TVドラマ「Papa told me」を見るB

 先週の次回予告を見て、嫌な予感がしていたのだが。

 原作のエピソードとしては、『Papa told me[EPISODE.29 シェル ブルー]』& 『Papa told me[EPISODE.30 グリーン プラネット]』である。
 で、まずはタイトル。「ファーストラブ」というタイトルは、完全に榛野なな恵の原作を理解していない。 “知世”が男性として意識しているのは、この世にただひとり――“お父さん”である。
 そもそも、この[EPISODE.30 グリーン プラネット]の中にもこんな“知世”の台詞がある。
   「私しみじみ思ったわ。
   世界中の男のコは、どんな人も みんな
   お父さんのひきたて役に、過ぎないって!

 勿論、この過剰で過激ななファザコンは、常識的に見て、異常である。けれど、異常な設定の ない“まんが”など面白いのだろうか? 榛野なな恵『Papa told me』の、そして、“知世”という 少女の魅力は、この異常さにあるのだから、これをドラマにするにあたって、その異常さを 外して、果たして意味があるのだろうか?
 第1回も、第2回も、“知世”の魅力が充分に描かれていないと、ぼくは書いてきた。今回はっきりした のは、やはり、脚本家も演出家も、原作を理解していないという事だった。あるいは、前にも書いた事だが、 少年ドラマ枠故に敢えて、“知世”という少女の異常さをカットしたのであれば、これはもう、 原作の極解と言わざるを得ない。

 今回の不満の第2は、“乾鷹彦くん”である。[EPISODE.30 グリーン プラネット]の中で、“乾くん”を 見た“百合子ちゃん”がこう叫ぶのだ。
   「何?
   何者なの
   あの美形!

原作の“乾鷹彦くん”は、紛れもない“美形!”だった。もうひとり、“北原さん”も、だいぶ外している ようにぼくは思った。キャスティング等は個人差(や好み)があるので、断定はしないが、“北原さん”は、 決して美人ではないが、内面の可愛さが表情に現れる人だと、ぼくは思う。

 ストーリー的にも、原作の台詞やナレーションを多用しながら(ドラマの台詞の50%以上が原作の 台詞を使っていたのに)、どうしたらこんなに別の物語に出来るかなぁ!! と思ったのは、 ぼくだけだろうか?

 何だか、次回の楽しみが薄れてゆく。それでは1週間後に、また……書くかも???
(2003.04.26)

テキスト:「パパ トールド★ミー 大切な君へ 第3回 ファーストラブ」(NHK教育テレビ−2003.04.26)


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