222222Hit記念SS
坐・刃炉有因
夜闇が完全に宿舎を覆う中、気配を完全に殺した者が目的の部屋へと音も無く忍び込む。
相手がベッドの中で寝息を立てている事を確認すると、侵入者は腰の得物をゆっくりと抜いた。
雲間からもれ出た月が窓越しに突き抜け、引き抜かれた白刃を照らし出す。
侵入者は、そのまま手にした白刃を殺気もなしにベッドの中の人物へと振り下ろす。
直後、金属と金属がぶつかり合う音が室内へと響いた。
「………何の用だ、宗千華」
「ふむ、222222Hit記念にハロウィンパーティーをやると聞いたので、予行をな」
「人が次の出番まで休もうとしている所に、殺気もなしに斬りつけるのがか?」
枕元の愛刀を逆手で引き抜いて斬撃を受け止めたレンが、力を一切緩める気が無い宗千華を見て嘆息。
「さあ選べ。制裁か?略奪か?」
「思いっきり違うぞ。というかわざとボケてるだろ」
さらに力が込められる中、レンが目を凝らすと宗千華は一応仮装のつもりなのか黄色いジャージの上下に身を包んでいる。
鍔眼帯はそのままなのかすさまじい違和感をかもし出していた。
「よりにもよってキル・ビルか…………」
「ふむ、手間がかからないし、ちょうど良かったのでな」
「仮装に真剣を使うな、しかも大業物を」
「ではお前は愛刀をそう簡単に手放しておくか?」
「……そうだな」
恐らくは彼ら以外には理解出来ないであろう理屈にレンが納得した時、窓の外から何かの起動音が響く。
「Trick or treat!!」
声と共に、眩いばかりの閃光が壁越しに部屋を両断していく。
とっさに宗千華は床へと転がって閃光を避け、閃光はレンの鼻先をかすめて途絶える。
「いきなり何をする?」
「それはこっちの台詞。何をしていたの?」
宗千華が窓の外にいる人物、白い衣装に身を包み、髪型をツインテールにして手に何か凶悪なロッドのような物を持ったトモエに首を傾げる。
「ふむ、ハロウィンとやらの予行を」
「……そう、それじゃあこっちも似たような事しても問題ないわね。この魔砲少女リリカルトモエが邪悪な物を封印します!」
手に持ったロッド、正確にはスミスのカドゥケウスを勝手に持ち出して外装を貼り付けた物を何の遠慮もなく宗千華へと向けた。
「レイジングハート! 長距離砲撃モード!」
『Ready』
再び閃光が放たれ、レンの部屋が薙ぎ払われていく。
ドアを突き破ってレンと宗千華は部屋を飛び出し、閃光から身を伏せる。
「トモエ!やり過ぎだ!」
「レンは黙ってて!今日という今日はあの冷血女をパーティーのどさくさにまぎれて亡き者に!」
「ほう、それがアメリカンジョークという奴か」
「フウゥーー!!」
猫のような威嚇音を立てながらトモエは再度射撃。
「はあっ!」
対して宗千華は愛刀を床へと叩きつけ、その衝撃で床の構成材とその下の土砂までもが吹き上げて障壁と化した。
「何事だ!」
「もう始まってる?」
さすがにこの騒動には他のSTARSメンバーもぞろぞろと姿を現し始める。
それぞれ思い思いの仮装に身を包んだ者達が、真剣を持ったイエロージャージの剣士と何かを間違えてる魔砲少女を見て硬直する。
「派手な余興だな〜」
「そうだな、中々の見物だ」
半面メカマスクのターミネーターコスのスミスと、モヒカン状のヒレと牙を付けたチュパチャプラコスのカルロスが早くも見物を決め込み、自分の席を用意し始める。
「あの、止めた方が………」
「なんで?」
「お姉ちゃん怖い……」
袈裟に錫杖を持った法力僧コスの智弘が、横目で黒ずくめのとんがり帽にロープの魔女コスをしたシェリーに問い掛けるが、シェリーも見物を決め込んだのか、フェレットの着ぐるみを着た息子のトウジの分の席まで用意し始める。
「おわっ!こっちに来たぞ!」「退避〜!」
ギャラリーを無視して放たれる閃光と振るわれる白刃に、思い思いの仮装の隊員達が逃げ出す。
「レン!なんとかしろ!てめえのただれた女関係をここに持ち込むな!」
「誰がだ。それに前にあの二人のケンカ止めようとしてかえって周囲がやばい事になった時が」
「そうなの?」
バードマンコスのフレックと寝起きのシャツ姿のままのレン、霊幻道士コスのリンルゥが伏せた状態で顔を突き合わせながら現状打破を相談する。
「オッズは今のところ5:1でジュウベエ有利、けど大穴あるかもよー」
「オレトモエに」
「あたしもー」
死ぬほど似合ってないネコミミメイドコスのキャサリンの持っているオッズ箱に、新撰組コスのムサシと騎兵隊コスのアニーが賭け金を入れる。
「奪い合いするほどの事かしらね」
「さてな」
普段どおりの白衣姿のミリィ(ただし顔に傷跡メイク)とサングラスはそのままに黒のレザーコートのリベリオンコスのレオン(違和感0)までもが傍観を決め込んだのらしく、両者の争いを遠巻きに観察する。
「Trick!!」
『or!』
「treat!!」
『おわ〜!』
閃光と斬撃は激しさを増し、巻き込まれたSTARS隊員達が宙を舞う。
リンルゥ、フレック、レンの三人が匍匐前進でその災害から離れると、再び顔を寄せ合った。
「え〜と、ともあれ次回予告しよ」
「情報によれば、FATE OF EDGE第二十章及びオーガゲートキーパーズCASE3の次章執筆中、ただしペルソナ3とファンタシースター・ユニバースの進行具合によってアップ時期は変動するそうだ」
「レンジャーに連射パッド使ってプレイするようではな………」
「ペルソナ3なんか残る一月切って慌てて改造コード使用でコミュ上げたって聞いたよ」
「詳細は不明、いつもの事だな」
「じゃあこれくらいで」
「ああ」
Syuu終
「Trick!!」
『or!』
「treat!!」
「あ〜れ〜……」
「だからあれどうにかしろ」
「どっち止めたらもう一人に殺されなくてすむと思う?」
「両方一緒とか」
「そうしたら両方に殺られそうだ…………」
「やっぱただれてるぞ……………」
ボケ熊(兄)「なぁ、さすがに『リリカルなのは』はネタ的に知ってる人選びすぎないか?」
ダークボーイ(弟)「いやネタ的に今回のにちょうど良かったから」
ボケ熊(兄)「だったらせめて第1期だけでも見終わってからにしろ」
ダークボーイ(弟)「それは言うなー!!」
感想、その他あればお願いします。
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