鑑真号の船内では、日本円が使え、バスに乗ったり、飲み物を飲んだりするくらいは、昨日交換した人民幣で充分事足りた。しかし、ホテルの宿泊代や列車の切符を買うためには、外貨兌換券(外国人用の中国元紙幣)が必要だ。円建てのトラベラーズチェック(旅行者用小切手)を持ってきていたので、和平飯店(Peace Hotel)内の中国銀行へ両替に出かけることにした。
行きはバスで行ったと思うが、忘れてしまった。和平飯店に着いて、ロビーにある中国銀行の出張所?に行くと、時間がまだだ、と言う。中国では、レストランでも何でも時間が決まっていて、そのとき以外は受け付けてくれない。銀行なら、なおさらだ。当たり前だと思うかもしれないが、このぐちっぽくなる気持ちは、当時の中国を旅行した人なら、わかってくれるはずだ。その話は、別の機会に。
和平飯店(中国語でHe-ping fandian)は、上海でも老舗(しにせ)中の老舗で、東西にのびる南京東路の東の端にあり、ある程度の階からは、黄浦江を見下ろすことができる。黄浦江は、長江に流れ込む支流で、ここからはすぐに長江に合流し、その長江もすぐに海に流れ出している。私たちもこの黄浦江の船着場で、鑑真号を下船した。また、和平飯店から歩いてすぐの黄浦江沿いは、外灘(Wai-tan)またはバンドと呼ばれる市民の憩いの場でもある。毎朝6時ともなると、市民が続々と集まり、いっせいに太極拳を始めるそうだ。中には、剣を持って舞っている人もいるとか。
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人民公園だったかも |
さて、時間つぶしに、和平飯店内をうろつきまわっていると、高級なみやげ物ばかりが並んでいる。思わず「高いなー」と声を発すると、隣にいた白人女性が、「東京はもっと高いでしょ(Much more expensive in Tokyo.)」と突っ込んできた。返す言葉がなかった。中国の他の商店に置いてある同質の物より、値段が高く設定されているのだが、日本と比べられては・・・。その白人女性は、日本にも出かけたことがあり、その物価の高さに辟易したそうだ。
宿泊客は、ほとんど外国人で、中国国際旅行社もロビーにある(あとで、地図で確認したら、旅行社は和平飯店の2軒離れた隣にあったようだ)。国際旅行社は、外国人旅行者の中国国内のホテル予約、飛行機・列車のチケット予約などを一手に引き受けている、国営の独占企業だ。大きな都市のNo.1ホテルには、だいたい支店がある。確かなことは確かなのだが、手数料が高くついたり、不必要にぜいたくな部屋や席を予約されたりするので、私たち貧乏旅行者には、敷居が高い。
中国銀行は、なかなか業務を開始してくれない。と、日本語で話しかけてくる若者がいた。もう、だまされません。その若者の話だと、近くに友諠商店(外国人用デパート)があって、そこで両替をしてくれるそうだ。一緒に上海友諠商店へ。5階建てのビルで、かつてのイギリス領事館の構内に建てられているそうだ。換金は無事終了。ついでなので、店内をいろいろ見て回った。みやげ物と食料を少々調達。若者と別れた。
昨日の盗難事件のことだが、私は財布を盗られたと書いたが、トラベラーズチェックは、パスポートとともに、肌身離さずに持っていたので、被害額は数万円だった。これは、日本に帰国して、空港から自宅にたどり着くだけあればいい、と思って持っていた日本円だった。もちろん、かなり余裕をみてあるが・・・。高い勉強代だと思って、あきらめるしかない。
しかし、Y君の小型高性能ラジオは、事情が違うのである。入国の際に、中国国内に持ち込む貴重品を、用紙に記入させられた。その貴重品が、出国の際にないと、まずいようなのだ。中国国内で、売りさばいたと解釈されるのだ。何の罪になるかは知らないが、とにかく、犯罪なのである。捕まらないように、公安局(gonganju 警察署)に、被害届を出しておかなければならない。
地図を頼りにさがしたが、見つからない。今後の旅行計画のことを考えて、列車の時刻表を買うために、新華書店(当時、中国で本屋といったら、新華書店。もちろん国営)へ入ったが、時刻表も見つからなかった。しかたないので、宿泊ホテルの華僑飯店の前の人民公園に入った。入園料1角(jiao 1元の10分の1=約4円)。いつのまにか、南京東路の東端の外灘から、西端(本当は西端を通り越して、もう南京西路に入っている)の華僑飯店まで、戻っていた。南京東路の北にそれたり、南の筋を歩いたりして来たので、2kmくらいは歩いたんじゃないだろうか。
人民公園(Renmin gongyuan)は、やたらとアベックが多い。ラヴラヴ(ラブラブ)で、いちゃつきどおし。勘弁してくれ。発見!小さな子供のズボンは、お尻のところが、丸く穴が空いている。どうやら、いつでもすぐに、用が足せるようにしてあるらしいのだ。私が座っている目の前で、子供が前のめりに倒れて、見てくれと言わんばかりに、お尻が丸出し。笑いが吹き出すのを、がまんできなかった。
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国際飯店 |
上海市図書館? |
時間が来たので、約束どおり、雑技場の受付前に行って待ったが、自称外語大出は、現れなかった。外語大出(がいごだいで)とは、外語大出身者とか外語大卒(業者)という意味だ。間違えているわけではない。まあ、来るはずはないか。結局、上海雑技団の公演は、観ずに帰った。
雑技場の近くの食堂で食べた夕食、チャーハンとトマトのスープは、美味しかった。很好吃了(Hen haochi le. とても美味しかった)9角(約36円)。
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日記代わりの大学ノートには、「4月18日 上海」と書かれているだけだ。おそらく疲れて、バタン、キューだったんだろう。こづかい帳を頼りに思い出して書いてみるが、行動した順序は、正確ではない。
日記を書いていたり、こづかい帳をつけていたりと、きちょうめんな性格のように思うかもしれないが、とんでもない。私の塾に通ってきてくれている塾生さん(うちでは、研究生と呼んでいる)は、それをよくご存知だ。私の机のある部屋の中ときたら、床にはコピー用紙の包み紙が、丸めて置いてあるし、机の上は書類やら本やらCDなどが、雑然と積んである。さらに、水筒・お弁当・みかんなども置いてあるから、たまったものではない。どこで作業しているかというと、必要なものを持っていって、講義室の生徒の机でやっている。そうだ、私の話はどうでもいい。
朝起きて、ホテル備え付けのラジオをつけると、流行歌?がかかっている。「一休さん」の中国語版が、何度も流れた。
上海市内のバスは、どこまで乗ろうが、4分(fen 1元の100分の1の単位、4分で約1.6円)なので楽だ。いちいち、いくらか訊ねなくてすむ。だだし、路線が本当にたくさんあり、どの番号のバスに乗ればいいのか、戸惑うばかり。何とか公安局を探し出して、苦労して被害届を済ませた。これで一安心。出国の際に、身柄を拘束されることはない。ちょっと大げさか。
すっかり予定が狂ってしまったが、気持ちがせいて、明日南京(Nan-jing)へ出発することにした。新しい土地で、気分一新だ。上海駅に切符を買いに行く。この駅は北站(beizhan)というらしい。すごい人である。南京まで14元6角(約600円)だった。・・・・・、大変な思い違いをしていた。いろいろ考えたら、切符は華僑飯店で手配してもらったのだ。華僑飯店なのか、華僑飯店内のロビーに入っている旅行社なのか、はっきりしないが。上海駅には、下見に出かけたのだった。失敬。
この日は、バスにも乗ったが、歩くことも歩いた。何階建てかのアパートの谷間の通りでは、上を見上げると、窓という窓から物干し竿が伸び、洗濯物がぶら下がっている。壮観だ。どういう仕組みなのか、竿は窓から向かいのビルに向かって、まっすぐに伸びているのだ。左右両側のアパートからにょきにょきと出ているので、洗濯物のトンネルの中を歩いているようだ。
上海で一番大きな上海市第一百貨商店内もぶらついたが、特に感想はない。夜は、和平飯店にジャズバンドの生演奏を聴きに行った。開演前に行ったので、席はとれたが、すぐに満席になった。外国人客が多く、私たちも合衆国から来ているビジネスマンと相席になった。口ひげをきれいにそろえている30代のアメリカンだ。実は、ジャズにはうとくて、曲名が全然わからないが、どれも聞いたことがあるような曲ばかり。スタンダードというのだそうだ。相席ビジネスマン氏がリクエストをした。「インザムード?(In the Mood?)」だったか。聞いたことある、ある。演奏はうまいのかどうかわからないが、ビールを飲みながら聴いてると、何か「上海にいる」という気分だ。共同租界の匂いとでも言おうか・・・。租界なんて知らないくせに・・・、雰囲気で書いてはいけない。42元9角。ちょっとぜいたく。
朝早くから起きて、上海火車站(駅)へ。この駅は、北站と呼ばれているのは、前に書いたが、中国では列車のことを「火車(huoche)」という。大きな荷物を肩から下げて、うろうろしながら、何とか目標の火車に乗り込めた。続々とホームに人がやってきて、長蛇の列をつくっている。全員が乗り込むまで、しばらく待たなければならなかった。「硬座(yingzuo)」という一番安い席なのだが、指定席なので座れる。初めてで、わけがわからなかったのだろう。違う席に座ってしまって、中国人にしかられた。
中国の火車の座席は、4種類ある。「軟臥(ruanwo)」というのは、軟らかい寝台で、上下二段二列の4人1部屋になっている。一説には飛行機よりも高い。「硬臥(yingwo)」は、上中下三段の2列、6人で1区画。なぜか下段が一番高く、上段は一番安い。仕切りカーテンはない。どちらの寝台にも魔法瓶が備え付けられている。「軟座(ruanzuo)」は、短距離列車専用の車両で、ゆったり優雅に移動できる。「硬座」は4人掛けか6人掛けの向かい合わせのボックスシート。前席との間隔が狭いので、かなり窮屈。
私たちが乗ったのは、4人掛けの車両だった。私の向かいの席はY君。斜め前の席には、日本語を話すおばさん。隣では、日本人と思われる女の子が、黙々とウォークマンを聴いていた。ユーミンを聴いていた。完全にバリアー(シールド)を張っていて、話しかけることができなかった。彼女は蘇州(Su-zhou)で降りていった。
蘇州は、上海から1時間半ほどの、運河が流れる水郷の町だ。寒山寺など、見所も多いようだが、私たちは行かなかった。船で出会ったK大の大学院生も同じ火車に乗っていたようで、ホームに降りていた。白人も数名降りて行った。
D02 地球の歩き方 上海 杭州・蘇州・水郷古鎮 2011〜2012
蘇州を出て約1時間、無錫(Wu-xi)を過ぎた。どこの駅だったか、ホームで干してある豆腐を名物として売っていて、みんなが窓から身を乗り出して買っていた。私たちは、斜め前のおばさんに、少し分けてもらっていただいた。カリカリした菓子風で甘いのだ。まずくはなかった。
線路沿いには、田園風景が広がり、農村と思われる集落が点在する。黄色い菜の花のカーペット。江南の春だなー。
上海から快客(急行列車)で約5時間、南京火車站に到着。あまり体勢を変えることができなかったので、お尻が痛い。
上海北站は町のほぼ中心街にあったが、南京站は高原のリゾート地の駅といった感じで、周りに建物が少ない。目の前に玄武湖が美しく広がっている。ここは、バス5路線の発着站にもなっている。南京は2泊の予定なので、洛陽(Luo-yang)行きの前売り券を購入しておく。今度は距離があるので、快客の軟臥で優雅に行ってみることにする。一泊節約できるしね。98元2角。
本日の宿泊予定の丁山賓館(Dingshan binguan)は、2路線のバスを乗り継いでいかなければならない。1路線目のバスを下車したが、次のバスがすぐ来そうにないので、とりあえず路線沿いに歩くことにした。重い荷物を抱えているので、つらかった。K大大学院のお兄さんがいうように、バックパック(リュックサックなど背中に背負うかばん)で来ればよかった。後悔先に立たず。しかも、このホテル、小高い丘の上に建っているので最後の上り坂が・・・。
江南春 Jiang nan chun 杜牧 Du Mu | ||
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千里鶯啼緑映紅 | Qian li ying ti lu ying hong. | |
水村山郭酒旗風 | Shui cun shan guo jiu qi feng. | |
南朝四百八十寺 | Nan chao si bai ba shi si. | |
多少樓臺烟雨中 | Duo shao lou tai yan yu zhong. |
私の記憶とノートに、一部誤りがあった。Y君より指摘してもらった。またノートに記載されていなくて、私の記憶から跳んでいた部分も教えていただいた。そのまま引用させてもらおうかとも思ったが、私の作業がやりやすいので、内容を汲み取った文章で書き直させていただいた。なお、『』部分は指摘された内容。謝謝(Xiexie)。
『南京站で、物乞いの子供たちに囲まれた』ようだ。調べたら、こづかい帳にも2角寄付したように記されている。10路のバスに乗って、四平路というバス停で降りた。5区間ほどだった。地図では、バス停は交差点なのだが、100mほども前で降ろされた。その交差点で、別方向から来たバスに乗り換えるのだ。「そのくらい何なのさ」と思うかもしれないが、『4月というのに、真夏並みのうだるような暑さ』が襲ってきた。ここは「中国3大かまど」の1つに数えられているのだ。真夏には、どうなってしまうのか。
重い荷物を、右手に左手に、持ちかえ持ちかえして、ようやく交差点へ。この交差点を左に折れて、バスの時刻表を見るが、すぐに来そうもない。ここからはホテルもそんなに遠いことはないので、バス路線沿いに歩く。大きな交差点を1つ越えて、その道沿いにある双門楼賓館というホテルに入る。『このホテルが宿泊予定』の所だったのだ。元イギリス領事館だということだ。
しかし、「部屋が空いてない」と断られた。仕方がないので、引き続き歩いて、丁山賓館に向かった。そう、あの丘の上のホテルだ。Y君の話によると、『丁山賓館にたどり着いた時は、値段が高かったけど、暑さに妥協した感じ』ということだ。確かに、ロビーに座り込んでしまい、もうそれ以上動きたくなかった。
このホテル、景色が良いということだったが、私たちの部屋からは、茂った木が邪魔で、余り見えなかったような気がする。
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