クリスマスの変 TOOTOO

クリスマスの変 TOOTOO







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「え〜と………」
「また随分と…」

 招待状を手に学園を訪れた扶桑と更識少佐は、予想以上に騒がしくなっている状況に驚く。

「どんな世界でも、こういう物は盛り上がる物のようね」

 神崎提督がクリスマスパーティーの準備を進める者達を見ながら、小さく笑みを浮かべた。

「確かに、こういうイベントは変わらないか」
「全くや」

 同じく招待されてきた武蔵と龍驤が、嬉々としてパーティーの準備を進めていく者達を見る。

「杉山提督も来ればよかったのに」
「あの人はこういうの苦手ですから。私達がやる分には何も文句言いませんけど」
「あん強面、こんな所連れてきたら問題ならへんかな?」
「そうでもなさそうですけど………」

 神崎提督が残念がり、武蔵と龍驤がそれとなく否定するが、扶桑は向こうに見える機械人の偉丈夫な姿に少しばかり驚く。

「………ウチの提督よかいかついのおるんやな」
「私と互角に殴り合える者がいるんだ。提督よりいかつい者がいても不思議じゃないな」
「向こうに戦車があるかと思えば、どう見ても小学生くらいの子までいる。聞いてた以上に雑多な組織のようだ」
「でも皆さん楽しそうよ」

 更識少佐が呆れそうになるが、神崎提督が誰もが楽しそうにしている事に思わず微笑む。

「これならウチの娘達ももっと連れてくるべきだったかしら?」
「移動の都合も有りますし」
「こっちの潜水娘達はもう溶け込んでるようだしな」
「ま、せっかくだからウチらも楽しむとしようや」
『それじゃあ、みんな準備はい〜い? 始めるよ〜!』

 ユナの号令の下、NORN合同クリスマスパーティが開始された。


「ふ〜………他の連中ももっと連れてくるんだったか」
「あんだけ飲み食いして言うセリフがそれかい」

 パーティー終了後、赤ら顔であちこちからプレゼント兼手土産としてもらったあれこれが入った袋を抱えた武蔵に、龍驤が呆れかえる。

「酒にうるさい奴もいれば、戦艦並に食う奴もいる。料理上手が多いのはいいこった」
「あの酒豪美人、サハラ戦線のエースらしいで」
「気前のいい奴だったな。蒸留酒なんてこっちじゃほとんど手に入らないってのに」
「バルクホルン大尉と互角に殴り合ったって聞いて大笑いしとったしな………」

 一応クリスマス仕様のリボンがかけられたウイスキーボトルを見ながら、武蔵が豪快に笑う。

「提督にいい土産が出来てなによりだ」
「ウチの鎮守府で飲む奴少ないからな………先に帰った連中は菓子だのケーキだの山と持ってったみてえだが」
「物資が安定してるのはいい事や。まあ潜水娘連中、ここで世話になっとった時も結構たかってたようやけど」
「戦力提供と交換だろ? 持ちつ持たれつってな」
「仲良くはやってけそうや。帰ったらみんなにそう言うとこ」
「ちょっとよろしいでしょうか?」
「ん?」

 上機嫌で帰り足に転移装置へと向かおうとする二人だったが、そこで声を掛けられる。
 気付くと、随分めかしこんでいるらしいIS学園の専用機持ち達に囲まれている事、そして殺気の類は全く無い事に意図が分からず、武蔵は足を止める。

「何の用かな?」
「ウチらはこれからこの手土産持って鎮守府に配らなあかんので」
「あ、用が有るのはそちらの方で」

 セシリアを先頭に、専用機持ち達が武蔵を指差す。

「私か? 何の用だ?」
「その、そちらの鎮守府の提督さんと貴方がご結婚されてるとの噂を聞きまして…」
「ああ、これか。一応仮だがな」
「なんかものすごい実戦派の真面目な人って聞いたけど」
「まあその通りや」
「そんな男をどうやって落としたの!?」
「………いやその」
「その辺をどうしても聞いておきたい物で…」

 明らかに真剣な目で聞いてくる専用機持ち達に、武蔵は頬をかきながら言いよどむ。

「………ウチ土産持って先帰っとるわ」
「結構あるぞ」
「装置まで運んでくれればいいわ。あんたら覚悟しとき、長くなるで」
「あ、お手伝いしますわ」
「だから詳細を…」
「うわ重っ!?」

 それを聞いた専用機持ち達が我先に武蔵の荷物を持とうとし、予想以上の重量に驚く。

「じゃあ提督にはあんたらのなれそめ聞きたがってる連中に掴まった言うとくわ」
「少しかかるかもしれないとも言っておいてくれ」
「了〜解」

 転移装置に手土産を運び込み、龍驤は手を振りながら武蔵の方を見る。

「ではこちらに」
「お茶でよかったら用意するから」
「だから詳細を」
「待て、分かったから!」
「…ありゃ今晩中に帰れんかもな」
「じゃあ起動しますね」

 専用機持ち達が武蔵を半ば引きずるように連れていくのを見送りながら、転移装置管理担当の生徒が転移を開始する。
 なお、武蔵が鎮守府に帰って来たのは翌朝の事だった………



A

「ぬう、まさか………」
「もうこんなに…」
「これも作者の執筆が遅いせいだ………」

 目の縁に炎のような文様が描かれ、額に〈しっと〉と刻まれたマスクを被っている三人組が送る視線の先、なぜかポージングさせられているライドウをあかりが、同じくポージング(なぜかランニング姿に裸足)の順平をチドリがスケッチしていた。

「すごいイケてる! これがRemasterの力なんだね!」
「多分そう」
「何の話だ?」
「さあ?」

「Remasterの力を手に入れる者が次々と…」
「特にライドウの奴はやばそうだ」
「つうかヤバいな」
「こういう時こそ四号はどうした!」
「知り合いの既婚艦娘の話を伝え聞いてヤケ酒で潰れたそうだ」
「何やってんの!?」
「貴方達もね」

 突然話しかけられた事に三人が跳ね上がりそうになるが、いつの間にか背後にいたミレディに気付く。

「あ、あんた確か新入りの…」
「今の世界が気に入らないなら、一度壊してみない?」
「つうかそうなって今こうなってんだが…」
「他の方法も有るわ。ファントムではね」
「いや、さすがにそこまでは…」
「そう、ならそっちは貴方達でどうにかして」
「そっち?」

 ミレディが踵を返した所で、振り向いた嫉妬修羅達の前には、それぞれの得物をかざす女性陣の姿が有った。

『あ………ぎゃあああぁ!』


「毎年の癖にこりねえなこいつら」
「これ毎年やってるんですか?」

 死体(未満)になっている嫉妬修羅だった物を回収する八雲に、それを手伝っているアロウが首を傾げる。

「色んな世界の連中が集まるって事は、妙な連中も集まるって事だ。まだこいつらはただのひがみだから分かりやすいし、対処しやすい」
「そうかもしれませんけど…」

 何か異論を唱えるべきか悩むアロウだったが、嫉妬修羅達が呻きつつもまだカップルへの怨嗟を呟くのを見て何も言わない事にする。

「八雲〜」「八雲さ〜ん、レイホゥさんが呼んでますよ〜」
「おっと、パーティーのシステム調整しなきゃらならないんだった」

 呼びに来たネミッサとカチーヤの姿に、八雲は回収した嫉妬修羅を死体袋(っぽい模造品)に押し込み、そちらへと向かう。

「掴み所が無いのは昔からだったんだな…」
「お〜いアロウ〜、ちょっと人手いるから手伝ってだって〜」
「うお!? なんだこの死体袋!」
「ほっておいていいそうだ」

 そこにアロウを呼びに来たリンゴが転がっている嫉妬修羅入り袋を見て仰天するが、一応中身が動いている事を確認して放置する。

「にしてもこんな状況でクリスマスパーティーってのは、剛毅な連中ばっかだな」
「いいじゃんパーティー。私初めてだし」
「そうだな、楽しめる時くらい楽しもう。ミレディは?」
「先行ってるよ」

 仲間と共に、アロウもパーティー会場へと向かっていった………


Merry Christmas!!






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