ホセ・フェリシアーノのベスト・アルバムです。ロック・ファンの中には、ホセ・フェリシアーノって名前は知っていても、どんなアーティストだかって良く解らない人も多いかと思います。ホセ・フェリシアーーノは1945年9月10日にプエルトリコで生まれた盲目のシンガーで、ギタリストであります。1964年にシングル、「レッツ・ドゥー・ザ・クリック」でデビューし、主にガット・ギターを弾く事が多いですが、実はエレキ・ギターもちゃんと弾きます。
このアルバムの1曲目の「ハートに灯をつけて」が彼の名前を一般的に知られる様にしたナンバーだと思います(全米第3位)。オリジナルは勿論、ドアーズ。でも、このホセのバージョンは、オリジナルとはかなり趣向が変わっていて、ホセの弾くガット・ギターから始まり、彼が切々と歌い始めます。しかし、次第にソウルフルに歌い上げ、盛り上げを見せていきます。カッコイイ!途中の早弾きギター・ソロもテクニカルで、それに絡むストリングス・アレンジも素晴らしいです。私個人としてはオリジナルよりかインパクトを感じて、こちらの方が好きです。
2曲目、3曲目は1974年発表のアルバム、『アンド・ザ・フィーリングス・グッド』からのナンバーで、聴いててとても軽快で気持ちの良いナンバーです。
「アンド・アイ・ラヴ・ハー」は御存知、ビートルズ・ナンバーですが、こちらはインストで、ホセの表情豊かなガット・ギターで魅せてくれます。しかし、この人ホントにギターが上手い!上手いだなんて言ったらかえって失礼かな?でも、ホントに表現力といい、そのテクニックといい、もう素晴らしいです。
6曲目の「太陽は涙がきらい」は1960年代、ビートルズと同じリヴァプールから出て来た人気マージー・ビート・グループのジェリー&ザ・ペイスメイカーズのヒット曲です。
「デイタイム・ドリームス」はホセのオリジナルですが、バート・バカラックを思わせる様なハイセンスな曲です。
10曲目の「恋のウエイト・リフティング」は、邦題がオリジナルのタイトルとはまるで関係ないタイトルが付いてしまってますが、これはサンディー・ショウが1964年に全英1位のヒットを記録しました当時、日本では東京オリンピックが行われていて、重量挙げで三宅選手が金メダルを獲ったところからこのタイトルが付いた、と言うムチャクチャな邦題だったのです。それも当初は「恋の〜」ではなく「愛のウエイト・リフティング」ってタイトルだったのです。いったいどんなウエイト・リフティグだったのでしょうか?それにしても、「恋の柔道」や「恋の女子バレー」とかじゃなくて良かったってところですが、それにしても凄すぎまっせ!
ビートルズ・ナンバーでは、「アンド・アイ・ラヴ・ハー」の他に、「ヒア・ゼア・アンド・エブリウェア」や「イエスタデイ」なども演ってますが、どちらもインストです。こんなギター、女の子の前でチョロチョロ、な〜〜〜んて弾いちゃったら、もうモテモテですよね(^ヘ^)。
キャット・スティーブンスやビージーズの曲も2曲ほど入っておりますし、ママス・アンド・パパスの大ヒット曲、「夢のカリフォルニア」とかも演ってます。
このアルバム、ベスト・アルバムと言う事ですが、侮れませんよ。カヴァーが多いですが、「愛のささやき」などのオリジナル曲もとても良いです。20曲をあっという間に聴き終えてしまいます。ホセ・フェリシアーノを知らない人にもけっこうお薦めです。