KANSAS 『MONOLITH』

1. ON THE OTHER SIDE
2. PEOPLE OF THE SOUND WIND
3. ANGELS HAVE FALLEN
4. HOW MY SOUL CRIES OUT FOR YOU
5. A GLIMPSE OF HOME
6. AWAY FROM YOU
7. STAY OUT OF TROUBLE
8. REASON TO BE

 カンサス初のセルフ・プロデュースによる、1979年リリースの通算6枚のスタジオ録音アルバム(ライヴを含めると7枚目のアルバムです)、『モノリスの謎』です。

 カンサスがデビューしたのは1974年の事、メンバーはこの頃(『モノリス……』リリーース時)と同じで、ケリー・リヴグレン(ギター、キーボード)、デイヴ・ホール(ベース)、フィル・イハート(ドラムス)、リッチ・ウィリアムス(ギター)、ロビイ・スタインハート(ヴォーカル、ヴァイオリン)、スティーヴ・ウォルッシュ(ヴォーカル、キーボード)と言う6人です。
 カンサスが日本で有名になったのは1977年にリリースされた、『永遠の序曲』から「伝承」がシングル・カットされた頃からで、当時は“プログレッシヴ・ハード・ロック”と言う風に言われていました。私の記憶では、巷で“プログレッシヴ・ハード・ロック”と言う言葉が使われる様になったのは、このカンサスの出現からだった様な気がします。
 カンサスのサウンドの特徴は、まさしく“プログレッシヴ・ハード・ロック”と言う言葉がピッタリとはまりますが、何より曲が親しみやすいと言うところにあると思います。ギターはツイン・リード・ギターなんですが、そのギター・スタイルは、プログレシヴ・ロックのそれとはかけ離れていて、どちらかと言うと、音色も含めてバリバリのサザン・ロックの典型的なプレイ・スタイルで、時にはギタリストのケリー・リヴグレンがキーボードも弾いてツイン・キーボードにもなると言う、とても器用な面もあります。そして、ヴォーカルもツイン・ヴォーカル。大半はハイ・トーン・ヴォーカルのスティーヴ・ウォルッシュがとりますが、時として、骨太でアメリカン・ロックっぽい(どう言うのを言うのでしょうか?)ロビイ・スタインハートのヴォーカルが絡みます。それから、ジャン・リュック・ポティやジェリー・グッドマンほどの派手さはありませんが、ロビイ・スタインハートのヴァイオリンも忘れてはならない存在です。
 彼等の楽曲はとてもクオリティーが高く、決してプログレシヴ・ロックにだけこだわってたわけではない様に思えます。ステージでもとてもエネルギッシュで、特にスティーヴ・ウォルッシュのアクロバット的なキーボードの弾き方はパフォーマンス性が非常に高いです。
 カンサスはそのバンド名の通り南部出身のバンドですが、プログレシヴ・ロックと言うジャンルを受け入れ、それでいてそれだけにもこだわらない柔軟性も兼ね備えていました。良いものは何でも吸収して行くと言う、そんなスタイルのバンドだったからこそ、多くのファンから支持されたのかもしれません。


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