- 密会 -
2009年7月19日、海水浴中の事故により48歳という若さで世を去った劇作家・演出家、大竹野正典。
オフィスコットーネでは2012年からアナザー公演として彼が遺した多くの作品で上演してきました。
今回は最高傑作「密会」を読売演劇賞・優秀演出家賞を受賞した、いま注目の演出家・劇団チョコレートケーキの日澤雄介さんの演出で上演します!
作品概要
本作品は1981年に実際に起こった深川通り魔殺人事件をモチーフに、績年の孤独に心を蝕まれたひとりの男の妄想と爆走を描いたものです。男が事件へとまっしぐらに突き進んでいく様を、事件後の時間と、事件前の時間、さらに事件そのものをコラージュさせていきながら、すべてを虚構の出来ごととして構成しています。 作家・大竹野正典氏は実際の事件そのものをリアルに描くのではなく、誰もが犯人になりえる普遍性をそこに描いています。
大竹野正典 プロフィール
- 1960年
- 9月17日生(大阪市)1982年横浜放送映画専門学院 現「日本映画大学」)シナリオ科 研究課程卒
- 1983年
- 帰阪し、犬の事ム所 設立
- 1989年
- 「夜が掴む」テアトロインキャビン戯曲賞佳作
- 1990年
- 「改善版・笑箪笥」スペースゼロ大賞
- 1990年
- 「Kのトランク」スペースゼロ最優秀作品賞
- 1992年
- 「リボルバー」プラネットステーション主宰 元気印の劇団たち‘92参加
- 1993年
- 「トーフの心臓」扇町アクトトライアル参加
- 1993年
- 「密会」スペースゼロ大賞特別賞
- 1994年
- 「サラサーテの盤」OMS提携公演
- 1996年2月
- 「動物園物語」神戸フラワープロジェクト参加
- 1996年11月
- 第16回「ドアの向こうの薔薇」を最後に犬の事ム所解散
- 1997年
- くじら企画 設立
- 2002年1月
- 「生きてゐる小平次」作:鈴木泉三郎 演出:大竹野正典
- 2002年1月
- 大阪市立芸術創造館主宰 クラシック・ルネサンス参加
- 2003年4月
- 「夜、ナク、鳥」ラフレシア円形劇場祭参加
- 2004年2月
- 「密会」 ウィングフィールド再演博覧会参加
- 2004年8月
- 「サラサーテの盤」大阪市立芸術創造館主宰
- 2004年8月
- マンスリーシアター参加
- 2004年
- 「夜、ナク、鳥」第十一回OMS戯曲賞佳作受賞 ※岸田戯曲賞最終選考
- 2005年
- 「海のホタル」 精華演劇祭vol2参加
- 2006年10月
- 「怪シイ来客簿」 アイホール提携公演
- 2008年12月
- 「山の声」 ウイングフィールド提携公演
- 2009年7月19日
- 遊泳中の事故により死去。 亨年48歳
- 2010年
- 「山の声」第十六回OMS戯曲賞大賞受賞
大竹野正典さん関連サイト
チラシ文より大竹野正典と「密会」
大竹野正典率いる犬の事ム所による「密会」(1993年、大阪スペースゼロ)の初演は 衝撃的な舞台だった。小空間で上演されたため、観劇できる幸運に恵まれたのは少人数 だったが、私はこの作品をその年のベストアクトに選んだ。90年代の関西演劇を代表す る好舞台のひとつだった。
安部公房の同名小説が原作だが、小説の世界を素材としながら映画学校時代の恩師で ある今村昌平直伝の事件ものの趣向も取り入れ、東京深川通り魔殺人の川俣軍司を主人 公とした異色作だった。初演では上方小劇場の看板だった秋月雁が鬼気せまる演技で川 俣役を演じたのが鮮烈に記憶に残っている。秋月雁をはじめ戎屋海老、九谷保元ら関西 を代表する奇優・怪優を揃え、彼らが舞台狭しと自由奔放に遊び回る。そしてその中心 には大竹野がいた。彼の死でその雄姿をもはや劇場で見られないのは残念だが、東京で 大竹野作品を連続上演してくれているオフィスコットーネの手によってもう一度この芝 居を見ることができる。こんな贅沢なことはない。
演劇舞踊批評・中西理