トッド・ラングレンの通算8枚目のソロ・アルバム、1978年リリースの『ミンク・ホロウの世捨て人』です。この頃、自分のバンド、ユートピアと平行して活動していたトッドですが、この前年リリースのユートピアのアルバム、『悪夢の惑星』がアメリカン・プログレ・ハード的なサウンドでしたが、こちらは曲調こそ違いますが、この頃はまだ珍しかったポリフォニック・シンセサイザーなども随所に使うところあたりは、ユートピアのサウンドにも近いです(ユートピアはロジャー・パウエルがヤマハのGX−1と言うエレクトーンのお化けを使ってます。この頃のヤマハは名器CS−80なども発表してまして、ポリフォニック・シンセでも突出したメーカーでした)。
さてこのアルバム、『ミンク・ホロウの世捨て人』ですが、アナログ盤では、“イージー・サイド”と“ディフィカルト・サイド”で分かれてましたが、CDになってみると、最初から最後まで違和感なく聴けます。ただ、ポップはポップでもトッド独特のひねりはそうとう利いてます。先程も書きましたが、ポリフォニック・シンセもそうですが、トッドのギターも個性的です。この頃は主にフェンダーのムスタングを使ってましたが、ムスタングにコーラスやフランジャーやら掛けるとモロこの音になります。
2曲目の「友達でいさせて」(ナント、悲しいタイトルだこと。トッド、いじめられっ子だったのかなぁ?)は、トッドの歌でも29位と言うスマッシュ・ヒットを記録しましたが、ロバート・パーマー、ロッド・スチュアート、ウィルソン・ブラザースなどもカヴァーしております。
9曲目の「うそつき」はトッドの「ウルフマン・ジャック」の続編っぽいです。
10曲目の「ラッキー・ガイ」は、ピアノ・バラードなのですが、途中からクイーンが初期によく演ってたギターのオーヴァー・ダヴを駆使した曲です。詞の内容ですが、「どんな高い山も恐れない連中なんてちっともホンものじゃないさ〜〜」と始まり、でも最後は「彼はラッキーな男に違いない。僕もなりたい、ラッキー・ガイ」と締めてます。クイーンの事かなぁ?ちょっと考え過ぎですね、きっと。
11曲目の「フェイド・アウエイ」は、ハイハットの逆回転を上手く使った、ブルー・アイド・ソウル。こう言うソウルっぽいナンバーは、彼が以前プロデュースしたホール&オーツにも通ずるところがあります。たまに黒っぽいバラードを演る辺りもトッドの魅力であり、彼の音楽性の幅の広さを感じさせます。