。どこから? 「ポティデアの軍隊から」。高校のときに使っていた世界史の地図帳には「ポティデア」とある。弟のもそう。前出の角川文庫版の『ソクラテスの弁明』のP215の「ソクラテス関連地名図」では、「ポティダイア」と記されている。これでいく。
「昨日の夜、私はポティダイアの戦陣から戻ってきた」

and having been a good while away, I thought that I should like to go and look at my old haunts.
and は〔接続詞〕。無視すると、having という始まりになる。可能性が一番高いのは、〔分詞構文〕。〔完了形〕になっているので、〔主節〕の thought よりも〔過去〕または、そのときまでの〔継続〕だ。away は〔副詞〕なので a は、while のものだろう。使われ方から while は〔接続詞〕ではないので、〔名詞〕。「しばらくの間」。good は「よい」だと意味がおかしくなるので、「かなりの」という〔形容詞〕。その場合、前に a が来るので、大いに自信を持って、a good while は「かなりの間」。away は「離れて」。
I thought that は、that以降の節を「思った」ということ。would like to は、「〜したいと思う」の控えめな表現。この would が should になっているだけ。ほとんど同じだろう。違いは分からない。これはイギリス英語で、しかも少し古いから、1人称は would より should が好まれるのかも。haunts は、〔名詞〕で、「お気に入りの場所」「よく行く場所」「たまり場」。
「そして、私はかなり長い間(アテネを)離れていたので、古くからのなじみの場所へ行って、この目で見てみたいと思ったのだ」

So I went into the palaestra of Taureas, which is over against the temple adjoining the porch of the King Archon, and there I found a number of persons, most of whom I knew, but not all.

最初のコンマまでは問題ない。「それで私はタウレアスの体育場へ入って行った」。この体育場はソクラテスのよく行く場所だったのだろう。

〔関係代名詞which〕の前にコンマがある。これは〔継続(連続)用法〕とか〔非制限用法〕とか呼ばれていて、多くの英文法書では、「先行詞より先に訳すな」「先行詞を修飾しているように訳すな」とある。でも、赤本や大学受験問題集などの長文訳を見ると、そんなことは無視している部分も多くある。これは、原理原則よりも、その文の状況に応じて考えるべきものなのだろう。
例えば、ここでは、which は、the palaestra of Taureas を指している。これは多分、アテネに1つしかない。原則からいけば、関係節を先行詞より先に訳してはいけない。でも、「筆頭執政官の柱廊に隣接している神殿の真向かいにあるタウレアスの体育場へ入って行った」もいいと思う。ソクラテスは、この体育場を知っている人物たちに語っているのだろうか。それとも知らない人物に語っているのだろうか。その違いによっても訳を変えたほうがよいと思われる。
前ファイルでも「筆頭執政官」と訳したけれど、ひょっとする「アルコン王」という人が昔いて、その宮殿だったところを、そう呼んでいるのかも知れない。the temple は、ギリシャらしく「神殿」がいいと思う。against は「〜の向かい」でいいだろうが、over は、何だろう。後ろに〔名詞〕はないので、〔副詞〕だろう。〔副詞〕ならば、against以降の〔句〕を修飾しているはず。「はじめから終わりまで」ではないか。「はじめから終わりまで、〜のずっと向かい」という意味で「真向かい」ということにする。
「そこは、筆頭執政官の屋敷の柱廊に隣接している神殿の真向かいにあるのだが」。

there=in[at] the palaestra of Taureas。a number of は、「たくさんの」か「ある程度の数の」か、のどちらか。ここは「たくさんの」「多数の」を選ぶ。
most of whom I knew は、またまた〔関係詞節〕。(and) I knew most of them という内容。その後の but not all は、but I didn't know all of them という内容。本当は them ではなく whom。not all の順にあれば〔部分否定〕。「すべて〜なわけではない」
「そして、そこでたくさんの人を見つけた。彼らのほとんどは知っていた。でも、みんなを知っていたわけではない」

暫定日本語訳

ナレーター(ソクラテス):
昨日の夜、私はポティダイアの戦陣から戻ってきた。そして、私はかなり長い間アテネを離れていたので、古くからのなじみの場所へ行って、この目で見てみたいと思ったのだ。それで、タウレアスの体育場に入っていた。それは、筆頭執政官の屋敷の柱廊に隣接している神殿の真向かいにある。そこには、たくさんの人がいた。ほとんどは知った人だったが、全員は分からなかった。

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