STRAWBS 『GHOSTS』

1. GHOSTS
(1. Sweet Dreams 2. Night light 3. Guardian Angel)
2. LEMON PIE
3. STARSHINE / ANGEL WINE
4. WHERE DO YOU GO (WHEN YOU NEED A HOLE TO CRAWL IN)
5. THE LIFE AUCTION
(1. Impressions Of Southhall From The Train 2. The Auction)
6. DON'T TRY TO CHANGE ME
7. REMEMBERING
8. YOU AND I (WHEN WE WERE YOUNG)
9. GRACE DARLING

 イギリスのフォーク・ロック・グループ、ストロウブスの黄金期のアルバム、『幻影』です。“フォーク・ロック”と言う言葉は、当時彼等をそう言う触れ込みでプロモーションされてたので使いましたが、私達日本人が想像する、いわゆるチューリップ、甲斐バンドなどの“フォーク・ロック”とは、音楽のイメージが随分違います。ストロウブスの音楽は、イギリスのトラッド・フォークとプログレッシヴ・ロックを融合させた様な音楽性で、この頃のバンドは、元ルネッサンスのキーボード・プレイヤー、ジョン・ホウケンが弾くメロトロン、ハモンド・オルガン、パイプ・オルガン、フェンダー・ローズ、ミニ・ムーグなどもかなりフューチャーされたモダンなバンドでした。

 ストロウブスと言うと、“とても若かりし頃のリック・ウエイクマンやサンディ・デニーがいたバンド”としても有名ですが、結成は1968年と言う事です。しかし、その前身のストロベリー・ヒル・ボーイズから数えるとそのキャリアは更に古く、1964年からの活動だと言いますから、2004年には40年の活動になってしまいますね(1998年に30周年のイベントをしたという事です。現在でもストロウブスは活動しております)。
 結成当時のメンバーは、ヴォーカル、ギター&バンジョーのデイヴ・カズンズ、ヴォーカル&ギターのトニー・フーパー、ベースのロス・チェスターマンで、ストロウブス改名直後に、後のフェアポート・コンベンションのサンディー・デニー(ヴォーカル&ギター)も在籍していました。この頃どうやら、カーヴド・エアーのソーニャ・クリスチーナもバンドを手伝ったりしてたみたいです。
 それから何度もメンバー・チェンジを繰り返し、デイヴ・カズンズ、デイヴ・ランバート(ヴォーカル&ギター)、チャス・クロンク(ベース)、ジョン・ホウケン(キーボード)、ロッド・クーンバス(ドラムス)と言う5人が集まり、アルバム、『ヒーロー・アンド・ヒロイン』、そしてこの『幻影』をリリースしました。1975年にはこのメンバーで日本公演も果たし、NHKは総合テレビの番組、『ヤング・ミュージック・ショウ』で、この時のライヴ公演を放映しております(私、観ちゃったもんね!)。

 1曲目の「GHOSTS」は、チェンバロとアコースティック・ギターのストロークにカズンズの渋い歌声で幕を開けます。曲自体は3部構成の組曲になってる様です。メロトロンも怪しげに入り、「GHOSTS」と言うタイトルにぴったりの演出です。私が思うにこれにさらにテルミンなんか入ったら、もう怖さ倍増!私は夜中一人でトイレに行けなくなった事でしょう。ヴォーカルはカズンズの他に、デイヴ・ランバートもとってまして、こちらはカズンズと対照的な、実にはじけた声の持ち主です。
 2曲目は、「LEMON PIE」(この頃、日本のアイドル・バンドでレモン・パイってのがありました。どんなのだか忘れてしまいましたが……)。「LEMON PIE」は『ヤング・ミュージック・ショウ』でも演りました、たしか……。
 3曲目は、ベースのチャス・クロンクの書いた名曲、「STARSHINE / ANGEL WINE」です。私のいち押しナンバーです。私のラジオ番組でも何度もオン・エアーしてます。ピアノとカズンズのヴォーカルでバラード調に始まり、メロトロンのチェロ、ラテン・パーカッションなどもサウンドに華をもたらしてます。そして、ストラトキャスターのギター・フレーズからアップ・テンポの曲に。ここでのヴォーカルはランバートです。
 6曲目の「DON'T TRY TO CHANGE ME」はデイヴ・ランバートの作曲でヴォーカルもランバートです。歌の個性もそうですが、曲作りに関しても、カズンズは渋く、ランバートはポップで明るく、と対照的で面白いですね。
 7、8曲目の「REMEMBERING」〜「YOU AND I (WHEN WE WERE YOUNG)」も『ヤング・ミュージック・ショウ』で放映されました。「REMEMBERING」はジョン・ホウケン作曲のムーグとローズでのインストのイントロダクション・ナンバーですが、ムーグのリリースを伸ばし、手を離しても音が続くようプログラムし、ローズを両手弾き出来るようにしてたのが印象的でした。「YOU AND I (WHEN WE WERE YOUNG)」はとてもフォーク・タッチで心にグッと来る、このアルバムの中の名曲ですね。ランバートのギター・ソロも良いです。そのギター・ソロの後のコーラスもとても良いですね。
 アルバム最後を飾るのは、なんとドラマーのロッド・クーンベス書いた、「GRACE DARLING」です。チルドレン・コーラスの美しい曲です。チルドレン・コーラスをアルバムのラストに使うなんて、なんてニクい演出でしょう!

 現在でもストロウブスは活動を続けてます。一生ミュージシャンであると言う素晴らしさ、私達も彼等に比べればまだまだ若手のヒヨッコ、とても励みになります。ヴィヴァ!ストロウブス!!


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