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4月25日〜

4月23日〜4月24日

洛陽

4月23日 晴れ

晴れてくれた。今日は朝から、竜門(龍門りゅうもんLongmen)へ。ここには石窟があり、敦煌(とんこうDunhuang)の莫高窟(ばっこうくつ)・大同(だいどうDatong)の雲崗石窟(うんこうせっくつ)と並ぶ中国三大石窟の一つである。494年に北魏の都が、大同から洛陽に移され、雲崗窟の代わりに彫り続けられたものだ。

ホテルからバスで、旧城内と新市街の境となっている西関(Xiguan)へ行き、そこから快速バスで、竜門まで。走るバスの窓の外には、のどかな田園風景が広がっていたが、竜門石窟は中国有数の観光地らしく、かなりの人でごった返していた。ほとんどが中国人。道の両側には、食べ物やみやげ物の屋台が店を広げている。この人々は、個人で営業しているのだろうか。みんな同じようなものばかりを売っている。

石窟はすばらしい。17mもあるという大きな廬舎那仏(るしゃなぶつ)は、どうやって彫ったのか想像できない。とにかく、歩道の脇やら、それぞれの洞窟の壁や天井など、あらゆるところに大小無数の石仏が彫ってある。「これでもかっ」ていうほど彫ってある。北魏の王様の、仏教への傾倒ぶりがうかがえる。

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竜門石窟1
竜門石窟2
竜門石窟1
竜門石窟2
竜門石窟3
竜門石窟4
竜門石窟3
竜門石窟4

フランス人のツーリストが10人ほどの団体で来ていた。ガイドの話を熱心に聴いていた。私たちは、一通り観て周ってから、外人接待用の休息所で、絵葉書を買った。いすに座って休憩していると、服務員の上司が現れ、先ほど絵葉書を売ってもらった服務員に、なにやら注意している。注意された服務員が私たちのところへやって来て、入場券を見せろという。券が外国人用のものでなかったので、申し訳なさそうにだが、出て行ってくれと言われた。

列車でもそうだが、中国の観光地の入場料は、外国人価格というのが存在して、券も特別なのだ。できるだけ外国人にお金を落としていってもらうための、外貨獲得作戦の一環だ。私たちは、外国人券ではなく、普通の券を購入していたので、追い出されたわけだ。もちろん普通の券(5角≒20円)の方がはるかに安い。購入するのは簡単だ。両个(liangge2つ)と言うだけ。

バスで西関まで戻り、そこから白馬寺へ向かう。中国で最初(68年)にできた仏教寺院だそうだ。広いというのを除けば、外見は京都や奈良などにある寺院と、大差はないように思う。何かの植物の種子なのだと思うが、白い綿のようなものが、たくさん舞い続けていた。

「中国は座るところが少なくて疲れる」とY君が言った。同感。地面に座ればいいのだが、服が汚れると困る。なるべくクリーニングには出したくないし、自分で洗うのも、できるだけ回数を減らしたい。

大きな黒塗りの車が入り口に止まり、どこかの国の偉いさんが、たくさんの護衛に囲まれながら、庫裏(くり)のようなところへ入っていった。こんなことがあると、もう大変だ。大きな人垣ができ、背伸びをしたり、もぐってみたり。どこでも同じだ。

門前の脇にあるレストランは、結構いけた。3元5角(約140円)くらい。ちなみに、少林寺もここから近い。

バスで洛陽賓館へ戻る。中国のホテルでは普通、部屋にお湯の入った魔法瓶とお茶の葉が数包み、ふた付きの縦長茶碗が用意されている。急須(きゅうす)や薬缶(やかん)といったものはない。ホテルごと、または日によって、お茶の種類が替えられる。ここでは、何かの花の香りのするお茶が用意されていた。お茶を飲むのもずいぶん慣れてきた。お茶の葉を茶碗に入れて、湯を入れて飲むのだが、初めのうちは、お茶の葉が口の中に入ってくる。手で口の中から葉を取り出さなければならないので、リラックス・タイムなのにくつろげない。しかし、コツをつかんでしまえば、こっちのもの。よく、ふたでふさいで飲むとよい、とか言うけれど、それでも出てくる。慌てずにじっと待っていると、葉が底に沈んでいく。そうすると、ふたは使わずとも難なく飲める。

明日は朝から、火車で西安(Xi'an)まで行く予定。座る席はないと思うので、少々不安。8時間辛抱できるか。今日はゆっくり休んでおこう。ホテルは朝8時に追い出される。


イ尓 喜歓 喝 茶 口馬? Ni xihuan he cha ma?
あなたはお茶を飲むのが好きですか。
(注)「イ尓」「口馬」はそれぞれ1語


春夜洛城聞笛 Chun ye luo cheng wen di  李白 Li Bai
誰家玉笛暗飛聲   Shui jia yu di an fei sheng.
散入春風満洛城   San ru chun feng man luo cheng.
此夜曲中聞折柳   Ci ye qu zhong wen zhe liu.
何人不起故園情   He ren bu qi gu yuan qing.

どこの家からなんだろう。暗闇の中、どこからともなく笛の音が聞こえてくる。
春風に混じって、その春風が笛の音を運んで、洛陽城内に染み渡っていくようだ。
旅立つ人を見送る別れの曲の折楊柳も流れていたが、
それを聴いた人は、みんな故郷を思い出したに違いない。

4月23日補足

洛陽郊外の白馬寺で、舞っていた白い綿の正体がわかった。柳の花だった。白馬の毛などではなかった。柳絮(りゅうじょ)というのだそうだ。枝の垂れ下がらない柳の種子で、春から夏へと季節が移り変わるときに、飛ぶのだそうだ。

白馬寺の由来は、後漢の時代に、皇帝の命を受けた僧侶たちが、西域へ向かう途中、天竺(インド)から来た僧と出会い、経典を白馬に載せて持ち帰ったからだそうだ。唐代初期には、千人以上の僧侶が修行していたらしい。

柳花詞 Liuhuaci 二首  其一  劉 禹錫 Liu Yuxi
開従緑条上Kai cong lu tiao shang.
散逐香風遠San zhu xiang feng yuan.
故取花落時Gu qu hua lao shi.
悠揚占春晩You yang zhan chun wan.
柳絮(りゅうじょ)は緑の枝の上に柔らかな綿を開き
香りを追いかけるようにして、風に乗って遠くまで飛んでいく。
他の花が散る時期をわざわざ選んで
悠々と晩春の主役を演じている。
柳花詞 Liuhuaci 二首  其二  劉 禹錫 Liu Yuxi
軽飛不仮風Qing fei bu jia feng.
軽落不委地Qing lao bu wei di.
繚乱舞晴空Liao luan wu qing kong.
発人無限思Fa ren wu xian si.
柳絮(りゅうじょ)は風の力を借りなくても軽く飛んで
フワッと落ちてきても地面に着くことはない。
晴れた青空にフワフワと舞い踊り
それを見ると、人は自然に物思いに耽ってしまう。

4月24日 曇り

今日は西安までの移動だ。洛陽賓館を朝7時過ぎに出発。洛陽東站へ行く。洛陽に到着した日に、洛陽站まで出かけ、西安行きの硬座切符を買っておいた(こづかい帳の日付ではそうなっている。1人分16元1角:約645円)。洛陽站からの切符なので、本来は洛陽站まで行くべきなのだが、南京から乗った列車の切符は洛陽站までのもので、洛陽東站で途中下車したことになっている。簽字(qianzi)という乗り換え手続きをしてもらえば、東站から乗れるはずだ。何しろホテルからは、こちらのほうがはるかに近いから。

簽字は、洛陽東站の無愛想なおばさんに断られた。仕方がないので、バスで洛陽站まで。ここの待合室は、屋根のない駅前広場である。列に並んでいると、突然小さい子供が、大道芸のようなものをやりだした。何事かと思うと、お金をほしがっている。5・6人はいた。次から次へとせびりに来る。共産主義国家にこのような事態があっていいのだろうか。

洛陽火車站 洛陽火車站

列車は定刻を少し過ぎて到着。硬座で始発駅ではないので、席はない。車両の中のほうも込んでいる。連結部のところにバッグを置き、その上に座り込む。1時間もしないうちに次の駅に到着。ドドッと入ってきた人たちに、私たちのいた場所が占領され、次の駅までは立っていた。次の駅からは、またバッグの上に座れたり、座れなかったり。これの繰り返しで、8時間。思ったよりも我慢できた。窓の外には黄土高原が広がっていた。

移動中の食事は、前もって買っておいたパンとジュースが多かった。でも、このパンというのが、どうもいけない。カステラのあまり味のしないやつ、といったらわかってもらえるか。日本のように、いろんなパンは売っていないのだ。

列車の中でも、中国人は落ち着きがない。入れ替わり立ち替わり、コップや茶碗を手に手にもって、お湯をもらいに行き交う。ひまわりの種は、吐き出す。たんを飛ばす。卵の殻はその場に捨てる。このあたりは道徳観念の違いで説明がつくが、ご婦人が平気でするのは、見たくない。ひどいのになると、子供に列車内でおしっこをさせて平気でいる。もちろん、今はこんなことはしてないと思うが・・・。

西安

定刻を20分弱遅れて(午後5時半過ぎ)、列車は西安站に着いた。かなり立派な駅で、どうかすると、上海北站より大きいんじゃないかと思った。駅を出ると、何かの紙が入っている定期券入れのようなものを示して、話し掛けてくる人がたくさんいる。いちいち取り合っていなかったので、何だかわからなかった。

西安の空は、どんよりと曇り、舞っている黄砂が目に入った。風も強い。今まで訪れた町は、あふれんばかりの人々が、思い思いに行動しているという印象を受けたが、ここ西安では何か異質のものを感じる。風をのぞいて、人々も時もゆったりと動いている感がある。3000年の歴史を誇る王都、シルクロードの起発点という先入観があるからだろうか。

西安車站は、西安城内から南北にのびる解放路が、北の城外に出たところにある。その解放路をバスで3区間南に、バスを降りて、西へ少し歩いたところに、宿泊先の人民大厦(renmindaxia)がある。受付はプレハブの工事現場の事務所のようなところ。どうも正式な受付は建設中のようだ。このホテルは、建物がいくつかに分かれている。西側の大きな建物に行ったが、私たちの部屋は東側の建物にあった。2日分で85元(約3400円)のツイン。充分です。夕食は同じ建物内のレストランへ。1人11元2角(約450円)。お任せコースだったと思う。ここは結構いけた。


砂が舞う 古都の春風 目が痛い

D01 地球の歩き方 中国 2012〜2013

4月25日〜
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