BIOHAZARD
TemptFate

第十五章 出撃準備!


作戦立案から十日後、オーストラリア軍基地に来ていたクリス達の目の前には驚くべき光景が広がっていた。

「・・・なぁジャック」
「なに?」
「これは夢か?幻か?」
「いや・・・現実だ」

彼らの目の前にはロッキードC‐5ギャラクシーから次々とコンテナが下されて行く光景が広がっており、時々コンテナに混じって戦車やら戦闘ヘリやらが荷降ろしされているから驚くのも無理はない。
呆然としているメンバーの元にとある人物が近付いてきた。

「いよ〜久しぶりだな我が息子よ」
「お・親父!」
「父さんと呼べと言ってるだろうがーーーーーー!!!!」
「ひぎゃあああああああああああ!!!!!!」

メンバーが気づいた時には、ジャックは自分の父でありNB(ナイトメアブレイカー)社社長でもあるミハエル・シュトラウスのジャブ・フック・右ストレート・アッパーのコンボを食らって吹き飛んでいた。

「どうも初めまして。ジャックの父でNB社社長のミハエルです」
「クリス・レッドフィールドです」

クリスにならって全員が自己紹介していき、一通り終わったところでクリスがミハエルにコンテナについて質問してみた。
それによると、今回の作戦のことを独自の情報網でキャッチしたのち、すぐにオーストラリア政府に援助を申し込んだらしい。
政府の方としても世界的に有名なNB社の援助を受けれるならと快諾した。

「で、我が社の製品を通常の二割引きで援助したんだよ」
『金とったんかい!』

いつの間にか復活していたジャックを含めた全員が一斉にツッコミをいれる。
ちなみに、ジャックの話によるとNB社の製品は独特かつ奇抜なものが多いが性能・威力ともに最高級でかなりの人気があるらしい。
ちなみに、販売するときは絶対に定価販売しかしないらしいが、それでも注文が後を絶たないというから驚きである。

「それだけ凄いってことだな」
「実際、NB社の製品は兵士の気持ちを分かっているかのような製品が多くて熟練者には人気があるな」

シーバスの言葉に、バリーが自分の感想を付け加えた。
バリーのような熟練者が言うくらいなのだから間違いないと全員が思った。

「まぁ〜原価はどれもこれも定価の半額以下だけどね〜」
『えぇええええええええええええええええええええええ!!』

そんなこんなで時間は過ぎていき、ついに作戦開始時刻となった。
今回の作戦目標はエアーズロック地下にあるアンブレラ社所有の極秘研究施設通称「ヘルズゲート」の破壊及びアンブレラ社代表取締役オズウェル・E・スペンサーの逮捕である。
だが、今作戦の目標はエアーズロックという世界遺産の中にあるためあまり派手に事を起こして破壊してしまうと後々問題が発生してくるため、爆発物はすべて研究所内に潜入後に使用を可能とすることになった。
そのため、シュトラウスの持ってきた戦車(鉄鋼榴弾と気化爆弾仕様の砲弾のみ発射可能)や戦闘ヘリ(バンカーバスター並みの威力をもった空対地ミサイル十発装備)は規定いかんの前に装備が過激すぎるという理由のため使用禁止となった。
また、今作戦はオーストラリア軍とスターズの合同作戦となり、アルファ、ベータ、ガンマの3チーム作り、確認されている三つの入り口から潜入する作戦である。
また、最悪の事態も想定し周囲10キロ圏内を軍が完全封鎖し、かつ非常時には特殊部隊が突入する手はずになっている。
さらに、最新の情報によると敵側も覚悟を決めたのか武器弾薬を大量搬入し、攻撃に備えているという。
この大量搬入には軍内にいた協力者の手引きによるものであったことがのちに判明し、関係者は逮捕された。
内部状況の把握が不可能なため突入部隊は現地で詳細な内部情報を得なければならないことと、相手は人間だけでなくBOWも総出で来ることも予想されているため、今任務の難易度は史上最大級のものとなることが容易に想像がつく。
だが、そんな状況においても士気は落ちるどころか上がっていた。
その士気をさらに上げるべく、クリスは全隊員の前で最後のブリーフィングを行っていた。

「全員聞け!これより、俺たちは地獄の門をくぐりこの世に現れた地獄へと向かう!」

全員がこの言葉に息をのんだ。

「正直言おう!恐らく今作戦は人生のなかで最も困難かつ死ぬ可能性が高い!」
「そうだな・・・」

クリスの言葉にバリーがつぶやきで答える。

「だが!それでもこの作戦はやるだけの価値がある!」

そう、この作戦が成功は今までに起きた事件の犠牲者たちの弔いとなり、自分たちの生涯をかけた戦いの終止符となるからである。
この作戦に全ての思いが込められていた。
約十分ほどのクリスの演説が続いたのち、ビリーからの情報をもとにした作戦内容が説明された。

今作戦の目的は、オズウェル・E・スペンサー代表取締役及び関係者の逮捕である。
ただし、ビリーの情報ではスペンサーは人体をBOWの技術を転用した改造がされている可能性があるということなので確保が不可能な場合は射殺の許可が下りている。

次にチーム分けが発表された。
今作戦は一チーム15人の小隊を3チーム作り、確認されている東の資材搬入口、西の第二搬入路、南の正門の三つから潜入することになった。

「すまない、少しいいかな?」

少しして、クリスとバリーによる詳細な作戦行動の説明がひと段落した時、ミハエルが声をかけてきた。

「どうぞ」

クリスはシュトラウスにマイクを渡すと、脇にさがった。

「初めまして、私はミハエル・シュトラウス、NB社の社長をしています」

ミハエルは少し芝居かかった礼をしながら自己紹介を行った。

「今回の作戦は非常に危険でありかつ敵も今までの常識が通用しない相手であると伺っております」

ミハイルの言葉に全員が頷く。それを見て、ミハエルは部下に合図を送り、細長いアタッシュケースを持ってこさせた。

「今回の作戦に我が社が最近開発した兵器を皆様にご提供します」

そして、部下の持ってきたアタッシュケースの中には一丁のアサルトライフルが入っていた。

「このライフルの名前はM17といいますが、我々はこの銃のことをスタープラチナと呼んでいます」

スタープラチナの異名を持つこの銃はぱっと見はM4A1に似ている。
ミハエルの説明によると、この銃はバレル交換を行うだけで5.56mm弾と7.62mm弾の二種類の弾薬を発射でき、かつ銃の全部品を近年開発されたNB社製特殊合金であるイージスで作ってあるため特殊強壮炸裂弾などの強力な弾丸をほぼ無制限にメンテなしで撃てるようになっている。
しかし、この銃の真骨頂は驚異の連射速度にある。
この銃のセーフティー部分にはG(ガトリング)モードというのが存在し、ここにセレクターをセットし100発入りの特殊ボックスマガジン(通常のマガジンも装着可能)を装着することで毎分2200発という恐ろしい連射速度を誇る化け物銃となるのである。
ちなみに、毎分2200発というのは分隊支援機銃として有名なMINIMIの二倍の火力である。

「反動が凄過ぎて撃てないんじゃないかそれ?」

説明の途中でカルロスが最も気になる点を指摘した。
そう、普通のアサルトライフルでもフルオートで発射すると反動が凄まじくまともに狙えたものではないのである。

「その点も考慮して、フロント部分に3.5kgの重りを付けて反動で跳ねあがらないようにし、さらに特殊な反動抑制装置を付けてるからSMG感覚で撃てるぞ」

「銃自体がかなり重くならないか?」
「安心しろ、銃の総重量はフル装填の状態でも4.5kgで抑えてある」
「・・・・え」

実はこの銃に使われているイージスは超軽量金属でもあり、重りをつけなければ弾薬をフル装填した状態でも総重量1kgという驚異の軽さを実現している。
そうして、ミハエルの説明が終わり今作戦に参加する隊員にM17スタープラチナが配布され、予備武装は各個人が好きなものをそろえるようにした。
そして30分後全員の準備が整った。

「行くぞ!」

クリスの号令に全員が雄叫びで答え、史上最大の制圧作戦「メテオストライク」が開始された。

この先にあるのは希望か絶望か・・・・





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