クリスマスの変 丹磁卯

クリスマスの変 丹磁卯





@ XD編

「こいつは………」
「すごい………」

 NORN主催クリスマスパーティーのノボリが下がったパーティー会場で、奏とセレナは集まったメンツを見て絶句していた。

「色んな所から集まってるとは聞いてたが、確かに色々いるな………」
「軍人さんが多いみたい。あとは学生さん?」
「どれか分からないのもな」

 軍服や制服、そして種々の仮装が入り乱れる状況に、二人は招待してくれた相手の事を思い出す。

「すまない、待たせたか」
「リハーサルが長引いちゃって」

 パーティーの出し物用のステージ衣装のまま姿を見せた翼とマリアに、奏は苦笑し、セレナは目を丸くする。

「なるほど、今はそいつと組んでんのか」
「色々あってね」
「大きいマリア姉さんきれいだよ」
「ありがと、セレナ」
「何なら奏も出るか? 飛び入りもいいそうだ、余程の事をしでかさない限り」
「余程?」
「たまに調子に乗って実弾とか持ち出す人がいてね………真剣剣舞も今年は中止らしいけど」
「残念だな、坂本少佐の居合は見事だったのだが」
「どんな連中が集まってんだ?」
「マジックショーまであるよ、どんなのだろ?」
「コクリコのアニマルマジックね。去年のもすごかったけど」

 そこはかとなく不安を奏は不安を感じるが、渡されたパーティープログラムの内容に目を輝かすセレナに、マリアは少し説明してやる。

「これから宇宙人の星にカチコミに行こうってのに、悠長なモンだな………」
「だからだ。正直どうなるかも分からん。だが決着は付けなくてはならない」

 ついポツリと漏らした奏に、翼は断言する。

「やっぱそのカチコミに手貸すか?」
「言ったはずだ、ギャラルホルンの起動まででいい。でないとそっちの私に申し訳が立たん」
「足りない人手はそこだけだしね。戦力なら十分いるから」
「確かに色んな人達いたけど………」
「あ、奏さんにセレナちゃん」
「来たデスか」

 色々と思う事がある奏とセレナだったが、がそこで話しかけられ、振り返るとサンタルックの装者達を見かける。

「おう、仮装かそれ?」
「華撃団の人達と一緒にダンスやるんだ」
「これはその衣装」
「なんかちょっときついんだが………」

 嬉々とする装者達だったが、クリスだけが衣装に異論を唱える。

「楽しそうでいいじゃないか?」
「二人も楽しんでいってね〜」

 思わず笑う奏達に手を振りながら、装者達が会場へと向かっていく。

「なんかみんな楽しそうだね」
「パーティー好きな人達が多いのよ、セレナも行きましょ」
「なあ、あっちでアメリカンツリーサイズのケーキが次々消えてんだが」
「見なかった事にしろ。腹に溶鉱炉入ってそうな奴も何人もいてな」
「ちょっとどいて〜」
「急げ! もう無くなるぞ!」

 目の前を鳥、豚、牛の丸焼きが急いで通り過ぎていくのを見た奏は目を丸くする。

「なあ翼」
「なんだ奏」
「本当に私も加わらなくて大丈夫か?」

 奏に再度問われ、翼がどう答えようかとそちらを見、自分の方を見て微笑んでいる奏に気付く。

「ああ、もう大丈夫だ」
「そうか、じゃあごちそう食おう! あっちの牛の丸焼きとか!」
「さすがにアレは止めとけ!」
「その後私も歌うぞ!」

 さも楽しそうにパーティー会場に入っていく奏の後を、翼は笑いながら付いていった………



A ソウルハッカーズ2編

「はっ………!」

 Aionのエージェント、リンゴは気付くと見慣れぬ、いやどこかで見覚えの有る場所にいる事に気付く。

「こいつがそうか」

 リンゴのそば、白いスーツにリーゼントの男が立ってリンゴを観察する。

「また奇妙な………人で悪魔でもない………」

 学帽にマント、随分と古めかしい学生姿の若者が首を傾げる。

「問題は使い物になるかどうかだ」

 リンゴの正面、緑色のジャケットにサングラス姿、そして片腕が半ばから消失している男がリンゴを覗き込む。

「とりあえず聞きたいんだけど」
「何だ?」
「その後ろのノボリと下の焦げたの何?」

 リンゴが指さす先、《ソウルハッカーズ2クリア記念クリスマスパーティー》と書かれたノボリが有り、その下には白地に目の縁に炎のような文様が描かれ、額に〈しっと〉と刻まれたマスクを被っている三つの死体(未満)が転がっていた。

「上のは見ての通り、下のは例年の事だから無視していいぞ」

 ジャケットの男、八雲がかなり端折って説明する。

「で、あっちのは?」
「そっち抑えて!」
「封印術式発動します!」
「ふんがあぁ! この程度!」

 葛葉の術者達が周囲を取り囲み、最後の一人になってなお暴れ続ける妙高型3番艦足g…嫉妬修羅四号を取り押さえようとしていた。

「アレも最近の通例だ。そっちの三人よりもやたらとタフでな」

 スーツの男、キョウジが呆れるように呟く。
 その時になって、リンゴは自分の下に召喚陣が有る事に気付く。

「これって、私が召喚されたって事?」
「ああ、新たなサマナーが現れたと聞いてな」

 古めかしい学生、ライドウが召喚陣の中央に置かれた触媒、ソウルハッカーズ2 ザ・コン〇リートガイドを指さす。

「それとクリスマスパーティーに何の関係が?」
「なんでかこの時期になると因果律が微妙になるらしくてな。ヤバいのはともかく、適度にヤバくなさそうなのを召喚するにはちょうど良かった」
「私って適当にヤバくないの?」
「少なくてもアレよりはな」
「ぬおおぉぉ! カップル滅殺〜!!」
「ダメです! 封印が弾けます!」
「少しだけ抑えてて! さらに強固に掛けるわ!」
「………こっちにはあんなのいなかったんだけど」
「なるほど、それはいい世界だな」
「危うく相方が全人類改造しそうになったけどね」
「そんなのこっちじゃ日常茶飯事だ」
「………ここどういうとこ?」
「天使と悪魔と神と人間がショバ争いしてる世界」

 八雲の説明に、リンゴは大きく首を傾げる。

「作者は話が佳境になってきた時点で新規参戦させるかを悩んでいる」
「だから実際に呼び出して確認しようって事だ」

 ライドウとキョウジが補足説明し、リンゴは顔をしかめる。

「八雲〜、パーティーそろそろ始まるって〜」

 そこにサンタコスのネミッサが現れるが、そこでリンゴを見つけるとその顔を凝視し、リンゴも応じるようにネミッサを凝視する。

「あんた、変わってるね」
「貴方も変わってるよ」
「そこまでにしとけ。後はパーティーの後だ」
「カチーヤちゃんは?」
「今終わったようだ」

 八雲が見る向こう、封印されてもまだ呻いている嫉妬修羅四号が姉妹達に引き渡されていた。

「じゃあ始めよう! あんたも一緒に!」
「う〜ん、こっちの仲間は呼べるかな?」
「本編参加が確定したらな」
「現状ではかなり難しいだろうが」
「展開に迷ってるからゼロじゃないんじゃないか?」

 あれこれ適当な事を言いながらも、サマナー達はパーティー会場へと向かっていく。
 なお、焦げた他の嫉妬修羅達はパーティー終了まで放置されていた………



Merry Christmas!!





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