戦艦バンガード級(英)

 バンガード
 ネルソン

 英国が建造した最後の戦艦となった本級2隻は、米国で建造されていた18インチ砲搭載艦であるノースダコダ級や、それに続くであろう新型の20インチ砲搭載艦を圧倒するために建造された20インチ砲搭載戦艦である。
 本級は、英国が造艦界が誇りを賭けて建造した世界最大最強級の戦艦で、ライオン級に引き続きエドワード・アッドウッドにより設計されたのだが、戦局の変化や物資や予算の困窮により建造ペースが遅く、そのため就役が尾張型やアメリカ級より遅れ世界初の20インチ砲搭載戦艦の座は逃してしまった。
 それでも本級は、米国のアメリカ級を上回る排水量と武装を持っており日本の薩摩型登場までは、世界最大最強戦艦の座に君臨していた。
 特に本級の直接防御力は、ただでさえ対20インチ砲弾防御で設計されていた事に加え、装甲防御力に定評のある英国戦艦の伝統を正しく継いでおり、その装甲による直接防御力は、主戦距離において自艦の主砲威力を2割近くも上回る米国の20"SHS弾にすら耐久できると考えられるものであった。
 本級の装甲は、主砲塔前面1016o、主砲塔天蓋457o、主砲塔基部筒902o、舷側装甲帯711o、防御甲板343oの厚さを持ち、特に舷側装甲は薩摩型すら上回る厚さであり加えて傾斜配置が採用されていた。
 このため総合的に見ても直接防御力では、改大和型の船体設計を流用してい尾張型を大きく凌駕するばかりでなく、アメリカ級すら上回り、薩摩型に匹敵する程の強固さを持っていた。
 また本艦の主砲は、弾重約1750sの被帽式徹甲榴弾を初速800m/sで発射する事が可能な20"/45 Mark1型3連装砲で、その威力は尾張型の九八式51p砲と比較して近距離でやや優る物の、遠距離ではやや劣り、総合的には同等程度であった。しかし英国では、1940年代末までに米国のSHS弾や日本の五式弾に対抗するため弾重を増して遠距離威力を向上させた20"砲弾Mk2(弾重2020s、初速745m/s)を開発している。
 本級の主砲塔配置はインビンシブル級、セント・アンドリュー級、ライオン級で採用され英戦艦の主流となった主砲塔前方集中配置方式で、特にライオン級と同様に艦橋より前方へ全ての主砲塔が配置されており、極めて良好な主砲弾着散布界を有していた。
 その他に主砲以外の本艦搭載砲の特徴として副砲に日英共同で開発された新型155o連装半自動両用砲7基を搭載した事があげられる。
 この砲は、日本の十三年式15p砲に、英国が開発中だった6"/50 QF Mark N5型連装両用砲の砲架システムを組み合わせて誕生した高性能砲で、対空射撃性能と対水上射撃性能が高い水準で両立ていた。
 英国では、この砲を6.1"/60 QF Mark N6J砲として、そして日本では五式十五糎砲として正式化している。
 また、この他に5.25"/50 QF Mark1型連装両用砲8基とMark8/M6型8連装機関砲8基、同M7型4連装機関砲8基、同M8型単装機関砲多数が搭載されていた。
 また、本艦は日本戦艦すらを凌駕する英国戦艦伝統の驚くべき航洋性と安定性を持っており、その巨大な船体や高性能RDFにも助けられ、冬の北海ですら常時と殆ど変わらぬ主砲射撃が可能で有った。もちろんこのような荒天下の航海・戦闘能力は、米仏伊ソの戦艦に及ぶものが無かった。
 現在、マスコミ等では本級2隻と日本の播磨、米国のアメリカ級4隻の20in砲搭載艦7隻を「ビック・セブン」と呼ぶ。

 基準排水量105、000トン 満載排水量115、000トン
 最大速力30.5ノット 航続距離
 武装 20"V×3 6.1"U×E 5.25inU×G
    艦載機×4 カタパルト×2 他

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