翌日、サンフランシスコ行きのバスに楽しげに乗るビリー達の姿があった。
『大きな家を探しましょ?』とアニーもフランクとの新しい生活を期待している。
だが、自分の居場所は無いと思うニックは乗車券を捨て歩いて行ってしまう。
それに気付いたビリーは慌ててニックのところへ走り寄る。
『バスが出るよ?ねえ一緒に行こうよ!!』
ニックは、そう哀願するビリーの事を優しく抱き上げ、こう言うのだった…
『君の事が大好きだ、けどパパの所へ行くんだ。さぁバスが出るぞ…』
力なくニックの腕から離れるビリー…
そして一瞬、車がビリーの視界を遮った後、ニックの姿は見えなくなっていた。
泣きながらニックの姿を探すビリー。
『ニックおじさん!!行かないで!!………ニックおじさん…大嫌いだ!!』
橋の上で泣きじゃくりながらそう叫ぶと、自分で作った《恐竜の置物》を橋の上から投げ捨ててしまう。そしてビリーは本心の言葉を小さく呟く。
『…ニックおじさん………淋しいよ………』
橋の下で《ビリーの心》を聞いたニックは静かに満足げに微笑む。
《涙が出ない》と言った彼の頬には一筋の涙が伝っている…
その涙を隠すかのように、彼はサングラスを掛けて歩き出すのだった。
手にはビリーが投げ捨てた《恐竜の置物》を持って……
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