ILLUSION 『ILLUSION』

1. MADONNA BLUE
2. NEVER BE THE SAME
3. LOUIS' THEME
4. WINGS ACROSS THE SEA
5. CRUISING NOWHERE
6. MAN OF MIRACLE
7. THE REVOLUTIONARY

 1978年にリリースされた、イリュージョンの2枚目のアルバムです。プロデュースはヤードバーズのベーシストだったポール・サミュエル・スミスです。6曲目の作曲はジム・マッカーティー、ジョン・ホウケン、そしてヤードバーズのヴォーカリストだったキース・レルフとなっており、ある意味でスーパー・ギタリスト(クラプトン、ベック、ペイジ)達を輩出してきたヤードバーズのもう一方の顔と言ったところでしょうか。
 イリュージョンの中心人物であり、アコースティック・ギターとヴォーカルのジム・マッカーティーは、元々ヤードバーズ、ルネッサンスのドラマーでしたが、このバンドを結成するにあたって、ドラムスは他人に任せ、自分は歌とアコースティック・ギター、それとソング・ライティングに専念する様にした様です。私自身も14歳からドラムを始め、22歳の時に一度ドラムを辞め、ヴォーカルとソング・ライティングに専念したと言う同じ様な経緯があります。私が再びスティックを握ったのは30歳を過ぎてからでした。その間、ドラムスというパートをドラマーとしての立場からとは違う角度で見る事が出来ました。若かりし頃の8、9年のブランクはドラムのテクニックを構築するのにはかなりのハンディー・キャップになりましたが、私は思いきってヴォーカルやソング・ライティングに専念出来た経験は貴重だったと思ってます。それは現在ドラムを叩く上でも充分自分の持ち味として活かす事が出来てると思ってます。ジム・マッカーティーもドラマーであった経験が曲創りなどに充分活かされてるのではないかと思います。何もドラマーが曲を書くからって、リズム中心の楽曲になるとは限らないのですよね。
 ジム・マッカーティーがスーパー・ギタリストが人気の中心だったバンド、ヤードバーズにいたからかは知らないけれど、イリュージョンのサウンドの核はギターではなく、ジョン・ホウケンの弾くクラシカルな様式美たっぷりのピアノや重厚なメロトロンだと思います(ピアノに関しては、ストロウブス在籍時よりも弾きまくってます)。また、ジム・マッカーティーが弾くアコースティック・ギターはアルペジオとかよりもコード・カッティングが圧倒的に多く、よりホウケンのピアノ・プレイが目立つ様なサウンドの組み立てがされてます。元々のメロディー自体はプログレッシブ・ロックと言うよりはトラッド・フォーク調で、どこか暗いその曲調を、ピアノやメロトロンなどのキーボードで包む事によって独特の雰囲気を醸し出してると思うのです。それから忘れてはならないのは、やっぱりジェーン・レルフの美しい歌声です。彼女の声無しにイリュージョンはあり得ませんよね。


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