CAMEL 『BREATHLESS』

1. BREATHLESS
2. ECHOES
3. WING AND A PRAYER
4. DOWN ON THE FARM
5. STARLIGHT RIDE
6. SUMMER LIGHTNING
7. YOU MAKE ME SMILE
8. THE SLEEPER
9. RAINBOW'S END

 イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンド、キャメルの最高傑作です。メンバーは、アンドリュー・ラティマー(ギター、ヴォーカル&フルート。因みにこのアルバムではフルートは吹いてません)、アンディー・ウォード(ドラムス)、ピーター・バーデンス(キーボード。残念な事に、2002年1月に既に亡くなられております)、リチャード・シンクレア(ベース&ヴォーカル)、メル・コリンズ(木管楽器)の5人、プロデュースはキャメルとエンジニアのミック・グロソップが行っています。

 キャメルは1972年の春に結成されました。結成当時のメンバーはメンバーは、アンドリュー・ラティマー、アンディー・ウォード、ピーター・バーデンス、そして、ベースのダグ・ファーガスンでした。前身はブリューと言うバンドで、アンディー、アンドリュー、ダグの3人に元ショットガン・エクスプレス、ゼムのピーターを加えて創られたのがこのキャメルだそうです。結成の翌年、1973年にMCAからデビュー・アルバム、『キャメル』をリリースし、その後デッカ傘下のデラムに移籍して、『ミラージュ(蜃気楼)』(1974年)、『スノー・グース(白雁)』(1974年)、『ムーンマッドネス〜月夜の幻想曲』(1976年)をリリースしました。そして、ここでベースのダグ・ファーガスンが脱退、代わって元キャラバン、ハットフィールド &ザ・ノースのリチャード・シンクレアが加入し、『雨のシルエット』(1977年)、『ライヴ・ファンタジア』(1978年。ダグ・ファーガスン在籍時のテイクもあります)とリリースしました。そして、『雨のシルエット』から参加していた、元キング・クリムゾン、サーカスのメル・コリンズを正式メンバーに迎え、5人編成でリリースされたのが『ブレスレス−百億のよると千億の夢−』でした。このレコーディング終了と同時、つまり『ブレスレス−百億のよると千億の夢−』のリリース前にピーター・バーデンスは脱退し、代わりにリチャードの従兄弟で元キャラバン、マッチング・モウルのデイヴ・シンクレアが参加しました。そして、デイヴに続いて、やはり同じく元キャラバンのヤン・シェルハース(キーボード)も加え、ツイン・キーボード6人編成で1979年の1月に日本公演も果たしました。私も23日の『新宿厚生年金大ホール』の公演を観ましたが(翌年の来日公演もハリキッテ行きました!)、まさしく私の観た来日アーティストの公演でベスト5には入る素晴らしい内容でした。特にメル・コリンズのかっこいいことったらなかったです(丁度、『ブレスレス−百億のよると千億の夢−』リリース直後の公演でした)。ピーター・バーデンスは既にいませんでしたが、多分これがキャメルの絶頂期メンバーだと私は思っております。しかし、その後デイヴ・シンクレアは、キャメルとしては一度もレコーディングをしないまま脱退し、メル・コリンズ、リチャード・シンクレアも脱退、代わってアメリカ人でキーボード&フルートのキット・ワトキンスとベース&ヴォーカルのコリン・ベイスを加えて、『リモート・ロマンス』(1979年)をリリースしました(メル・コリンズはセッションで1曲のみ参加)。

 キャメルの最高傑作アルバム、『ブレスレス−百億のよると千億の夢−』はタイトル・ソングの「ブレスレス(神秘の女王)」で幕を開けます。12弦ギターとフレットレス・ベースが印象的なイントロから「彼女は私の初恋……」と歌い始まります。邦題の「ブレスレス(神秘の女王)」からも分かる通り、初恋が女王様だったんですね……ま、そんな事はどうでも良いとして、途中、ブリッヂではメル・コリンズのソプラノ・サックス(オーボエの様にも聞えます)が絡み、最後はまたイントロと同じフレーズ、今度はソプラノ・サックスとフルートもからめてフェード・アウトです。
 2曲目はもっと人気のあるナンバー、「エコーズ(残響)」です。ギターの逆回転の音やアナログ・シンセで雰囲気を創っていきます。実に7分以上の曲ですが、ヴォーカル・パートが出て来るまで4分以上もあります。話はそれますが、昔アマチュア・コンサートを藤沢で主催した時、友達の連れてきた日大のバンドがこの曲をプレイしてました。ベース&ヴォーカルが友達だったのですが、ドラムスの人がまだ初心者で叩けないで困ってました。だいたい、初心者にこんな曲を叩かしたら可愛そうですよぉ。因みにその時ギターを弾いてたのがデビュー直前の角松敏生でした。
 3曲目の「翼に祈りを」は、フェンダー・ローズでのイントロ・リフから始まります。とてもキャメルらしいメロですが、ずっとリフレクションが続きます。そして、メル・コリンズのメロウなサックスがこの曲のサビになってます。
 4曲目の「田園の日曜日」はアナログ・シーケンサーを使った元気のいいイントロから始まりますが、その後もろにキャラバンな曲に……、と思ったらやっぱりリチャード・シンクレアの曲でした。この頃のキャメルは実にサウンド面で様々な面を持ってました。一つは従来のキャメル・サウンド、それからリチャード・シンクレアの個性、つまりちょっとキャラバンっぽさもあり、そして、この頃の流行りでもあったフュージョンチックな面、それからメル・コリンズの正式参加によって、よりフューチャーされた木管楽器………etc.etc.etc.。
 5曲目、「星への旅路」は癒されますね。フェンダー・ローズとメル・コリンズのフルート、流石にアンディー(アンドリュー)・ラティマーは、メル・コリンズと言う最高の木管奏者がバンドにいるお陰で、フルートは吹いてないようです。しかし、日本公演の時、「スノー・グース」ではメルと2本のフルートで見事にハモってました(あ〜感激だったっす)。
 6曲目の「サマー・ライトニング(夏の雷光)」もキャラバン、ハットフィールド &ザ・ノースっぽい歌い出しです。これでキャメルの“カンタベリー派”?って感じ………と思ったら、その後のキーボード・ソロとアンディー・ラティマーのギター・ソロはフュージョンっぽいです……ま、でもそこが良かったりして(ギターもそうだけど、リズム・セクションがフュージョンなのかなぁ?)。
 7曲目、「微笑みを」は、当時のプログレ・バンドがおよそやりそうもない曲です。シンセがリフを“ミョコミョコ”とテクノっぽいぞぉ!!タイコはディスコのリズム・パターンじゃんかぁ、と思ってるとちゃんとサビはキャメル節で決めてくれます。
 8曲目の「夢想曲」はもろフュージョンです。
 9曲目の「失意の果てに」は名曲です。日本公演でも(1979年と1980年)演ってましたが、グッと来てしまいました。アンディー・ラティマーの声の美しさ、とくに“レインボウ〜、レインボウ〜オゥオゥ〜〜♪”とファルセットになるところの美しさは今でも忘れられません。


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