第二次スーパーロボッコ大戦
EP71



「大破状態の者はあちらで回復してくれるそうだ! 中破の者はその後、小破の者は入渠を!」
「破損した艤装は艦種ごとに並べて! 順次確認の後に修理するわ!」
「重巡以上で動ける人はガレキの撤去を!」

 戦闘後のあれこれの指示が矢継ぎ早に飛び交い、艦娘とNORNの戦士達が合同でそれを手伝っていた。

「主要施設に被害が少なくてよかったです」
「防御を重視した成果だな。もっとも宮藤達には無理をさせてしまったが…」

 被害状況を確認する夕張に、美緒も一緒になって確認を手伝っていた。

「すぐに必要な物が有ったら言って! エイハブに必要そうなの積んできてるから!」
「取りあえずご飯かな?」

 ロデオスターでまず医療品の類を搬送してきたジェミニに、まだシンフォギアをまとって騎乗している響が周囲を見回しながら呟く。

「取りあえず早めにキリつけて戻んねえと、こっちの弾薬庫空だぞ!」
「こちらも残弾ほとんどありませんしね………」

 杏平が浮上している401を目にしながらぼやき、マイルズも自分含め部下達の状態にため息を漏らす。

「ガランド少将方は状況を処理しつつ、今後の方針協議だそうよ。取りあえず後片付けが済んだら、順次帰投する事になりそうね」
「今回も派手だったからね。今後の課題も山積みだし」

 ミーナが先程聞いた情報を話し、圭子は恐らく協議の課題は尽きないであろう事を思いめぐらせる。

「学園から後処理の人員は必要かとの問い合わせが来たけど」
「戦闘データはリアルタイムで転送済みです」
「やっぱりスペックはあっちが上ね………」
「仕方ないよ〜時代が違うって奴らしいし」

 ストラーフを中心とした武装神姫達もデータ交換などをこなすのを見ながら、FAG達はボヤきつつも己達に出来る事をしていた。

「固定完了! 上昇開始!」
「なんとか使い物にはなったわね」
「まだまだ改良が必要だけれど…」

 新次郎が分子運動停止氷結装置をスターで釣り上げ、エイハブへと運送するのを見ながらミキとミドリが運用データをチェックする。

「さて、現状で一番の問題は…」
「アレね………」

 ミキとミドリがちらりと先程サルベージされた物の方を見る。
 つられて、他の者達もそれを見た。
 今回の戦闘で、一番の被害を出したその元凶を………



「そういう事で、神崎提督がこちらに向かっております。程なく着くかと」
「ヒュウガさんも一緒の車で戻ってくるそうです」

 大本営に戻る直前だった更識少佐にアーンヴァルが知らせたヒュウガ経由の報告に、事後処理を行っていた指揮官達は思わず目くばせする。

「また随分とフットワークの軽い方だね」
「判断も決断も早い方だ。年齢こそ召されているが、大本営でも彼女に意見出来る者はほとんどいない」
「思ったよりもそちらの反応が早かったのは助かるが…もっともヒュウガからの情報だと、その人以外は大分混乱しているらしい」

 サニーサイドが思わず軽口をたたくが、冬后提督の説明に群像は少し考え込む。

「恐らく、いや間違いなくJAMのもたらす被害と、その対処法を欲しがっている。鎮守府による艦娘運用を構築した張本人だからな」
「なるほど、徹底した現場主義者か。確かにそれなら話は早い」
「いささか性急過ぎる気もしますけど………」

 冬后提督のさらなる説明に、ガランドは小さく笑みを浮かべ、議事録をまとめていたウィトゥールースは少し困った顔をする。

「ただどこまで協議出来るかだな。実質問題、いま401は弾薬を使い果たし、一刻も早い帰還と補給が必要だ」
「501のウィッチ達も大分激戦を行ったからな。どうする、先に戻らせるか?」
「いや、今後についてはこちらでの戦闘経験のある千早艦長には同席願いたいね。警戒には増援で来た我々で行おう」
「大丈夫か? 増援部隊もかなり激戦だったが」
「正直な所、これ以上向けられる戦力もいないというのが本音だけどね」
「戦力になりそうな者達と正式に同盟を組む前に攻めてこられるしな………」
「なし崩し的にそちらに参加せざるを得ない訳か」
「残念ながら…どこもいきなり戦闘に巻き込まれてです。こちらは気付いたら東京湾にてJAMの東京大攻勢に巻き込まれまして」
「こっちは自由の女神前にいきなり砂漠と敵が現れたからね〜。JAMもわざとやってるんじゃ…」

 その場で協議か愚痴か分からなくなってきた時、突然鎮守府内に轟音と振動が響き渡る。

「また敵襲か!?」
「近いぞ!」

 その場にいた指揮官達が思わず室外へと飛び出し、廊下の窓から外を見る。

「あ、すいません。ちょっと手違いで」

 そこには、手に棒切れのような物を持ったアウロラが、頭を下げながらこちらの方、正確には建物の壁を指差す。
 つられてそちらを見た指揮官達は、建物の壁に突き刺さっている金属板のような物に気付く。

「これは…」
「あ〜、ユーティライネン大尉のスコップだな」

 それが、刃先だけ千切れ飛んだ巨大スコップだという事にようやく気付いた指揮官達が唖然とする。

「ユーティライネン大尉、説明を」
「それが、坂本少佐がアレ壊そうって言うんで、壊そうとしたらこっちが壊れて」

 ガランドが説明を求めると、アウロラが説明しながら、自分の前にある物を指差す。

「なるほど、アレか………」

 冬后提督がアウロラの前にある物、サルベージされて適当な台の上に置かれた烈風丸に気付くと顔をしかめる。

「ユーティライネン大尉でもダメか」
「あ、今他にも」
「ランブリングホイール!!」

 そこで今度はジェミニがロデオスターで必殺技を叩き込む。
 周辺をすさまじい衝撃と共に土埃が吹き上がり、とっさに閉められた窓に振動と土埃が叩きつけられた。

「………で?」
「あれえ? これでもダメか〜」
「ほとんど破損が有りません、姫」

 土埃が収まった所でサニーサイドが顔を突き出して確認すると、そこには破壊された台と穿たれた地面、そしてそのままの状態で転がっている烈風丸が有った。

「じゃあ私が!」

 次に響が名乗り出ると聖詠を奏で始める。
 振り上げた拳が振り下ろされる前に再度窓が閉められ、先程よりも少し派手な衝撃と土埃が吹き上がり、窓にそれらが叩きつけられる。

「………結果は?」
「う〜ん、出力足りなかったかな?」
「お姉様、これ以上は危険よ。ここが」

 群像が半ば確信しつつ聞くと、そこにはかなりの穴となった地面と最早残っていない台、そしてそのままの烈風丸が転がっていた。

「あれだけの攻撃を叩き込んで折れないとは………」
「そろそろこちらの被害が問題になるのだが」
「すまない、こちらで片付けさせる」

 サニーサイドが考え込む中、冬后提督のボヤキにガランドが頭を下げる。

「改めて何なのですか、あの刀は」

 どう見ても異常な烈風丸に更識少佐があからさまに険しい顔をする。

「元は501の坂本少佐が自ら使うために打った刀だったはずなのだが、こちらの作戦中に紛失、それが何故かそちらに流れ着いたようだ」
「明らかに改造されているがな」

 ガランドの説明に群像が付け足す。

「アレの破壊には賛同するけど、さてどう壊すべきか」
「封印して一度持ち帰るしかあるまい。最早アレは誰の手にも余る」
「401の修理が終わったら、浸食兵器か超重力砲で消去した方がいいかもしれません」

 NORNの指揮官達も烈風丸の扱いに頭を抱える。

「とにかくどうにかしてほしい。大本営で妙な興味を持たれても困る」
「サルベージされた事は伝わってはいないはず………このまま機密扱いにすべきだろう」

 冬后提督と更識少佐もあからさまに顔をしかめる。
 そもそも海中に沈んでいたのを発見されたが、潜水艦娘達が誰も触るのを嫌がり、結局メンタルモデル達が潜水してサルベージしたという曰くつき過ぎの妖刀に指揮官達はとにかく封印の方向で意見が一致する。

「あの烈風丸もJAMが仕掛けた事の一端でしかないらしいからな………」
「前に前線基地を攻撃した時は、色んな世界からかき集めた資料が山と出てきたそうだからね〜」
「もう何を持っていかれて、どう改造されてるか見当もつかないでしょう」
「………どうやら今回の襲撃以上にロクでもない事に巻き込まれていくようだな」
「確実に一つの鎮守府で収まる問題でないのは確かです」

 更に色々な情報に、冬后提督は頭を抱え込みそうになり、更識少佐もため息を漏らす。

「こちら側の最終判断は神崎提督に一任する事になるでしょう。あの方が直接乗り出したなら、大本営の批判派も口を出せなくなるでしょうし」
「理解が有って力もある方がこちら側についてくれるのは喜ばしい限りだが、本当に大丈夫かね?」
「それは神崎提督当人にお聞きください」

 断言する更識少佐に、サニーサイドは若干訝し気な顔をする。

「大本営で少し話したが、恐らくこちらにはついてくれるだろう。実に話が通じる方と見た」
「徹底した現場主義者という事ですか………」

 ガランドも頷く中、群像も武装神姫を通じて送られてきていた大本営での事を思い出す。

「まずは神崎提督の受け入れ態勢を整えておかないとな」
「力仕事には事欠かん人材ばかりだ、問題あるまい」
「その、まずはそこの壁に食い込んでいるのを抜くべきかと…」

 外から聞こえてくるガレキの撤去音に手伝っているらしいストライカーユニットやスターの駆動音が混じるのを聞きながら、冬后提督とガランドが頷くが、ウィトゥルースが先程飛んできたスコップの方を指差す。

「401の弾薬が尽きている以上、一刻も早い帰還が必須だが、エイハブの方は?」
「あ〜、急いでいたから、転移可能なのは片道分だけらしい。追って帰りの分のバッテリーを寄越すとは言っていたが………」
「401の転移装置は使えるのだろう? なら帰還の分のバッテリーが届くのを待ってからだな」
「違う世界の行き来にはかなりのエネルギーを必要とするそうだな。やはりそう簡単には出来ない訳か」
「こちらの世界への転移装置設置、異なる世界への出動態勢の確立、その他諸々と課題は山積みだね」

 議論する程積み重なっていく課題に、指揮官達が頭を抱えそうになる中、部屋のドアがノックされる。

「提督、神崎提督が来られました」
「もうか、片付けも終わってないが………」

 片付けの指揮を取っていた長門から待ち人の来訪を告げられた冬后提督は、席から立ち上がる。

「来賓室を用意出来るか?」
「それが、今回の戦闘の件も含めて至急の会談が希望と…」
「余計な気遣い無用か。さすがに判断が早い」
「そうならざるを得なかっただけですので」

 冬后提督がちゃんと迎え入れようとするのを、向こうが急かしているらしいことを告げられ、ガランドが思わず頷いた所でそれに返答する声が響く。

「神崎提督、まだ準備が…」
「不要です。今必要なのは今後についてのみ、でしょう?」

 いつの間にか背後に来ていた神崎提督に長門が驚く中、神崎提督は室内へと入ってくる。

「大本営での事を見ていたそうだけれど、改めて初めまして。佐世保鎮守府提督、神崎 ヴィオラ大佐です」
「401艦長、千早 群像です」
「紐育華撃団司令、マイケル・サニーサイドだ」
「さて、まずはそちらとの同盟について双方必要な物を伺いましょう」
「双方必要な物は同じ、情報・技術・戦力。そちらがそれらを提供するなら、こちらもそれらを提供する。NORNとは言わばそういう組織と言えるね」

 長門が慌てて神崎提督のイスを用意してそれに座るや否や、率直な質問にサニーサイドが代表するように答える。

「特に深海棲艦との戦闘技術が問題です。純粋に深海棲艦と対抗出来るのは、現状そちらの艦娘しかいない。有数の火力を誇る401の兵装を以てしても、深海棲艦には決定打になり得ない」
「それはこちらも通った道よ。艦娘の覚醒と艤装の開発、鎮守府によるそれらの運用方法、これらを構築するまでにどれだけの予算と資材、そして犠牲を出した事か………」
「それは恐らくどこの世界もそうでしょう。問題は、JAMと呼ばれる存在により、その構築された対抗策が通じなくなってきている」
「故に我々は互いの対抗策を持ち寄り、発展させ、対抗しなくてはならない」
「分かりました。責任は全て私が持ちます。早急にそちらのNORNと呼ばれる組織に我々も参加しましょう」

 僅かな会話と、何より先程の戦闘の異質さから、状況は予想以上に切羽詰まっていると判断した神崎提督は、その場でNORNへの参加を表明する。

「よろしいのですか? 大本営でもまだもめていると思われますが…」
「もめる事しか出来ない連中なぞほおっておきなさい。国防を権力闘争としか見てない阿呆共なぞ」

 冬后提督も確認を取ろうとするが、あまりに辛辣な神崎提督の言葉に思わず黙る。

「いやはや、大分ご苦労されたようで」
「こちらの総統はウィッチ関連の事は全て私に丸投げしているしな」
「確かに、世界が壊れかけても権力闘争を止めない連中は多いですし」

 サニーサイド、ガランド、群像がそれぞれ少し遠い目をする。

「さて、それでは正式参加について必要な物は何かあるのかしら?」
「差し当たっては、こちらの本部となっている学園にて今後についての会議が開かれるだろうから、それに出席してもらいたい」
「今頃、他の組織の者達も今回の戦闘のデータを見ているだろうからな。そしてもしこれが自分の所に来たらどうすべきかを考えているだろう」
「前に一度学園に深海棲艦が攻めてきた時は苦労したからな………」

 神崎提督の問いに、サニーサイド、ガランド、群像がそれぞれ答える。

「そちらでの深海棲艦との戦闘の資料も見せてもらいたいですわね」
「それなら401のデータバンクに保存されています。参考に閲覧しますか?」
「頼みます」
「確かにそれは参考にすべきですな」
「今準備を」

 神崎提督の提案に群像が参考資料の閲覧を提案し、冬后提督もそれに賛同する。

「やはりネックは相手が海上もしくは海中におり、なおかつ霊力や魔法力の類の攻撃しか有効打になりえない、という事だね」
「もしくは浸食兵器や超重力砲のような次元型兵器の使用。ただこれは周辺への影響も大きすぎる」
「海面を氷結させて陸戦に持ち込むというのはいい手段かもしれませんね。ただやはり強度の問題がある模様ですが」
「まだ実験段階の代物だったそうだからな…」

 指揮官達の協議は白熱の様相を呈していった。



「これは………」
「あら、扶桑。神崎提督のお供?」

 片付けの最中の様子を見に来た扶桑に、指示を出しながら自ら片付けていた陸奥が声をかける。

「ええ。酷い有様と言うべきか、襲撃規模の割にこの程度でと言うべきか………」
「後者ね。ウィッチの人達が頑張って主要施設の破壊は免れたわ。大破艦は出たけれど、沈没艦は無し。治癒能力を持っている人達が入渠も無しに治療してくれているわ」
「治癒? そんな事も出来る人達が…」
「ちょっと変わってる人達も多いけれど」
「すいませ〜ん、これどこに運べばいいですか?」

 声のした方向に扶桑が振り向くと、そこに少しだけ傷んだコンテナが宙に浮いてるように見える。
 その背後に、完全にコンテナに隠れている小柄な人影がいるのに遅まきながら気付いた。

「それは向こうの第二倉庫にお願い」
「分かりました!」

 駆逐艦位の背丈しかないウィッチの真美が、戦艦クラスでもないと運べそうにないコンテナを平然と運んでいくのを扶桑は唖然として見ていた。

「ウィッチっていう人達は皆さん結構力持ちみたいね。彼女は一際だけど………」
「ここに来るまでに聞いたのですけれど、呉鎮守府で武蔵さんと鉄骨で殴り合った方もいたとか」
「そうらしいわね………さすがに聞いた時は呆れたけれど。一つ言えるのは、NORNっていう組織はどこも出来る人達ばかりって事ね」
「神崎提督はNORNへの参加をほぼ決定している模様です。大本営では先程の戦闘を見せられてもめてるようですが………」
「まあどこも最初はもめるでしょうけれど」

 そこに神崎提督と一緒に戻って来たヒュウガが、空中に何かを投射しながらこちらに来る。

「色々な技術格差のある戦闘を見せられて、冷静でいる方は珍しいでしょうから」
「その通りね」
「深海棲艦の出没初期もそういう状態だったと神崎提督から聞いてます」
「ただちょ〜っと派手にやり過ぎたわ。401丸腰になってるわね。早く戻って補給したいのだけれど、交代でどこか来るのかしら?」
「駐留部隊が来るにしても、受け入れる余裕あるかしら?」
「そう言えば、今回の戦闘の映像資料、早急に他の鎮守府にも回すようにと神崎提督から指示が出てましたわ」
「どこに送っても騒ぎになりそうね………」
「杉山提督はすぐに動くそうです。神崎提督が動いた以上、あの人はためらいなく追従するでしょうし」
「他の鎮守府の提督がどう動くかね………海の魔女が直接動いたと知れば、それに反対する提督はいないでしょうけれど」
「問題は今後どうなるかですね………今でもようやく拮抗状態だというのに」
「悪い事にならないとは思うわよ」

 そこで聞こえてきた声に扶桑が周りを見回し、そこで上空から降下してくる小さな影を発見する。

「あら、かわいい」
「FAG・SA―16 スティレットよ。よろしく」
「最初に知らせてくれたのはこの子達なの」

 陸奥は自らの肩に降りたスティレットを紹介しつつ、扶桑に説明する。

「多分すぐにでも必要機材の類は送ってくれると思うわ。人員はちょっと難しいかもしれないけど」
「他の世界とかに今NORN参加のためにコンタクトしてる最中らしいわ。もっともまだコンタクトできてない世界も幾つかあるらしいけれど」
「数名だけ飛ばされてきた例もあるからね」

 ヒュウガが数名だけの例を上げていく。

「先程歌いながら鉄拳振るってた子なんかその典例よ。彼女の世界はまだ発見も出来てない」
「それは………大変ね」
「ま、見る限り仲良くはなってるようだけれど」

 ヒュウガの指摘通り、向こうでシンフォギアをまとってあれこれ手伝っていた響にロデオスターに乗ったままのジェミニが何か話しかけているのが見えた。

「トんでもないのだと、どこぞの国の女王様とその護衛のマイスター乙HiMEとやらも来たわ。まあ王族だの貴族だのは他にもいるのだけれど」
「本当に色んな方がいるのですね………」
「ああ、こっちだったか」

 扶桑が変な所に感心する中、更識少佐が扶桑の姿を見つけて駆け寄ってくる。

「急遽NORNの指揮官達が集まって会議をするそうだ。神崎提督もそちらに赴くから、私と扶桑とで従兵をする事になる」
「分かりました。艤装無しになりますが…」
「私も武装は最低限と言われた。逆に護身用くらいは持っておけともガランド提督から言われている」
「ああ、こちらも来ましたわ。では神崎提督を含め、会議に出席の方は401の転移装置に案内しましょう」

 ヒュウガが案内しようとする中、陸奥が思わず意味ありげに微笑む。

「私も行ってみたいわね。色んな世界の人が集まる場所なんて」
「多分すぐ来れるとは思いますわよ? まあ緊急出撃でない事を祈ってますけれど」
「今回のように、か」

 更識少佐が上空のエイハブの方を見て呟く。

「自前で何とか転移装置運用可能な艦は少ない物でして、401も引っ張りだこですわ。あの飛行母艦も帰りのバッテリーが届くまであのままですけれど。大型宇宙戦艦でよければすぐに往復できるかもしれませんけれど?」
「………あまりこちらを混乱させないでほしい」

 ヒュウガの皮肉に更識少佐が顔をしかめる。

「ああ、貴方は別の事が気になっておいで? 見た目からして確かにこちらに登録されている方とよく似ていらっしゃるし、転移先の学園で生徒会長してる人なので、お会いになってみるのも面白いかもしれませんね」
「………お前のパラレルは神崎提督の所にいるぞ」
「あらそう? 今の所、メンタルモデルと艦娘の同型艦は何故か中身は正反対らしいですわ」
「それってああいう感じ?」

 陸奥が指さした先、金剛とコンゴウが何か親し気に話し合っているが、その隣では霧島とキリシマが何故か取っ組み合いのケンカをしている。

「………分かりやすい例だな」
「会わないというのも一つの手かもしれませんわ。少なくてもケンカにはなりませんし」
「いや、だが私の子孫という事は私は結婚できたという事で、つまりは…」

 何か明後日の方を向いてブツブツ言い始めた更識少佐に陸奥は不思議な顔をする。

「あの不動の盾無があそこまで悩むなんて、パラレル存在ってのは厄介なのね」
「そうみたいね。少し先の世界から、通信越しに子供がこちらの誰かを見てママって言って大混乱した事もあったみたいよ」
「それはするでしょうよ………」

 思っていた以上に厄介な事に巻き込まれそうな気がしつつ、陸奥は作業を再開させた。



「それじゃあ、貴方が…」
「そう、この401のメンタルモデル。みんなからはイオナって呼ばれてる」
「あ、改めて初めまして。呉鎮守府 第二潜水艦隊所属、イー401。しおいって呼ばれてます」

 イオナとしおいの対面を、蒼き鋼のクルーと第二潜水艦隊の者達が微妙な顔で見ていた。

「マジで正反対だな、見た目から………」
「そうみたいでち………」

 不思議系とスポーツ系という完全に正反対っぽい二人の401に、杏平とゴーヤは思わず唸る。

「私達のもいるのかな?」
「残念ながら、霧の艦隊で潜水艦クラスがメンタルモデルを持つのは稀なようです。最低でも巡洋艦クラスからだとか」
「残念なような、安心したような………」

 イムヤとハチが僧からの説明に少しだけ項垂れる。

「あ、先程は支援ありがとうございました」
「気にしない。これから仲間になるようだし。それに私の兵装では深海棲艦にダメージは与えにくい」
「それでもあの設置型魚雷とかの援護は助かったでち」
『お陰で完全に弾薬庫空よ………』

 タカオも加わり、双方の間でお礼を兼ねた会話が進んでいく。

「じゃああんたらはこのままそっちの鎮守府に帰投か」
「そうなるようでち」
「修理と補給が終わってからだけど」
「あ〜、向こうの少しばかり私物置きっぱなし」
「それ位なら後で送りますよ。そちらのNORN参加が完全決定したら、各部署に転移装置を設置する事になるでしょうし」
「転移装置の制御プログラムは全武装神姫に転送されている」
「受領済みだ」
「ホントに色々便利でち、この小っちゃいの」

 色々な話が飛び交う中、ある通信が飛び込んでくる。

「艦長から通信、神崎提督及び従卒二名がこちらの転移装置で学園に向かうそうです」
「出力大丈夫ですか?」
『休ませたからなんとか』
「即断ですぐ合流でちか。相変わらず行動が早い人でち」
「話が早くてこちらは大助かりですけどね」
「艦長とガランド少将も一緒に一度学園に戻るそうです。だとしたら戻ってくるまで私達戻れないかもしれませんね………」

 静のうなだれた声に、僧は少し考える。

「今の401は転移装置の置き場兼転移時のビーコンですからね。もうしばらく持たせましょう」
「もしまた攻撃されたら、今度こそヤバいぜ?」
「エイハブは攻撃力的には微妙な所ありますからね」
「飛行船だからな〜………」
『あ、もう来たみたい』

 戦闘が終わったら終わったで別の不安要素がアレコレ出る中、神崎提督達の到着をタカオが知らせる。

「ホント行動早いな、結構な歳に見えたけど………」
「そうでもなければ、海の魔女なんて言われてないでち」
「みんな、聞いてるな」

 そこで群像がブリッジへと顔を出す。

「やはり今回のJAMによるものと思われる改造深海棲艦の件を他の指揮官達も重く見ている。通信ではなく、各指揮官達が直に緊急会議を開く事になった」
「それだけ危険な兆候と踏んだ訳ですか」
「一理あるな。今度はどんな化け物出てくるか分かった物じゃねえ」

 群像からの話に、僧と杏平も思わず頷く。

「そういう訳で少しここを開ける。代わりに一刻も早くこちらに設置する転移装置を送らせ、設置完了と共に401は向こうに帰投する事になる」
「それっていつですか?」
「かかっても数日中だろう。大本の学園の大型転移装置も何とか大丈夫そうだ」
「早く頼みてえな。丸腰じゃオレの仕事がねえ」
『じゃあ向こう手伝ってきたら?』

 ボヤく杏平に、タカオが外の光景を写す。
 重機が必要そうなガレキを平然と運んでいる者達を見て杏平が頬を引きつらせた。

「あれがオレに出来ると思うか? うわ、中学生くらいの子が馬鹿でかいの運んでやがる………」
「邪魔になるだけでしょう。我々は状況の安定までここの警戒及びポータルの役目を果たすだけです」
「情けねえけどそうだな。適材適所って奴だ」
『準備出来たら、エネルギーライン転移装置に回すよ〜』
『学園の大型転移装置とのリンク確認、転移シーケンス始めるわよ』

 何やかやと言いつつ、動力室のいおりと協力してタカオが転移準備を進めていく。

「では行ってくる」
「おう、留守は任せとけ」



異なる世界 学園 大型転移装置

「ほう………」
「すごいですね」
「これが…」

 先程までの狭い潜水艦内から一転して、大規模な装置の中央に突如として転移した神崎提督と扶桑、更識少佐が全く未知の技術に驚愕する。

「転移確認、では次が来ますのでこちらに」
「ようこそ学園へ。私はIS学園生徒会長、更識 盾無と言いま…」

 転移装置を操作するエミリーが促す中、来訪者を出迎えようとした盾無に瞬時に近寄る者がいた。

「そうか、お前がこちらの盾無か」
「あの、何か?」
「私は海軍特別憲兵隊隊長、更識 盾無少佐だ」
「………え?」

 向こうが自分と全く同じ名前を名乗った事に、盾無はしばし沈黙し、そしてある結論に辿り着く。

「その、もしかして…」
「多分お前の先祖なのだろうな。話が本当なら」
「えと、その…」

 予想外の人物の登場に、盾無が珍しく口ごもる。

「ちょっと個人的に話がしたい。主に家系的な事で」
「その、パラレル存在だとそちらと同一ではないという話が…」
「ならそちらの私がいつ結婚したのかだけでもだな」
「あの、神崎提督…」
「好きなようにさせましょう。誰にだって大事な事は有りますから」

 目の色を変えて自分の子孫(パラレル)に詰め寄る更識少佐に扶桑が神崎提督の袖を引くが、神崎提督は気にせずその場を開けて後続を待つ。
 続けてきたサニーサイド、群像、ガランドが転移装置脇で何か言い争っている二人を見ると、微妙な表情をする。

「え〜と、あれはどうしたのかな?」
「それが、直系の血族らしくて………」
「やはりそういうのが出てくるか…」

 サニーサイドの質問に扶桑が答えるが、群像がこめかみに指をあてて思わず唸る。

「あ、すいませんが次が来るのでそこを開けてください」
「おっと、そうか」

 エミリーの支持にガランドが頷いてその場を開けると、すぐに別口の転移が始まる。
 程なく、帝都から大神、米田、それに加山が転移してくる。
 その三人ももめているらしい二人を見つけ首を傾げる。

「何かあったのかな?」
「お二人とも、更識 盾無という名だそうです」
「ただの同姓同名、って訳じゃなさそうだな」
「更識 盾無は更識の長子の継名だそうですから」

 大神も思わず確かめる中、扶桑が再度答え米田も首を傾げるのを何故か加山が答える。

「何でそれを?」
「ああ、すぐに分かる。ここから帝都に連絡出来るかな?」
「情報班の方なら汎用デバイス渡されてるはずですけど」
「まだちょっと使い切れてなくてね」

 加山がエミリーから渡されたデバイスの使い方を聞きながら、どこかに連絡を入れる。

「止めなくていいのかな?」
「今止められそうなのを呼んだから」
「おっと、新顔もいるな」
「初めまして、私は佐世保鎮守府提督をしている神崎 ヴィオラ。階級は大佐です」
「神崎?」
「あ、最新情報だと、神崎 すみれ女史のお孫さんだそうだ」

 神崎提督の名乗りに少しだけ首を傾げる大神に、懐にいたプロキシマが説明する。

「おいおい、こっちはスミレの嬢ちゃんの孫かよ………」
「あら、御婆様のお知り合いの方でしたか」
「ええ、まあ………」
「機会が有れば、若い頃の御婆様にお会いしてみたいですわね。帝国劇場のスターにして、神崎重工を有数の企業にした女傑。彼女がいなければ、今の艦娘システムを構築する事は出来なかったでしょうから」
「そうですか………」

 神崎提督の話に大神はすみれを呼ぶべきか否かを本気で悩む。

「なんか怖えな。祖母位の歳の孫が来るなんざ………」
「あくまでパラレルなので、当人自身という訳ではないけどね」

 米田も思わず唸る中、プロキシマが訂正するがそこで転移装置が動いて一人の人影が出てくる。

「あれ?」

 それが帝国劇場の前でいつも土産物売りの出店を開いている女性だと大神が気付くが、その土産物売りが口論状態の二人と加山を交互に見、何か鋭い視線を加山に送ると二人の盾無の方へと向かう。

「そこまでにしなさい」
「なんだ、これは私達一族の問題だ!」
「いや、そうなんですけど…」
「私の問題でも有るわ」

 その土産物売りは更識少佐に肩を手に置いて止めると、被っていた帽子を外す。
 そこから、二人によく似た顔が出てきた事に二人の盾無の動きが止まる。

「あの…」「まさか…」
「帝国華撃団月組、隊員の更識 盾無よ」
「三人目…」
「まさか彼女も…」
「多分ね」

 エミリーと大神も思わず驚く中、加山が意味ありげに笑う。

「隊長から更識 盾無を名乗る人がいるとは聞いていたけど、二人もいるとはね」
「えと、つまりは」
「私、そっちの憲兵、そっちの女生徒の順かしら」

 三人の盾無は、互いの顔を見て思わず唾を飲み込む。

「では貴方が…」
「一応先達らしいから言っておくけど、あまり深くは知ろうとしない方が賢明だと思うわ」
「確かに…」

 更識少佐が更識隊員を見て硬直するが、更識隊員の警告に盾無は深く頷く。

「ちょっとこちらに」

 更識少佐が手招きして他の者達から距離を取ると、三人が車座に座って何か小声で話し始める。

「その、真名は?」
「私は…」
「まさか曾祖母様!?」
「貴方は?」
「私は…」
「………恐らく高祖母です」
「………分かった、これ以上は追及しないようにしよう」

 確認した三人の盾無は、お互い頷いてその場で切り上げる。

「この様子だと、もう何人か出てきそうですね………」
「私より前って事は無いと思うけど」
「だとしたら、お前の子孫あたりか?」
「まさか………」



異なる世界 ガルデローベ学園 学生寮

「くちゅん!」
「タテナシちゃん、風邪?」
「アレルギー?」

 いきなりくしゃみをしたタテナシに同室のひかりとディアナが声をかけてくる。

「体調に問題は無いし、アレルギーの類も無いわ」
「じゃあ誰か噂してるのかな?」
「どういう事?」
「あ、私の国で誰かが噂してるとくしゃみするって言うんです」
「聞いた事あるわ。でも誰が?」
「さあ?」
「御家族の方とか」
「どうかしら?」



異なる世界 ブルーアイランド

「以上が、つい先程送られてきた戦闘詳細よ」

 会議室に集められたソニックダイバー隊、ビビットチーム、Gの天使達が食い入るように終了したばかりの深海棲艦との戦闘を見ていた。
 ジオールが説明するより早く、皆がそれぞれ論議を始める。

「まさか、坂本さんの烈風丸があんな事に…」
「ウィッチのシールドでもきついとなると、対処法が難しくなるわね」
「海の上か〜。飛んでれば大丈夫かな?」
「通常兵器効かないって事は、パレットスーツは効くのか?」
「私達が行ければ良かったけど、ここを離れるなって指示だったし…」
「問題は、これが対岸の火事じゃないって事ね」

 瑛花の一言に、全員が思わず顔を見合わせる。

「あの、多分JAMはアローンのパワーが強すぎて干渉できてないかと………前出てきた時、双方戦ってたし」

 ひまわりが小さく手を上げて、前に有った三つ巴の戦いを思い出しながら発言する。

「その戦いなら私もデータバンクから見たわ。けれど、アローンに干渉できなくても、他には干渉出来るかもしれない」
「まさか他にも烈風丸が…」
「それからは離れなさい」

 瑛花の指摘に音羽がややずれた懸念をするのを瑛花は修正する。

「まだ見つかっていないこの世界の転移者、アローンに何らかの操作を加えてる者、そして他のマルチバースからの軍勢、可能性は幾らでもあるわ」
「ややこしいな〜………」
「だよね………」

 ジオールの上げた可能性にあかねが思わずぼやき、亜乃亜も思わず同意する。

「JAMに干渉されているマルチバースが多過ぎてGでも感知しきれてない実情だからね………失踪した雁淵曹長と香坂女史の所在も掴めてないし」
「これまでのパターンから見て、恐らく無事だとは思いますけれど………」
「面倒ごとに巻き込まれてそうだけどね」
「つまりあんまりこっちと変わらない?」

 あれこれ話し合う者達を前に、ビビットチームは少し考える。

「あの、詰まる所、私達は何をすればいいのでしょうか?」
「結局一緒、来る敵を迎え撃つ。それだけよ」

 あおいが恐る恐る聞いてくるのを、瑛花はあっさりと言い切る。

「問題は何が来るか分からないという事ですね…」
「アローンっていう絶対敵対者がいる以上、他の世界からの戦力を持ち込むかは不明よ。特にパレットスーツは対アローン用に出力特化してるから、逆に応用が利かないし」

 ジオールが考え込む中、マドカがある点を指摘する。

「それを言うなら、私達も一緒よ」
「ソニックダイバーは対ワーム用、応用してナノマシン系に効くけど、音羽が深海棲艦と戦った時はさっぱりだったし」

 瑛花も頷く中、エリーゼも前の学園での戦闘を思い出して指摘する。

「多種の敵に有効な汎用兵装の類が開発できればいいんだけど………」
「あ、おじいちゃんも色々やってるみたい。示現エンジンのエネルギーをもっと汎用化出来ないかどうとか…」
「全員がパレットスーツ並みの出力は無理だと思うけど…」

 あかねが聞いていた事を思い出すが、頭上にいたフレスヴェルグはむしろ呆れる。

「そちらの装備をソニックダイバーで使えても、機体が耐え切れないのは確かね」
「これだけの出力はあと蒼き鋼の艦位では?」
「超重力砲とか並の攻撃を繰り出せる装備なんて、何考えて作ったんだか…」

 自分達と比べて明らかに出力過多過ぎるビビットチームにソニックダイバー隊が半ば呆れる。

「問題はそれだけの出力でも深海棲艦やノイズには効かないという事ね。そいつらがこちらに来ないといいのですけど」
「JAMの目的がデータ採取なら、むしろ交戦不可の所には送ってこないかもしれないわ」
「プラトニックエナジーは効くから、もし来たら私達だけで相手することになるかも………」
「エイラさんに占ってもらえば分からないかな?」
「そこまで具体的な占いじゃなかったような…」

 あれこれ話が錯綜していく中、瑛花が手を叩いてそれを中断させる。

「ここで議論してもどうにもならないのだけは確かよ。出てきた敵を迎撃する、それだけよ」
「その通りね。JAMの行動分析は始まってるけど、まだ未知の部分が多くて難航しているわ。分かっているのは一つ、かなり強い執着心を持っている事。そして他でもないの対象は私達自身」

 瑛花の断言にジオールの言葉が重なり、全員の顔が引き締まる。

「とにかく、シフトに従って待機を続行。捜索中の他の世界からの転移者は、そろそろ何か動きを見せるかもしれないわ」
「それにしてもどんな人なんだろう?」

 瑛花が閉めようとした言葉に、あかねは大きく首を傾げた。



「そろそろね」
「次のテロか?」

 れいの部屋で呟かれたれいの呟きに、相変わらず鳥かごの中のミズキが思わず突っ込む。

「好きに言いなさい。でもこれは私の世界を取り戻すための戦いよ」
「世界、か………」

 切羽詰まった顔のれいに、ミズキは少し前にGから送られてきたデータを参照する。

(マスターは騙されている可能性は極めて大きい。だがこれを伝えた所で信じてはもらえん。さてどうすれば………)
「手伝う気が無いなら、貴方もとっとと向こうに合流したら? そんな変わらないから」
「そうもいかん。マスター登録変更は色々手順が多いからの」
「じゃあ留守番でもしてなさい。邪魔だけはしないで」

 それだけ告げると、れいは準備を進めるべく自室へと向かう。

「さてこれからどう動くべきか………そなたはどう思う?」
「ぴ〜?」

 ミズキに話しかけられた本来の鳥かごの住人のピースケは不思議そうに首を傾げた。

「NORNもマスターの存在に薄々気付いておる。やはり何かやるとしたら次か………どうすれば、マスターを救える?」

 ミズキの疑問に、答える者は誰もいなかった………






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