劇盗二代目日本左衛門 八州廻り桑山十兵衛


「大山鳴動馬一匹」

 悪党者の甚九郎が宅抜けし、組頭の真田九右衛門の命を受け、十兵衛は密かに甚九郎と密通した清兵衛の妻・きせを見張るために、栃木宿に出向きます。栃木には既に、藤縄弥五郎という八州廻りが逗留していました。
 ここで馬を買う破目になります。


「劇盗日本左衛門の嘲笑い」

 馬に乗ることの是非を問い合わせていた加賀美徳蔵から、かつての日本左衛門(浜嶋庄兵衛)の一件と酷似した押込強盗のことを聞きます。見廻りに行った藤沢宿で、十兵衛たちは泥棒仲間が連絡を取り合っているらしい判じ物を見つけました。


「浪人喬四郎の笑み」

 木賃宿の仁兵衛が総州の生まれたと言うのを頼りに十兵衛は、関宿に向かいます。昼食を取るため入った蕎麦屋で、十兵衛は悪党者の野田の勘助の身内を叩きのめし、浪人・葉山喬四郎と知り合います。


「彫物大名の置き土産」

 佐原に来た十兵衛は、旅籠の常陸屋六兵衛から、ごたごたを起こした挙句に甚兵衛の娘・お小夜をかどわかして逃げた周次を捕まえるように頼まれます。周次は彫物大名として有名な内田伊勢守に匿われていました。  


「女手形の女」

 兄の松五郎が佐渡に送られることを聞いた竹蔵と、松五郎の子分らは、松五郎の乗った目籠などを破り、逃げ出します。その頃十兵衛は、大組合村構想の作業に専念していましたが、目籠破りの事件の探索に新潟へ行き、そこで押込みの話を聞きました。


「虚無僧の後ろ姿」

 十兵衛の馬・登を見た小柳忠五郎という男が、この馬は盗まれた馬ではないか、と言ってきます。盗まれた馬であれば、十兵衛は無料で返還しなければなりません。そして、御馬預の馬淵将監という男が、馬を引き渡すよう十兵衛に言いました。


「蔑みの視線」

 大組合村構想を名主たちに話す十兵衛ですが、名主たちは承知できないと言い張ります。そんな折、虚無僧が殺される事件が起き、十兵衛は玉村宿に向かいます。殺された虚無僧の嘉升こと吉川誠之助は、能勢鉄五郎と知り合いでした。


「斂堂の陰謀」

 虚無僧の人違いをした件で、十兵衛は謹慎を申し付けられ、能勢鉄五郎の件から手を引くことになります。大組合村構想にかかっていた十兵衛のところに、登の世話をしている善八が尋ねてきて、虚無僧が出羽守の屋敷に現れたと言います。虚無僧は、儒学者の杉崎斂堂と会っていました。

劇盗二代目日本左衛門  2001.9 文藝春秋/2003.12 文春文庫 

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