曇り。列車の切符は、駅の窓口だけでなく、街中の火車票預售処(huochepiao yushouchu)でも購入できる。預售とは予約のことだ。ガイドブックによると、西安城内の中心のやや北よりに、北大街という場所があり、そこの預售処は親切で、人民料金で切符が買えるらしい。前にも触れたが、外国人料金は高くなる。1.75倍だそうだ。さっそく成都行きの前売り券を求めに出かけた。
何が親切だ。外国人は駅に行って買え、と取り付く島なく断られた。仕方ないのでホテルに戻り、CITS(中国国際旅行社)に頼むことにした。駅に行くと無駄に時間がかかるのだ。手数料もとられてしまうが、確実なのは確実だ。1人120元支払う。2日後に来てくれといわれた。
昨夜雨がふったので、地面がぬれていて黄砂がたたない。湿っぽいが気温が低いので過ごしやすい。ホテルから公共汽車で大雁塔(Dayanta)へ。正式名称は慈恩寺。三蔵法師(さんぞうほうし=玄奘:げんじょう)が天竺(てんじく=インド)から帰って建てた寺で、持ち帰った経典の翻訳作業を行った場所である。現在は7層の64mで、遠くからでもよく目立つ。最上層まで上るのにかなり疲れた。
観光地には、写真屋がいる。これも国営なのだろうか。大雁塔前のみやげ物屋の姉ちゃんは、日本語ができて「この品物はいい」「これも安い」「買ったほうが得だ」と売り込んでくる。今まで訪れたところでは、全然商売っ気がなく、ぶっきらぼうなことが多かったので、いささか驚いた。あまり熱心に勧められるのも考えものだ。
三蔵法師で思い出したのだが、Y君の話によると、鑑真号で一緒だった孫悟空のドラマーは、中国・アフリカ・メキシコと三冊の本を出版しているそうだ。トラクターで日本縦断もしたそうだ。いやー、元気だ。
街のある食堂で昼食をとった。ホテルで食べるより、格段に安い(このときは1人2元3分=約80円)のだが、入り口の内外に貧しそうな人がうろつき、客が席を立つと同時に、食べ残しを食べにくる。申し訳ないが、汚い格好をしているので、こちらの食欲が減退する。皿や茶碗は、ちゃんと洗ってくれているんだろうか。
次に公共汽車で、小雁塔(Xiaoyanta)へ。正式名称は薦福寺。義浄(ぎじょう)も天竺に渡った僧で、インドネシア方面まで行っている。この寺も、持ち帰った経典の翻訳作業のために建てられた。修復されていないので、唐代のままだ。
汽車を降りたが、入り口がどこかわからずに、塔の周りをほぼ一周した。南側はちょうど下町のようなところで、レンガ造りの家が並んでいる。細い路地を歩いていると、何かうれしい。やっとのことで、入り口を見つけて敷地に入った。大雁塔は、四角錐(すい)という感じだが、こちらは、2次関数のグラフ、2次の項の係数はマイナス、といったところ。次元が違うか。
上部の方まで行くと、だんだん室内が狭くなり、Y君が頭をぶつけた。ここは、15層の上部2層が崩れており、一番上の13層(14層かな?)は天井がなく、屋上のようになっている。10人も登れば、いっぱいになってしまうほどの広さだ。開放感があって気分爽快。42mだそうだ。
城内に戻り、百貨商店に行く。南京錠を1つ買う。服務員(店員)が、「留学生か」ときいてくる。親切にも、ちゃんとカギが掛かるか確かめてくれる。実は、いくつかうまく掛からなかったり、開かなかったりするのがあった。こんなもの店に置いていいのかなー。だから親切じゃなくて、当然の行為か。帽子を買ったことになっているが、どんな帽子だったか。
西安は京都と姉妹都市。平安京は長安の都のまねをして造られたから、これも当然。
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NHKスペシャル 1月2日放送
曇り。7時半過ぎに眼がさめる。Reception Roomで滞在2日延長の手続きをした。バスで南門遠郊汽車站まで。このバス駅は、郊外の観光地へ行くバスが 発着している。今日は秦の始皇帝の兵馬俑(Bingmayong)へ行く。歴史の教科書に写真が出ている数千体の土の兵団だ。1つ1つ顔が違うらしい。
南門汽車站で切符を買って遠郊汽車(長距離バスのこと)に乗り込んだ。切符に書かれている番号の席に座ろうとすると、中国人の若者がすでに座っていた。その切符を見せて、そこは私の座るべきところだと伝えたのだが、取り合ってくれない。私の性格からすれば、普段なら黙って引き下がっていただろう。不思議なことに、外国にいるとやや性格が変わるらしい。ここは断固権利を主張すべきだと思い、食い下がってみた。自分でも信じられないほど頑張ったのだが、結局目的は果たせなかった。かなり頭に来た。
市内を走る公共汽車は、席が少なく立っている人のスペースが多いが、この遠郊汽車は座席が多く、通路のような狭い場所に立っていなければならない。観光バスで立っていると思えばよい。1時間半ほどで到着したが、結構疲れた。すごい人である。多すぎる。いったい、どこからこんなに集まってくるのか。
兵馬俑は、ちょうど本物の人体や馬と、同じ大きさでつくられている。六千体にも及ぶそうだ。これが紀元前につくられているというのには、恐れ入る。卑弥呼が現れるのは、まだ何百年も後だ。発掘現場を保護するために、大きな体育館のようなものを建てて覆っている。
外国人ツーリストの数が、今まで行った観光地に比べ、格段に多い。後から後から、どんどん来る。ガイドつきの専用バスで来る人が多いようだ。竜門石窟のところでも触れたが、中国の観光地は、必ずといっていいほど、内賓料金・外賓料金という区別があって、外国人は高い料金を払わされる。今のところ私たちは、どこでも内賓料金で入っている。しかし、外賓料金で入ると、外賓接待所とその専用トイレが使える。ゆっくりと椅子に座って、お茶を飲んでくつろぐことができる。中国の一般公共トイレは、戸がないため、やっぱり専用トイレは必要。
秦俑(Qinyong)からの帰りに、華清池(Huaqingchi)に立ち寄った。ここは温泉が出ていて、唐の時代の楊貴妃が肌に磨きをかけた場所だそうだ。いわゆる美人の湯だ。ここもすごい人だ。人が少なければ風情(ふぜい)のありそうなところだが、これでは人ごみを見に来ているようだ。小高い山の上まで登っていけるようで、人の列が続いている。後でわかったのだが、西安事件の際に、蒋介石(Jiang Jieshi)が監禁された場所があったそうだ。
今日は朝から何も食べていなかったので、疲れ果ててホテルに戻る。ホテルのレストランで、夕食をたくさん食べた。しかし、Y君の顔の絵が描かれたヨットパーカーは、どこへ行っても注目を浴びる。
これは、かなり後からわかったことなのだが、中国青年とのバスの座席争いについて。どうやら、この種類のバスの切符に書いてある番号は、座席の番号ではなくて、ただの整理番号のようらしい。市街地を走るバス(公共汽車)は、乗車してから切符を買うが、この郊外に行くバス(遠郊汽車)は、発券所で乗車前に買う。大部分が座席なので、立って乗るスペースが狭い。売りすぎてしまうと、乗れなくなるので、番号を付けて発券枚数を確認しているのだろう。実は青年もそのようなことを言っていたのだが、何も知らない日本人をだますために、うそをついているのだろうと思って、いっそうむきになってしまった。「中国人は、何と個人主義なんだ。自分さえ良ければいいのか」「人の席に居座るとは、何て恥知らずなんだ」とか「知能程度がたいしたことないぞ」などと思っていた私の方が、知能が低かった。「いちゃもん」をつけていたのは、こちらの方だったとは・・・。
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