TDFの超兵器
HVRと粒子ビーム兵器

by ジェノ皇子

高初速ロケット兵器(HVR) / エネルギ兵器(粒子ビーム砲)


 今回は人間魚雷回天氏がライフワークのアンバランス・ゾーン・シリーズ最新作「ウルトラ・セヴン 恒点観測員340号」を発表されると言うことでJMRとしましても、何時もお世話になっている回天氏を応援する意味も込めて「ウルトラ・セヴン」を代表とする特撮物に登場する超科学兵器を真面目に解説する事にしました。

 実は兵器関係の解説ならEEGには世紀末覇者氏と言う強力な人材が居るのですが覇者氏曰く「本業との関係で現代戦兵器は自粛!」との事(ところで特撮超兵器って現代戦兵器なんすかね?かなり違うと思うんすけど??あの人は分別がついてるんすかね???)でしたので不肖私が担当する事になりました。(本当は覇者氏に「ページが足りないから」って無理矢理押し付けられたすよ!やっぱり狙いはこれだったみたいっす)ところで私は年齢的に「ウルトラマン・タロウ」以降の作品をウロ覚えで知ってるだけなんすけど・・・それでも良いのですかね?(確かに特撮作品は覇者様のお宅で「初代ゴジラ」から「ガメラ3」や「GMK」、果ては「大日本」までビデオで見させられてますけど・・・「コスモス」はバカになるから見ちゃダメって言われました・・・ママさん達に大人気なのに?)と聞いたら「お前もアトランチスの皇子なら得意の超能力で書け!」ですって・・・。
 と言うわけで、この記事は私が滝に(温泉ですけど)打たれたり、バーモンドカレーの中辛(普段は「カレーの王子様」を愛用してるっス)を食べたり(ついでに仙台で牛舌も食べたっす・・・テヘ)と壮絶な精神修行を行い研ぎ澄まされたテレパシーでアカシック・レコードから読み取った未来の記憶を基に出筆したものです。そのためこの記事に付いてはテレパシーによるもの以外の御質問等には御答できませんのであしからず。 (つまり全部嘘って事だな! by首領)

 そういうことで今回は地球防衛軍(TDF)が唯一公開しているセミ・ドキュメント・ドラマの「ウルトラ・セヴン」に登場する代表的な超兵器の解説を行います。
 「ウルトラ・セブン」は、TDFでも衛星軌道上に設定された最終防衛線を突破して地球圏内部へ密かに侵入した強敵を排除するエリート特殊部隊であるウルトラ警備隊の活躍を扱った作品ですから登場兵器も大気圏内で使用できるウルトラ警備隊用のものに限定して解説してみます(塙さんの大好きなインターセプタ用熱核ミサイルは扱いません)。
 また、「ウルトラ・セブン」には昭和シリーズと平成シリーズがありますが、兵器体系に大きな差はありませんので一括して扱いました。



○高初速ロケット兵器(HVR)

 まずウルトラ・セヴンの世界でTDFの主力兵器のひとつにあげられるものにHVR(高初速ロケット弾)があります。 これはドラマ内でもホーク1号や3号の主翼下から発射され盛大な白煙をあげながら飛翔するのがよく見られる有名な兵器です。

 このHVRは1990年代に対戦車ミサイルとして研究が開始されたものを発展させた兵器で、威力拡大が限界に達していたHEAT(成形炸薬)弾頭の爆薬炸裂ジェット噴流による貫通力に代わり登場した、発射直後に急加速する事で高速で目標へ命中して、その運動エネルギで目標を破壊する高初速徹甲弾型ミサイル(HVMとかLOSATとか呼ばれる物です)を原型とする誘導兵器で最大速度はM4.0〜6.0にもなります。
 戦車砲の徹甲弾がM4.5程度の速度ですから、それ以上の速度と砲弾の数倍の重量で目標へ命中するHVRの威力が如何に凄まじいか予想できると思います。
 また弾頭は徹甲弾および徹甲榴弾もしくはフレッチェット(矢)散弾だと考えられています。
 フレッチェット散弾は、スターストリークHVM(高初速ミサイル)として1990年代後半に開発されたものを発展させたもので機動性の高い戦闘用小型円盤兵器や巨大化異星人に極めて有効だと考えられています(なぜ異星人はピンチになると巨大化するんすかね?)。 またHVRの照準方式はレーザビームライデイング方式と赤外線センサによる直接照準式の複合照準が主流と言われています。

 これはECCM性を高めるために選択された照準−誘導システムで、この方式の照準方法を選択する理由のひとつが1990年代末に日本で発生した宇宙怪獣レギオン事件だと言われています。
 この事件において強力な電磁波を周囲に発生させレーザすらねじ曲げるレギオンを直撃できたのは終末誘導装置を持たない戦車砲や榴弾砲の砲弾と航空機による爆弾、そして比較的古い電子技術が使われていた故に電磁波妨害に耐性の強かった赤外線半自動誘導や有線誘導式のMAT対戦車ミサイルでした。

 それ以外の高度な誘導兵器はレギオンの放つ電磁波により誘導ができないばかりでなくIC等の高性能電子機器が故障して使用不能となる始末でした。
 過去にもアンギラスやビーコン等の電波系怪獣(?)にレーダや通信を攪乱されたりして苦労させられた経験を持ち、それなりに対処をしていた自衛隊だったのですが、レギオンは兵器の電子機器すら破壊する程の強い電磁波を放射していたのです。

 加えて蟹や蛯と同じ外骨格生物であるレギオンの強固な表皮(それ自体が骨でもあるのです)に阻まれ貫通力の弱い榴弾や爆弾は跳ね返されるか表面でいたずらに爆発するだけでしたし、また逆に貫通するだけで炸裂しない戦車砲の徹甲弾も効果が小さかったのです。
 重MATはレギオンに対して効果がありましたが、これは対舟艇用にも使用される重MATの弾頭が大きかった事とガメラの支援射撃が偶然(ガメラはそれを狙っていたようですが・・・)に同調したため電磁波バリアの防御力が低下していたためと分析されています。

 この時の経験から導かれた対怪獣用兵器のコンセプトは高い貫徹力と爆発力を持ち電磁波等の妨害に強い(ECCM能力が高い)照準システムを有する兵器と言うものでした。
 そして光エネルギ兵器(レーザ等)の発達が前段階だった当時にこの条件に適合する兵器として選び出されたのが2つの実体弾兵器だったのです。

 ひとつは前世紀の遺物と言える戦艦の主砲です。1.2トンと重い徹甲榴弾をM3.0近い初速で飛ばす艦砲の威力は絶大で2001年に再就役した米戦艦ミズーリにより行われた実験ではレギオンの外皮と同じ防御力を持つ特殊鋼鈑を貫徹して起爆する事に成功しました。 これに気をよくしたアメリカは、続いて2005年までに記念艦やモスボール状態で保存されていた条約明け型戦艦4隻を最就役させています。

 また、このため日米露欧等の世界各国は一斉に戦艦主砲と列車砲の試験を開始しました。
 しかし、言うまでもなく戦艦の主砲は大きく重いため緊急展開や陸上での運用は不可能に近かったのです。 また、海上においても戦艦の主砲のような大口径砲を充分に運用する戦闘艦を建造する技術は、ミサイル全盛の時代の流れによりロストテクノロジ化しており、固定使用程度なら可能な砲システムが開発されたのがやっとで計画は早々に壁にぶち当たっています。
 この壁の突破には多くの時間が必要とされ、最終的に、前世紀の戦艦に匹敵する砲火力を有する戦闘艦の登場は、リニア・キャノンを装備するマックス号の登場を待たねばならなかったのです。

 ただし、ロシアでは20世紀末までに130ミリ艦載砲を総輪式自走砲へ搭載したベレグ自走沿岸砲システムを開発して保有しており、その対艦用大口径徹甲榴弾は、対怪獣戦闘におあつらえむきの優れた貫通力と起爆破壊力を有していました。そのためロシアは、この砲システムを対怪獣兵器の切り札として使用することで幾度も急場を凌ぐ事に成功しています。 また、これを見た各国は、同程度の威力が望めると考えられた大口径榴弾砲用の徹甲榴弾を次々と開発して対怪獣戦闘に投入しました。 この徹甲榴弾は、戦艦の主砲にこそ遠く及ばないものの戦車砲よりは一段強力で中型怪獣程度になら充分な効果が望めるため対怪獣陸戦部隊の主力兵器のひとつに位置付けられました。 そのため対怪獣戦闘の記録画像等では、本来なら後方から支援射撃を行うべき間接攻撃兵器であるはずの榴弾砲や自走榴弾砲が怪獣と直接対峙して近接戦闘を行う光景が数多く記録されています。砲兵は何時の時代であっても戦場の王者だったのです。

 もうひとつはECCM性を考慮しないならば怪獣に対して極めて有効だったのがSS−N−22サンバーンやSS−N−26ヤホント等の旧ソ連製大型高速対艦ミサイルです。
 これらの対艦ミサイルは、命中性能等が優秀なため効率を重視して小型だった当時の西側製対艦ミサイルと比べて、性能で劣るため1発の命中が致命傷となるように考えられており、弾頭重量が大きく、そして弾着速力もM2.0以上と高速で、弾着時に戦艦主砲弾並の運動エネルギを持つように設計されていました。
 特に弾着重量が2トン近いサンバーンは、爆発の威力ではなく、弾着時の運動エネルギだけで一撃のもとに中型怪獣の頸部を吹き飛ばす程の威力を持っていました。
 しかもこれらの対艦ミサイルには地上発射可能な自走式ランチャと射撃システムすら予め用意されていたのです。

 これらの対艦ミサイルシステムは旧ソ連時代の環境破壊が原因となり多数の怪獣が出現したロシア系諸国で頼りになる対怪獣兵器として活躍し、さらには電子装備を信頼度と性能の優れた西側製の物に交換し、鉛シールド等のECCM機能を高めた発展型(大型ミサイル故に増長性がありました)が開発されると、これを西側諸国をはじめとする世界各国が、争って求める事態となり、これにより混迷していたロシアの経済復興の起爆薬にもなりました。

 ニューヨークに出現したゴジラ系怪獣に止めを刺した対艦ミサイルも米国は自国製のハープーン対艦ミサイルだと主張していますが実際にはロシア製のヤホント改対艦ミサイルだと言われています。
 また、富士の裾野に出現したミステリアン星人ドーム基地殲滅戦では自衛隊もトラック型発射台からサンバーンを使用してドーム基地に大打撃を与えています。
 ただし、日本の自衛隊は、自前でSSM−1シリーズと言う地上発射型高性能対艦ミサイル・システムを開発して保有していたため、ロシア製ミサイルの運用は欧米諸国より熱心ではなかったそうです。

 しかし高速対艦ミサイルは大きすぎて命中性能も悪いため運用が難しく、加えてECCM性能に問題を残しました。
 特に異星人相手に使用した時にはECMにより全く命中せず、ふらふら飛んでいるところをレーザー兵器で全て叩き落されたり、酷いときには逆にサイコキネシス等でコントロールを奪われて目標を人類側へ強制的に変更された例が報告されているくらいです。

 そのため、ある種の波動エネルギとしての認識されてはいるものの、電波や光波と違い極めて発見や妨害の難しいサイコキネシス等の念波を使用することができる一部の異星人や怪獣相手の戦いでは、直接照準による無誘導直射兵器が未だに有効である事が再認識されました。

 そしてこの様な状況の中で戦艦主砲や対艦ミサイルに代わる次世代の主力対怪獣用兵器として登場したのがHVR(高初速ロケット兵器)なのです。
HVRの開発は、エネルギ兵器に比べて明らかに技術的挑戦が少なく21世紀初頭には、弾着重量100s、弾着速度M5.0と戦艦主砲と同等の弾着エネルギを持つ高性能の物が試作されていました。

 このようなHVR発展のマイルストーンとなったのが、日本の陸上自衛隊で開発されて使用された3種類のロケット砲戦車です。当時の自衛隊は、対怪獣兵器として瞬間的に大火力を投射できるロケット弾を極めて重要視しており、その運用システムの開発にも熱心で陸戦兵器として大中小3種類のロケット砲戦車を開発したのです。
 最大のロケット弾を運用する大型ロケット砲戦車は、退役が始まっていた92式地雷原処理車を改造して開発された自走ロケットランチャと呼ぶべきロケット砲戦車です。この戦車に2発が搭載された大型ロケット弾は、弾着時弾頭重量250s、瞬間最大飛翔速度M1.6、最大射程5000m以上の性能を有しており、初期加速力と最大速度が低くHVRとは呼べないものの極めて優れた性能を有していました。また、車体の方も、地雷原処理車をベースとしていたため適当な防御力を有していた事に加え、無線および有線操縦も可能なように改造が施されており、投射火力だけでなくコスト等の面でも優秀な対怪獣兵器のひとつでした。
 中型のロケット弾を運用するのは、新多連装ロケットシステムを改造した中型ロケット砲戦車です。MLRSと呼ばれ湾岸戦争でも活躍した本車は、小型HEAT弾をばら撒く子弾弾頭だけでなく、HVR程で無いにしても高速で飛翔する半徹甲榴弾型弾頭も用意されておりロケット弾システムとしては、無改造で怪獣相手でも充分に通用する性能を有していました。しかし車体の防御力等が弱く、怪獣と直接対峙する中型ロケット砲戦車として運用する上での最重要改造ポイントは、防御力の向上だったとされています。

 小型ロケット砲戦車は、自衛隊でも旧式車両と化していた75式自走ロケット砲を改造して作られたロケット砲戦車で、30発の130ミリ小型ロケット弾を搭載して無線操縦で怪獣に肉迫して攻撃する運用法から対怪獣刺違え兵器とあだ名された程でした。
 本車に搭載された130ミリロケット弾は、旧式車両の再使用である車体と違い、新開発の徹甲弾型弾頭付高速ロケット弾で、その性能は初期のHVRの条件の多くを満たしていました。
 もちろん、本車の車体も無線および有線操縦システムの搭載と車体防御力の強化等の改造が施されていました。
 これらのロケット砲戦車は、ラドン迎撃戦やゴジラ東京湾上陸阻止戦等で各種戦車に混じり怪獣相手に直接射撃を行っている映像が多く残されているため皆さんも御存知の対怪獣兵器のひとつと言えるでしょう。 そして確かに巨大化した異星人や、異星人の戦闘兵器相手では損害が多かったものの、怪獣相手なら極めて有効であり、巨大化異星人が相手でもコスト的には満足できる性能を有していたため、これらロケット砲戦車の活躍が、対怪獣対異星人用兵器としてのロケット弾の発展を大きく支え、最終的にウルトラホーク・シリーズの搭載するHVRに発展した原動力のひとつで有った事に間違いはありません。

その後もHVRの発展は進み現在では徹甲榴弾型弾頭を装備する物が登場しています。
 従来の金属ではM5.0で弾着すると弾頭崩壊が発生するため炸薬等を弾頭へ仕込むのは至難の業とされていましたがメカギドラから回収されたスペースチタニュームが宇宙ステーションで量産可能となった事でこの問題が解決され徹甲榴弾型弾頭が登場しました。
 この徹甲榴弾型弾頭内部にはウルトラ炸薬スパイナー、スーパーナパーム、対獣用生物化学兵器(抗核バクテリアやカドミュウム)等が搭載されています。
 ただし近頃噂になったオキシジェン・デストロイヤやマイクロ水爆は余りにも危険なため大気圏内用HVRには搭載されていないそうです。まあ宇宙空間でオキシジェン・デストロイヤを使用して効果があるのかとの疑問もありますが、直接目標に注射した場合は、鉄酸素系血液を持つ相手に対しては面白い程の威力を有するそうです。

 また、記録映像等を見ているとHVRは、あたかもバルカン砲を巨大化したような轟音と共に発射され、低速で派手に噴射煙を引いているように思えますが、あの発射音はランチャからの離脱を迅速にすると同時に初期加速を助けるためのスラスタの爆発的な燃焼音であり、あの噴射煙は大気の濃い地表近くを超音速で飛行するためHVRの先端が大気との摩擦で加熱して超高温になる事と、衝撃波により後方に真空の帯が発生するのが理由でHVRそれ自体は煙の遙か前方を飛んでいるのです。

 HVRの照準には直接照準とレーザビームライデング方式が併用されています。
 敢えて電波誘導を行わないのはECCM性能強化のためです。また、1秒間で1.5q以上を飛翔する高速のHVRはその即応性故に大がかりな誘導−追尾装置を必要とせず直接照準が多用されています。この方式は動きの遅い怪獣相手には十分な命中精度を持っています。
 また、機動性が高い巨大化宇宙人相手にはレーザビームライディング方式も使用できますがウルトラ警備隊では高度なECM能力を持ち、加えてテレパシー等の超能力まで駆使してコントロールすら奪取する異星人の妨害を警戒して直接照準射撃が多用されているようです。
 直接照準は光学画像センサと受動型長距離用赤外線画像センサによって行われています。
 特に赤外線センサは旧ソ連が航空機用に研究開発しミグ29やスホーイ27へ搭載していた物を先祖としています。ここでもロシア、つまり旧ソ連のテクノロジが役立っているのです。

 少し話が脱線しますが、今回紹介した自走式沿岸砲や大型高速対艦ミサイル、赤外線センサ、粒子ビーム等の他にも宇宙戦闘機や超大威力反応兵器、それに超能力兵器等、旧ソ連=ロシアは20世紀末期の冷戦終結までに怪獣や巨大化異星人を攻撃するのに極めて有効な兵器や技術の研究に努力しており、また怪獣や巨大化異星人の出現がロシア経済を復興させ現在の経済大国ロシア共和国を造り上げた事を後になって考えれば連が仮想敵としていたのは西側欧米諸国ではなく異星人だったのではないかと思われる程です。

 モスクワのクレムリン内部にあった記録保管庫はキラアク星人にコントロールされた地球怪獣により破壊されてしまっているため当時の政治判断や宇宙人情報等を物語る記録は失われたと伝えられており真相が不明なのが残念ですが、宇宙開発にあれ程の力を入れていたソ連なのですから、なんらかの形で異星人の侵略を探知していたことに間違いはなさそうです。

 こうして完成の域に達し、対怪獣兵器の主力のひとつとなったHVRは航空機に搭載可能な粒子ビーム砲が開発された現在でも電磁バリアや光波バリアの影響を受けにくい便利な特徴を持つため重要な兵器として使用され続けています。

 ちなみにホーク1号は、このHVRを最大100発近く搭載でき、ホーク3号も50発以上を搭載できます。ただしホーク1号の対怪獣ミッションにおける通常装備弾数は主翼下へ装備する13連ロケット弾ポット4基で計52発、ホーク3号の対怪獣ミッションにおける通常装備弾数は主翼上面のチューブランチャーへ装備する26発です。両機ともこの他にロータリランチャ−やロケットポットを搭載する事ができます。

 また、地球防衛軍の主力戦闘機であるサブ・ホークや英国情報局が英国三軍の協力を得て組織した「S.H.A.D.O.」が大気圏内用主力迎撃戦闘機として使用した特殊迎撃戦闘機スカイワン等のビーム砲を搭載できない機体規模の航空機用主力兵器として6連や13連のロケット弾ポットが多用され、その他にも地球防衛軍所属の無人ロケット砲戦車や潜水艦であるハイドランジャー、そして個人携帯用ランチャ等の航空機以外の様々な兵器でもHVRが使用されていました。
 その中でも変り種は、地球に亡命して来ていたゾーン星人にも供与された白兵戦用多連装HVRランチャで、巨大化したゾーン星人は、これを流星ダイナマイトと呼称して使用しました。



○エネルギ兵器(粒子ビーム砲)

 ウルトラ・セヴンの世界でもうひとつのTDFの主力兵器となっているのが高エネルギ兵器の粒子ビーム砲です。
 ホーク1号の機首から青白い光の束が発射される映像や写真がお馴染みですね。
 現在のエネルギ兵器の主力である粒子ビーム砲が登場するまでは実戦可能なエネルギ兵器は大きく2種類に分かれていました。
 ひとつはレーザ砲、もうひとつはメーサ(メーザ)砲です。このふたつは名前こそ類似していますが全く原理が違うエネルギ兵器でした。 

 レーザ砲は20世紀後半に研究され20世紀末には弾道ミサイル迎撃用兵器のひとつとして航空機搭載型が試作された光エネルギ兵器でレンズ等で収束した光エネルギを相手に照射し目標表面を加熱して損害を与える兵器ですから原理的には太陽光を虫眼鏡で収束すると紙等が焦げ、やがて発火するのに近いものです。つまり光エネルギの集中により目標に破壊効果を与えるのです(もちろん広範囲の波長帯を含む太陽光と、単一波長帯のレーザ砲では、原理的に大きく違う部分もあります)。

 ただし、光の一種であるレーザは大気中の水蒸気や塵等で収束が拡散したりエネルギ量が減衰するため、どちらかと言うと宇宙での使用や航空機に搭載して大気の薄い高高度で使用するのが効率的でした。
 20世紀末に試作されたレーザ砲も当時最大の旅客機ジャンボジェット機を改造して大型ジェネレータやコンデンサを搭載して大気圏外から飛来する弾道ミサイルの迎撃を目的として使用されています。

 また、某国の開発した弾道ミサイルの脅威を受けていた日本の自衛隊では地上から弾道ミサイルを迎撃するための自走レーザ砲車が開発されており、ゴジラ出現時に東京中心部で実戦に参加しましたが火災や爆煙等による大気の汚れで減衰が激しく、善戦しましたが予想の威力を発揮できませんでした。このため自衛隊は自走レーザ車の配備を2両で中止しています。

 この他に開発や生産が簡単で濃厚な大気中でも威力減衰が殆どないX線レーザ砲と言うものもありますが、このレーザの発射には小型反応兵器の核爆発(もちろん発射装置は消滅します・・・キノコ雲と共に・・・)が必要なので地球の大気圏内で使用するのは不可能です。(回天氏が大好きな言葉の「スペル星になる」と言う事態が発生します)

 このように大気の濃い地表近くでは能力が低く使用が制限されたレーザ砲ですが成層圏以上の高々度空域や宇宙空間では極めて有効な兵器で国連宇宙軍によるナタール星人迎撃戦では核ミサイルやX線レーザと共に地球軍の主力兵器として大活躍しています。
 また、怪獣や異星人等にも有効な威力を持つ歩兵用近接戦兵器の代表として小型化が可能なレーザが多用されています。ウルトラ警備隊のウルトラ・ガンはその代表格です。

 大気が濃い地表近くではレーザ砲の能力が低いことからレーザ砲に代わるエネルギ兵器の開発を推進したのが20世紀末から某国の開発した弾道ミサイルの脅威に加えてゴジラやギャオスをはじめとする怪獣の脅威までを受けて世界有数の経済力を資本に対怪獣戦力拡大を続けていた日本の自衛隊でした(しかもこの兵器特需で前世紀末より続いていた日本の経済不信はケロリと直ってしまっているのですから、歴史とは何が幸いになるかわかりません・・・)。

 その自衛隊がレーザ砲に代わって開発したのがMicrowave Amplification by Stimulated Emission of RadiationMASERを攻撃兵器とするメーサ(メーザ)砲です。

 このメーサを利用するエネルギ兵器は静岡県に出現した宇宙怪獣(ヘドロ怪獣)ヘドラを撃破する際に使用された巨大マイクロ波乾燥機をヒントにしたもので、メーサ砲とは電磁波誘導により細いビーム状に収束して放出される超指向性のマイクロ波を目標に照射する兵器です。 塵や大気での減衰が少ない収束マイクロ波によるエネルギを浴びた物体の原子や分子は超振動を起こして熱崩壊(細胞が急速に沸騰し気化する事で爆発的に破壊される)する言うなれば電子レンジと同じ原理に属するエネルギ兵器なのです。つまりメーサ砲は、レーザ砲のような光波ではなく電波に属する原理によるエネルギ兵器です。

 またメーサ砲は、使用時にメーサ照射により形成される電磁場を利用して数十万ボルトの放電を目標めがけて放ちますが、これは不可視の電波であるメーサの照準をしやすくするためのものです。
 ただし照準支援用とは言え最低でも数十万ボルトの直流電撃は、怪獣に対しても十分な破壊力を持ち、メーサによる目標破壊効果を増幅する効果を持ちます。
 このような原理のメーサ砲の威力は一瞬で主力戦車を溶解させる程でゴジラの放射能火炎にも匹敵する威力を持っていました。

 このメーサ砲が初めて実戦に使用されたのが人造生命体サンダ対ガイラ事件です。
 この事件でガイラ討伐戦に投入されたクレーン状のアーム先端にマイクロ波収束用パラボラとレンズアンテナを取り付けた特徴的なデザインを持つ砲車と巨大な動力炉発電車、そして大型牽引車からなる2両の試作メーサ砲車は高圧電線とレーザ砲や戦車の砲撃によりメーサ砲射撃エリアへ誘い込んだガイラに対しメーサ砲をまともに浴びせ一瞬で酷い深手を負わせる事に成功しています。
 ただし、この時は短時間で2両とも動力炉冷却装置が故障したためガイラを殺害するには及ばなかったようです。この試作車はその後もギャンゴ事件やモスラ事件等にも出撃しています。

 そして、このような試作車の活躍によりメーサ砲の威力が認められた事により2両の試作車に代わって21世紀初頭に登場したのが量産型と言える新型メーサ砲車です。
 新型メーサ砲車は試作車が非装甲の牽引式だったのに比べて十分な装甲防御力と機動性を有する超大型装甲車タイプとなり怪獣に完全撃破される事は殆ど無くなったのに加えて新型赤外線画像センサ等の搭載により大気圏外から飛来する弾道ミサイルすら迎撃可能な性能を有していました。また動力炉も小型で信頼性が高く防御も考慮された物が搭載されています。

 この新型メーサ砲車はビオランテ事件を初陣として活躍を続け、後には防衛軍および自衛隊の主力殺獣戦車として数十両が量産されました。また、新方式のエネルギ・キャパシタを利用する事により小型のメーサ砲装置が開発され、メーサ速射砲対空戦車やメーサ砲搭載垂直離着陸戦闘攻撃機(一般には「メーサ戦闘ヘリ」と呼称される)が開発され少数が生産されている他に統合自衛隊の決戦兵器スーパーXシリーズへも搭載されていますが、やはり大出力かつ巨大な動力炉を航空機へ搭載するのは難しく主要兵器にはなっていません。
 このようにレーザ砲と比べてどうしても収束効率の悪いメーザ砲は、膨大なエネルギの確保に常に悩まされていました・・・。

 また、新型メーサ砲車は怪獣の出現に脅える世界各国から強く輸出を希望されていましたが、日本には武器輸出禁止法があったために輸出を渋る運動が内外で活発に展開され(日本にも自分達さえ安全なら他国国民の安全より自分達の政治的信条を優先する人達がいたのです)、そのため国連は、日本とドイツを常任理事国へ格上する国連の緊急決議と取引するかたちで急遽編成された国連軍直属対怪獣平和維持軍用機材として強引に海外搬出を行える事にして対処しました。この対怪獣平和維持軍の実態は、米英仏露中の5大国軍に、独軍をはじめとする欧州連合各国軍や日本の自衛隊を加えるもので、日本からは憲法解釈的に問題の生じる可能性のある自衛隊を直接参加させるまではなく、Gフォースを派遣する事で体裁を整えていました。
 この国連軍直属の対怪獣平和維持軍の実戦部隊は、MAT(モンスター・アタック・チーム)と呼ばれて各国の正規軍とは別に国連の指揮系統下で活躍しました。そして、その後TDFの発足時には、TDFの地球圏防衛軍へ編入された事は、皆さんも御存知と思います。
 また、国連決議では普段なら日本の武器輸出など認める筈もない中国やロシアも結果的に自国が優先搬出先に指定されており技術供与すらも受けられるため賛成したとされています。
 輸出を許可された新型メーサ砲車はやがて世界各国へ輸出されるに至り、遂にペストや天然痘に代わる人類の天敵とまで呼ばれる程に暴れ回っていた怪獣達の多くは討ち取られ、生き残りも深海や地底へと逃げ去って行きました。
 日本で一般的に紹介されている映像では、怪獣達の中でも別格的強さを有していたゴジラとの攻防戦物が多いため新型メーサ砲車であっても苦戦しているように思えますがゴモラやバルゴンと言った中型怪獣相手ならば充分に強力な兵器だったのです。

 こうして怪獣相手に大活躍してひとつの時代を築いたメーサ砲でしたが異星人大量襲来の時代を迎え大きな問題に突き当たりました。
 当時最大の問題とされていたのは地球へ侵入してくる異星人の宇宙船を迎え撃つため威力的には充分なメーサ砲を航空機へ搭載する事でしたが、動力炉の小型高出力化は限界に突き当たり航空機へ簡単に搭載できる大きさとするの困難な状況でした。
 そしてそれに加えメーサ砲の動力炉には新たなる致命的な問題が生じてしまったのです。

 地球へ飛来する侵略意志を持った異星人の多くは人類に匹敵するか、人類をこえる知能の持ち主であり、当然彼らは地球上に散在する動力炉発電所等を狙って破壊すれば放出される放射能等により自分達のエネルギや物資を消費しなくても大破壊が引き起こせる事に気が付いたのです。 それに遺伝子操作で肉体改造を施したりナノ・マシンと共生している彼らは宇宙空間でも活動が可能なものが多く、当然ながら熱や電磁波、そして放射能や放射線に対して人類より遙かに優れた耐性も持っていました。

 さらに異星人達は自分達の最大の脅威であるメーサ砲には必要不可欠な存在として移動式動力炉、つまり固定式の発電用動力炉とは違い、構造的に脆弱な動力炉が付属している事を知ってしまったのです。そのため異星人達は、地球侵攻作戦に当たって自分達に最も危険な存在である代わりに人類にも危険な存在であるメーサ砲を優先的に攻撃し、動力炉を破壊して戦果を拡大する作戦を多用しはじめたのです。 もちろんメーサ砲ばかりでなく動力炉を使用して行動する原子力空母や原子力潜水艦も狙われました。このため常時多数の付随戦闘艦に護られている原子力空母にこそ大きな損害は無かったものの、単独活動の多い原子力潜水艦は損害を受ける事も多く、一部では深刻な海洋汚染すら発生させています。そしてTDFの主力潜水艦として量産されているハイドランジャーが動力炉を搭載していない理由のひとつも、この動力炉の危険性のためだとも伝えられています。

 結局人類が主要発電用動力炉の警備強化と、その他動力炉の廃止を終えるまでに1ダースを上回る数の都市とその数倍の街や村がキノコ雲と火球を残して死の荒野やクレータに変わり果てたのでした。

 これに対してメーサ砲システムは、燃料電池発電装置車や多数のバッテリ車、そして近辺の電力施設の支援を受けることで動力炉の代替エネルギとする事で問題を解決しましたが、支援装備が大掛かりとなり、加えてエネルギ供給のためのアンビリカルケーブルを引きずって作戦するため以前程の機動性が発揮できなくなり、次第に主力兵器の座を追われていきました。 今では、方面軍砲兵の一部に切り札的存在として残っている以外は、エネルギ供給の問題の少ない主要動力発電炉の防御設備や月面基地をはじめとする宇宙基地に有るものを残して防衛軍の主要兵器リストから外れています。

 その後、TDFはHVRを主力とする有弾兵器とレーザ砲を主要装備として苦しい戦いを続けながら陽子ビーム砲(熱線砲・ブラスター砲)等の開発に取り組んでいましたが、あるとき撃墜した異星人の宇宙船から手に入れた技術により画期的なエネルギ兵器の開発に成功します。それがウルトラ粒子加速型収束ビーム兵器、略して粒子ビーム砲なのです。

粒子ビーム砲は原理的には陽子ビーム砲に近い物ですが陽子イオンの代わりに異星人の宇宙船から発見された活性化粒子を利用しているのが最大の特徴です。
 この粒子は俗にウルトラ粒子と呼ばれ特定のエネルギ線を浴びると活性化して浴びたエネルギの数倍にもなるエネルギを放出する特性を持っています。この粒子を超電磁チェンバ内に溜め電子ビームを照射する事で粒子を玉突き式に活性化させ高エネルギ体として臨界状態にした後に超電磁場バレルへ導いて収束させ、ビーム状のエネルギ光線として放射するのです。

 このビームを受けた目標はビームが大気との摩擦によるプラズマを伴いながら弾着するとレーザとメーザの持つ破壊特性の双方が発揮され、さらに光速に近い速度で飛んでくる質量を持つ粒子によりHEAT弾のジェット噴流効果を拡大したような物理的貫徹破壊効果が発生する革命的な破壊兵器です。

 また、ウルトラ粒子を使用するこの粒子ビームは中性子ビームや陽子ビームより格段に少量のエネルギと規模の小さい発射システムで中性子ビームや陽子ビームを上回る破壊エネルギを発生する事ができるのです。

 何故なら波動エネルギであるレーザと違って粒子エネルギである粒子ビームは質量を持つため大気中での減衰は少なく大気圏内での長距離射撃でも陽子ビームやレーザのように命中時の数倍から数十倍と言った無駄なエネルギを必要としない事と、密閉されて密度が高い状態で粒子を活性化すると、それにより発生した活性化エネルギが他の粒子を活性化させる玉突き現象を起こし初期に必要とされるエネルギに比べ莫大な規模に拡大したエネルギを発射できる特性を持つためウルトラ粒子と活性化開始用エネルギがあればメーサ砲や陽子ビーム砲のように莫大なエネルギ原を必要としないで大きなエネルギをビームとして発射できるのです。

 さらに、ウルトラ粒子は非活性化状態で空中へ放出するとレーダ波等のエネルギを浴びて活性化すると同時にレーダ波等のエネルギを熱エネルギに変換してしまうため強力な電波妨害物質になる事も報告されています。(ウルトラ警備隊機のHVRで撃墜された異星人の宇宙船はこの粒子をECM装備のとして使用していました)

 これ以上の原理や詳細性能は異星人の侵入が多発する現状では防諜のため明かせませんが(貴方の隣人も宇宙人かもしれませんよ)この粒子ビーム砲の開発によりメーザ砲やレーザ砲、陽子ビーム砲を遙かに凌ぐ威力を持つ異星人の超化学兵器や宇宙怪獣に対抗可能なエネルギ兵器が人類にもたらされたのです。
 この兵器は、通常砲弾、HEAT弾、反応弾、レーザ、メーザ、陽子ビームに続く七番目の切り札的兵器として、実戦部隊の一部でウルトラ・セヴンのコードネームで呼ばれているとも伝えられています。

 こうして開発された粒子ビーム砲は固定式で宇宙から侵入してくる怪獣や異星人の宇宙船を狙撃する大型対空砲型から戦車搭載型、更に現在では個人携帯用の小型のものまでが作られており中でも航空機搭載用として最大の威力を持つタイプが現在ホーク1号のα号に搭載されているものなのです。
 α号に搭載された砲口部に電磁場偏向装置を持つ全長20mにも及ぶ電磁バレルから発射される粒子ビームは異星人の宇宙船が持つバリアや宇宙金属の装甲を簡単に貫通して目標を破壊する威力があります。
 また電磁場偏向装置によりビームを拡散モードで発射した場合は、ビーム直径を最大で10m程まで拡散でき、加えて上下左右方向へ5度程度振る事が可能なので目標追尾や掃射が可能になっています。
 ホーク1号の前世紀の戦略爆撃機並の巨体は航空機搭載兵器としては史上有数の規模を持つ粒子ビーム砲を搭載するために必要とされた大きさなのです。
 また、ホーク1号のα号には約30発分のウルトラ粒子が電磁波に封じ込められる状態で搭載され強力なエネルギ・キャパシタ(E−CAP)により6発までの連射が可能となっていますが、この連射回数はβ号やγ号と合体することでβ号やγ号のE−CAPも使用可能になるため約15発まで増加します。
 このようにホーク1号と粒子ビーム砲の組合せは巨大な戦力をウルトラ警備隊へ与えており対ヘルメス星人地球侵攻船団殲滅戦では粒子ビームを拡散掃射モードで使用して1回のミッションで100隻以上も撃墜破した記録が残されています。

 以上のようにHVRと粒子ビーム砲は怪獣の出現や異星人の侵略が無くなり地球人類に平和な朝が迎えられるその日までTDFの主力兵器として使用され続けるのでしょう。



PS.
 今回の出筆に当たって世紀末覇者氏は「自粛」と称していましたが、私が質問や相談をすると「パンツァー」や「世界の艦船」「軍事研究」等の軍事書籍に加え妖しい怪獣本やガンダム本等のページを次々に開いてくれました。
 特にメーサ砲に付いては思い入れが有るらしく喜々として語ってくれました・・・。
 「世紀末覇者氏 御協力ありがとうございました」(オイオイ この話って書いちゃマズイんじゃないの・・・by首領様)大丈夫ですって!ちょっとした責任の分散すよ!!。
 と言う事で此処らで皆さんとお別れします。
 来年も超科学の謎に挑戦するJMRと神聖アトランチス帝国のジェノ皇子の応援をよろしくお願いするすよ!


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