戦艦ライオン級(英)

 ライオン
 コンカラー
 テレメーア
 タイガー

 海軍制限条約明け後の洋上軍事力競争を優位に進めるべく計画された本級は、セント・アンドリュー級を上回る攻防力とインコンパラブル級の航行力を合わせ持つ英国戦艦の決定版的存在の戦艦である。
 本級は、主砲に18インチ砲を搭載する3連装砲塔を3基装備し、18インチ砲弾の攻撃に耐久できる装甲を施した基準排水量60、000トン余りの船体を30ノット以上の高速で疾駆させる高いレベルで攻防走のバランスがとれた巨大高速戦艦であり、あらゆる面で日本の大和型戦艦のライバルと呼べる有力な戦艦で有った。
 本級は、その攻防走のバランスが取れた高性能を得るため、病により第一線から退いたサー・スタンレー・グッドールに代わりエドワード・アッドウッドが設計を担当したため、再び主砲塔集中配置方式が採用された。
 アッドウッドは、グッドールの同僚としてサー・ユースタス・ダインコートの元でインビンシブル級、セント・アンドリュー級、カウンティー級等の大型戦闘艦設計に参加しており、特にカウンティー級第二期の設計では主設計を務めていた経歴を持つ優秀な造船官であった。
 そのためかアッドウッドは、主砲一斉発射時の爆風の影響や艦橋設備の増長性に問題のあったインビンシブル級やセント・アンドリュー級とは違い、全主砲塔を艦橋より前方へ配置するカウンティー級条約型重巡を拡大再設計したような特徴的設計を本級に採用していた。
 本級は、この方式の採用により艦橋部の主砲一斉発射時の爆風問題や艦橋設備の増長性が改善された事に加え、主要防御部がインビンシブル級やセント・アンドリュー級と同様に小型化された事により同じ18インチ砲9門搭載の大和型と比べて5000トン近い基準排水量の縮小に成功している。
 また、本艦の搭載した主砲は、セント・アンドリュー級の18"/45 Mark2型3連装砲を発展させた18"/45 Mark4型3連装砲である。
 実用最大射程38、400mの18"/45 Mark4型3連装砲は、主砲弾重量が、それまでの1325sから1505sに増大したため中遠距離での貫通力が向上した事に加え、弾道安定性が優れるため遠距離命中率等も向上した。
 また、各砲門の射速度こそ1.5発/分と18"/45 Mark2型と同程度だったが、砲塔規模の拡大と構造の改良により遠距離目標に対する全砲門一斉発射が可能となり、遠距離射撃時の単位時間あたりの投射弾数も13.5発/分に増大している。
 この他の本級の特徴として補助火砲に副砲が復活している事がある。この副砲は、ダイドー級大型軽巡に搭載されているものと同型の6"/50 BL Mark23型3連装砲で、3基が船体後部に搭載されている。

 この副砲の復活は、主砲塔集中配置方式により手薄になった艦後方へ対する火力を強化するためのもので、増強の著しい米仏軍水雷戦隊に対抗する阻止火力として、KGX級と比べて1.5倍以上に増大した排水量の余剰分を副砲装備に利用したものである。
 また、本級は副砲の他に5.25"/50 QF Mark1型連装両用砲10基とMark8/M6型8連装機関砲8基、同M7型4連装機関砲6基が搭載されていた。
 本艦の装甲防御力は、主砲塔正面584o、同天蓋部254o、砲塔基部装甲筒523o、司令塔483o、舷側装甲帯432o、防御甲板217oと極めて強固で、特に舷側装甲帯は大和型の410oを上回る432oの厚さがあった。ただし、大和型のような舷側装甲帯の傾斜配置は行われていない。
 また、インビンシブル級を上回る24万馬力の機関出力と、新型スクリュウの採用により本級は30ノット以上の高速が発揮できたばかりでなく、長年にわたり北海で経験を積んだ英国造艦界が得意とする荒天下での航行能力は素晴らしく、安定性や復元性も優秀だった。

 本級は、攻防走の能力がバランス良く高性能で大和型と並んで第二次世界大戦最良戦艦のひとつと言えよう。
 基準排水量 64、000トン 満載排水量 72、000トン
 最大速力 30.2ノット 航続能力
 武装 18"V×3 6"V×3 5.25"U×G

4pdrMG[×G/W×E カタパルト×2
    艦載機×4他

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