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海外短波放送

私たちが中学生だったころ、携帯電話・パソコン・インターネット・ゲーム機などはありませんでした。 そのため、現在の中学生より、読書の時間や屋外で遊ぶ時間が豊富でした。

NHKラジオ第2放送の『基礎英語』を録音するために、モノラルのラジオ・カセットレコーダーを買ってもらいました。生来のサボり症のため、『(続)基礎英語』の録音はたまる一方でした。カセットテープの値段も高価だったので、仕方なくまだ聞いていないレッスンの上に新しいレッスンを上書きすることも、しばしばでした。

そのラジオ・カセットレコーダーは日立製のものでしたが、たまたま短波放送も受信できるものでした。短波というと、競馬放送や株価の放送をやっている周波数ですが、そんなものは中学生の私には用がありません。

暇にまかせて、ダイアルを回していくと聞きなれない外国語が何種類も聞こえてきます。中学生の私に、外国語の種類を特定することはできませんでしたが、世界各国から電波が届いていることが何となくわかりました。もちろん内容もわかりませんが、何か宝物を見つけたような気持ちになりました。

そのうちに少しおかしなアクセントで、日本語放送がなされている番組を偶然聞きました。海外の放送局が日本向けに放送している番組でした。

ある友達に話してみると、その友達も海外放送を聴いていると言います。そして、海外放送を聴取する趣味をBCLと呼んでいて、それが流行っているということも知りました。雑誌や専門書も出版されているということでした。書店に行くと、その通り、ありました。さっそく入門書のような雑誌を購入しました。

その雑誌には、放送を聴いて報告書を送ると放送局から聴取証明書が送られてくると書かれていました。その証明書は多くの場合ハガキの大きさで、べリカードとかBCLカードと呼ばれていることもわかりました。

報告書には番組の内容も書かなければいけないので、さすがに英語や他の外国語の放送を聴いて送るわけにはいきません。私の語学力では日本語放送に限定されました。当時、十数局が日本語放送を行っていました。しかし、すべての放送局が受信できるとは限りませんでした。また、べリカードを発行していない局もありました。


北京放送局やモスクワ放送局は強力で、中波(ニッポン放送や文化放送、NHKラジオなどが使っている周波数)でも受信できました。上は、北京放送局のべリカードです。朝鮮民主主義人民共和国の放送も中波で受信できたと思います。

上記の3放送局は、社会主義・共産主義の国の国営放送局で、自分たちの体制の宣伝のための放送を行っていました。北朝鮮は韓国の体制を批判し、戦前の日本の植民地政策にも恨みを持っているようでした。また、中国の北京放送は、『大寨に学べ』という人民公社の成功をたたえる番組を定期的にやっていました。また、「四人組騒動」の最中でしたので、四人組批判を展開していました。中国上層部の権力争いであることが、うっすらと認識できました。

あと、よく入ったのは、ラジオ・オーストラリアとHCJB(アンデスの声)でした。オーストラリアの方は結局べリカードは入手できませんでしたが、よく聴いていました。ワライカワセミの鳴き声とオーストラリアで一番有名な歌ワルチング・マチルダも覚えてしまいました。


HCJBは、キリスト教を伝えるための放送ですが、それとは関係なく南米に移住した日本人の人たちの交流の場でもあったようです。報告書を送ると、必ずべリカードを送ってくれました。上がそのカードです。下は、カードの裏面(表面?)の証明書です。

HCJBは当時、エクアドルのキトから放送を行っていたのですが、現在はオーストラリアから行っているようです。

BBC(イギリスの局)も何度か聴きましたが、結局べリカードは入手できませんでした。これらの局の他にも、何枚かべリカードをもらった記憶があるのですが、現在行方不明となっています。

中波の日本の放送局でも、べリカードをくれるところがありました。私もいくつか報告書を送ったのですが、大阪の朝日放送(ABC)だけは証明書を送ってくれました。

初めは、カセットレコーダーのラジオ部分で頑張っていたのですが、そのうちに短波専用のラジオが欲しくなり、親におねだりしてしまいました。レコーダーの短波の受信周波数は12MHzまでしかなかったので、30MHzまで入るラジオが欲しかったのです。無線機のように大きなもので、10万円もするもありましたが、手が出るのは2万円くらいのラジオです。

友人はソニーのスカイセンサーというラジオを持っていました。その上級機種が出たのですが、ねだるには気が引ける値段でした。パナソニックのクーガーという機種もあったのですが、手が届きそうな機種は12MHzまでのものでした。上級機種は予算オーバーでした。それに別の同級生も持っていたし、東芝の手ごろな機種も、また別の同級生が持っていました。


最終的に買ってもらったのは、サンヨーのパルサーという機種。2万円をわずかに切る値段でした。町の電器屋にはなくて取り寄せてもらいました。アンテナの先が折れて、セロテープで巻いてくっつけてありますが、いまだに鳴っています。

今ではもっと小さくて安価な高性能短波ラジオが売られています。それでも、短波放送は確実に受信できるとは限らないのです。上空に電離層というのができて、短波はその電離層と地球で何度も反射して遠くに届くのです。電離層は太陽が当たらない時、つまり夜間に安定します。送信元と受信地が両方とも夜になる限られた時間だけ行われる放送。それが海外短波放送です。

インターネット、衛星放送などで簡単に情報が得られる時代に、もはや役目を終えたかと思われる短波放送。しかし、限られた時間に、雑音混じりに聞こえてくる海外放送には、簡単には手に入らないものという魅力があります。他にも魅力があるのですが、ご自身で探してみてはどうですか。

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