安田しん二レコーディング日記
私、安田しん二のスタジオ、FAB ROCKS REC. HOUSEでの奮戦記です。
FAB ROCKS REC. HOUSEはNon DIGITALにこだわった、
ANALOG専門のレコーディング・スタジオです。


 

2005年2月1日火曜日 at『イデア・サウンド・スタジオ』
 結局1月中には終わらなかった……、でも気を取り直して(開き直って?)、ミックスの残りを演りたいと思います。

 今日は「道」です。昨日ある程度バランスを取ったのですが、結局はドラムの音も演り直しです。
 この曲のポイントは、カウンターで出てくるギターのオブリを「いかに印象的なバランスにするか」と言うところだと思います。
 バス・ドラムのサウンドもビートルズの「レボリューション」を少しだけ意識して、“ボトウン”と言う様な重いサウンドに仕上げました。このサウンドを創る時もそうですが、私の必須アイテムは、なんと言ってもフェアチャイルドのコンプレッサー、660と670です。ここ『イデア・サウンド・スタジオ』は、この両方の機材が揃ってる、日本では数少ないスタジオです。コンプレッサーの種類も「これでもか!!」と言うくらい揃ってます。私は今回、自分のコンプとして、テレフンケンのU73bを2台、ゲイツのSTAーLEVEL(『イデア・サウンド・スタジオ』にも1台常備してます)の3台だけ持って来ました。ホントはウーレイの1178を持って来ようかと思ったのですが、止めました。ここはウーレイのコンプに関しては宝庫で、LAー2Aは2台常備(実は、他にも数台有る)、1176はブラック・パネルが2台、ブルー・ロゴのが2台、LA3とLA4が2台ずつ(1176も含め、これらも全て、あと数台ずつ有る)有ります。何故か1178だけが有りません……と言うのは青ちゃんがこれをあまり必要としてないからなのですが、私は1178は好きなので常備しておいて欲しいのですが……。

2005年2月2日水曜日〜2月14日月曜日 at『イデア・サウンド・スタジオ』
 ここからは、途中、他のプロジェクトも平行して行ってたので、記憶がグチャグチャになってしまい、まとめて書きます……。因みに、レコーディング&ミックス・ダウン中は前日の記憶ですら、すっかり飛んでしまうのです…。

 「そっと I THINK SO」、「肩の力を抜いて」、「いつだって君を想ってる〜未知なる国へ」、そして「ひとり」と言う順番に、1日1曲のペースでミックス・ダウンを行って行きました。

 今回は、当然「デジタル禁止」と言う事で、エコーもアナログのみを使いましたが、昨年のミックス・ダウンの時から増えた機材が有ります。逆にフェアチャイルドのスプリング・リヴァーブ、フェンダー・スプリング・リヴァーブ、ローランドREー101は持って来ませんでした。フォステクスのスプリング・リヴァーブ3080は、私のと青ちゃんのとで、合計3台(6ch分)用意出来ました。それから普段、FAB ROCKS REC. HOUSEでは使ってる私の大好きなAKGのBX−20は、ここ『イデア・サウンド・スタジオ』には昨年夏までは無かったのですが、いつの間にか常備されてました。勿論、メンテもバッチリの状態です。
 ディレイ系では、私は2台のアナログ・ディレイを持って来なかったので、ちょっと後悔してます。その代わり、青ちゃんの秘密兵器、ビンソンのエコーレックが大活躍でした。ローランドのREー555とディレイ代わりのオープン・リール・テープ・レコーダーも活躍してくれました。
 全体的に、今回のミックスはエコーは多めです。

2005年2月22日火曜日 at『イデア・サウンド・スタジオ』
 今日、明日と、ミックスの演り直しをします……。今日は「肩の力を抜いて」、明日は「いつだって君を想ってる〜未知なる国へ」です。

 「肩の力を抜いて」のミックスですが、前回何が良くなかったかと言いますと、他の曲に比べてベースが小さかったのです。そうなると、ヴォーカルのエコーも、サイド・スティックの音量、ケナーチョの音処理……、駄目出しはどんどん出て来ました。例えば、前回のミックスを世の中に出しても、「悪い!」とは言われないと思います(多分)。自己採点でも87点位のレベルにはあると思います。しかし、一度「気に入らない」と思ってしまうと、いてもたってもいられないのであります。
 今回は、エコーのプリ・ディレイ用に3ヘッドのカセット・デッキを使います。私の家で眠ってたのを持って来ました。こいつはピッチ・コントロールが付いてないので、ディレイ・タイムを調整する事は出来ませんが、案外使えます。一度音を出してみて「ダメじゃない」と思ったら、そのまま使う事にしてます。なんともいい加減ですが、こいつのお陰で、今回の歌のエコーはシンプルで良い感じになりました。
 ケナーチョの音ですが、前回のはdbxのコンプを掛けたのですが、今回はウーレイに変更し、こちらもとてもシンプルな響きに聞こえます(前回のはちょっと尺八っぽかった)。
 サイド・スティックとベースは、同じハネのリズムを刻んでます。ですから、調和を取るのが難しいです。ここは慎重に音を創りました。

 「肩の力を抜いて」のミックスも、今回は大満足の出来になり一段落です。ですが、私は今度は、「こいつの“リプライズ”を創るぞ!」と言い出しました。これは、私だけは前々から(と言っても、今日の朝)考えていたのですが、さすがに他のみんなは、ちょっと驚いて……、あれ?驚いてはいない…です。
 「リプライズ」と言っても、途中のメロトロンのパートをフェード・イン&フェード・アウトさせるだけの簡単なもので、これ自体は2ヴァージョン創りましたが、10分ほどで出来上がってしまいました。これをアルバムの曲間に挟もうと思うのであります。こうする事によって、アルバム全体のイメージが、また少しだけ変わるんじゃないかと思いますが、どうでしょうか?

2005年2月23日水曜日 at『イデア・サウンド・スタジオ』
 
今日は「いつだって君を想ってる〜未知なる国へ」をミックスしますが、その前に、1カ所だけギターをダビングして足したいと思います。
 使用するギターは、先日購入したグレコのレス・ポールのコピー、EG−380です。これは1970年代中頃に作られた日本製のギターで、当時の定価が38000円と言うところから、その様にネーミングされました。
 レス・ポールのコピーと言っても、所謂「なんちゃって・レス・ポール」でして、ボディーはセミ・ホロー、ネックはディタッチャブル・ネックと言う具合に、本家ギブソンとはまったく仕様が異なります。が、しかしです、こいつの音の方は信じられないほど素晴らしく、下手な本家よりはずっとレス・ポールらしい音なのであります。まあ、「ギブソン」と言うよりは、「グレコの音」なのですが、私の世代にはこちらの方が「レス・ポールの音」として、身体に染み込んでる気がします。
 今回はこのギターに、青ちゃんの持ってる、古いフェンダー・チャンプを繋ぎ、ボリュームは7、トーンはベースもトレブルも10にセットして、ちょっと歪みぎみの音でプレイしました。因みにピック・アップはリア・ピック・アップを使い、弦は購入した時のまま、0.09のセットです。今度は、弦をもうちょっと太いのに替えてみようと思うのですが…、ネックが細い為、あまり太いを張るのはちょっと難しそうです。
 やはり、このギターを入れて正解でした。青ちゃんはミックス・ダウンをする日にダビングをするのを凄く嫌いますが、そこは
我慢して貰い、無理矢理演ってしまいました。ま、これもよく有る事なので、本人はあきれてますが、やはり「ギター入れて正解!」とは思ってるみたいです。
 この曲は前回と同じ様に、ヴァージョンを2つ創りました。そして、外の空気でも吸おうと表に出てみると、なんと雪です。下手すると帰れなくなるぞと思い、だったらもうちょっと作業をしようとなり、ヴァージョン3も創る事になりました。これは、ヴァージョン1と2をテープ編集で繋げようと言う物ですが、元々これをそのつもり録音してないのでかなり苦労し、余計な時間を擁してしまいました。しかも、それでもやっぱり限界が有るようで、ちょっと「……」と言う出来です。すったもんだのあげく、結局、朝方になってしまい、私は久々の朝帰りでした。
 しかし、ヴァージョン1と2は、前回を遙かに超える素晴らしい出来となり、徹夜はしたものの。それも「心地良い疲れ」と言う事でしょうか。

 さてさて、これでホントのホントにアルバムのミックス・ダウンは全て完了です。あとはマスタリングを残すのみです。しかし、まだ何処のスタジオでマスタリングをするかは決まってません。アルバムの発売予定が5月の中旬頃と言う事なので、そんなにのんきにはしてられません。ま、でも3月中にはマスタリングも完了する事でしょう。そしたら打ち上げだぁ!
 こちらの様子も(打ち上げの飲み会じゃないよ。マスタリングだよ!)この『レコーディング日誌』でレポートするつもりでおりま〜す。


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