10cc 『SHEET MUSIC』

1. THE WALL STREET SHUFFLE
2. THE WORST BSND IN THE WORLD
3. HOTEL
4. OLD WILD MEN
5. CLOCKWORK CREEP
6. SILLY LOVE
7. SOMEWHERE IN HOLLYWOOD
8. BARON SAMEDI
9. THE SACRO-ILIAC
10. OH EFFENDI

 10ccの1974年リリースのセカンド・アルバム、『シート・ミュージック』です。
 この頃の10ccのメンバーは、いわゆる「最も10ccな4人組」と言われてる、エリック・スチュワート(ヴォーカル、ギター)、グラハム・グールドマン(ヴォーカル、ベース)、ケヴィン・ゴドレイ(ヴォーカル、ドラムス)、ローレンス・ロル・クレーム(ヴォーカル、ギター)の4人です。
 このバンドの興味深いところは、「4人組」と言うよりは「2人組チームが2組」と言った方が良いところ。スチュワートとグールドマンのコンビはポップなメロディー感覚を、ゴドレイとクレームのいわゆる“ゴドレイ&クレーム”は、シニカルなポップ・センスを持ちあわせ、この2組の組み合わせと駆け引きが10ccサウンドとなって独特の個性を創りだしています。
 エリック・スチュワートは元マインドベンダーズ(フィル・コリンズも彼等のナンバー、「恋はごきげん」をカヴァーしてヒットさせた)のメンバーで、10cc解散後は一時期ポール・マッカートニーの相棒役としても活動してました。
 グラハム・グールドマンは10cc以前は、ホリーズの「バス・ストップ」、ヤードバーズの「ハート切なく」、「フォー・ユア・ラヴ」、ハーマンズ・ハーミッツの「リッスン・ピープル」などの曲を提供する、超売れっ子作曲家でした。10cc解散後は、アメリカ西海岸のギタリスト、マルチ・プレーヤーのアンドリュー・ゴールドとWAXと言うデュオを成功させるなどの活躍をしました。
 一方のケヴィン・ゴドレイとロル・クレームは、主に1980年代に“ゴドレイ&クレーム”のコンビ名でミュージック・ビデオのクリエイターとして優秀な作品を次々と製作し、その頃最も注目を集めたビデオ・ディレクターとなりました(主なクライアントはポリス、ゴー・ウエスト、デュラン・デュラン、フランキー・ゴース・トゥー・ハリウッド等々)。そして、2人で開発した“ギズモ”と言うギターのアタッチメントは、10ccのアルバムでも随所に使われて、そちらの方面でも有名になりました。
10ccはこの2人組x2=4人組で、1975年に『オリジナル・サウンド・トラック』(ギズモをフューチャーした代表曲、「アイム・ノット・イン・ラヴ」を収録)、1976年に『びっくり電話』をリリースしますが、その直後“ゴドレイ&クレーム”は「ギズモ開発に専念』を理由にバンドを脱退してしまいました。バンドはスチュワートとブールドマンの元マインドベンダース・コンビ(実はグールドマンも一時期マインドベンダースに在籍してました)に引き継がれ、元パイロットのスチュワート・トッシュ(ドラムス)や元コックニー・レベルのダンカン・マッケイ(キーボード)などのメンバーを集めて活動を続けましたが、1979年にエリック・スチュワートが交通事故に遭うなどの災難のせいもあってか、1983年にリリースされたアルバム、『都市探検』を最後に解散してしまいました。

10ccはその後スチュワートとグールドマンを中心に再結成されましたが、私としてはどうせならこの頃の4人組での再結成を望んでやみません。


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