HISガンダム88
  
永野護氏デザインMS大全       
機動戦士ガンダム逆襲のシャア 1988公開
「逆襲のシャア」でアムロ・レイが騎乗する主役機のはずだった機体。
 
完全未公開・・・。
  
 
 
 
 
 HISガンダム88
 
ZZにおいて放映前に降板になってしまった永野護氏であるが、その翌年から製作が始まった劇場版「逆襲のシャア」のメインメカニカルデザイナーとして主役機Hi-Sガンダム、ライバル機ナイチンゲールなどのデザインを担当していた。
  
しかしZZと同様、製作途中の段階で降板となってしまい、永野版ガンダムやナイチンゲールなどは没となってしまった。
その後、出渕裕氏らによりHi-Sはνガンダム、ナイチンゲールはサザビーとして新たにデザインされている。
「来年春に公開が予定されている「ガンダム」の映画版新作「ハイエス・ガンダム(仮)」。」 [Newtype1987年6月号]
「同年(1986年)、劇場用作品機動戦士ガンダム逆襲のシャア」の初期設定に参加」 [comicNewtype1996冬の号]
「この年の夏、翌'88年公開の劇場アニメ「機動戦士ガンダム/逆襲のシャア」のメインメカニカルデザイナーの座を(またしても)追われてしまう。デザインの優劣ではない。この時期の永野は、スタッフやクライアントとの協調精神を全く失っていた。」 [マモルマニア]
「この作品には当初、ZZで降板した永野護がリターンマッチとばかり起用されることが決定していた。」 [GUNDAM EPISODE GUIDE 3]
(富野監督とは)色々な仕事をいっしょにさせていただきましたが、中には下のイラストのように日の目を見なかったものもたくさんありますねー。Hi-SガンダムとかM9とか。」 [まるごと富野]
「逆襲のシャアでもまたまた筆頭デザイナーとして呼ばれて全てを作ろうとして、またクビになって(笑)。(中略)HI-Sガンダム(νガンダムの原型)やナイチンゲール(サザビーの原型)なんかのデザインも上げているし」 [Zガンダムエース]
「『逆襲のシャア』のメインデザイナーとして起用されるが、今度は周囲のスタッフとドタバタを起こしてしまい、またしても降板」 [ウラBUBKA2004年11月号]
「すでにこの作品(ガンダム)では2度も降板させられているので、今度こそはと全力でデザインを開始したのだが、ほぼすべてのロボット、艦艇、コクピットシステムから特殊なヘルメットなどを上げたところで、また降ろされるということになった。」 [リブート2巻]
  
この機体に関しては、永野氏自身も特に思い入れが強いと思われ、折に触れて最強のデザインであるという趣旨のコメントや、今後公表する予定はないというコメントが掲載されている。
「ちなみに今までに本気でデザインしたロボットは(中略)"HISガンダム88"ナイチンゲール=v [CHARACTERS4FATIMA]
「永野メカの中で最もスゴイと言われる"ナイチンゲール"HIS・G≠ヘ未だ公開されていない」 [CHARACTERS4FATIMA]
  
Hi-Sは例によって、永野氏らしい、言うなればガンダムに見えないガンダムとしてデザインされていたらしい。
「私自身(井上伸一郎氏)が傑作だと思う「逆襲のシャア」の永野版準備稿Hi-Sガンダムも、ガンダムとしてデザインされているものの、万人が見て「これはガンダムだ」といえるデザインにはなり得なかった。」 [マモルマニア]
「アムロ用のHi-S(ハイエス)ガンダムは、いわゆるガンダムの常識をくつがえすデザインで進行していた。」 [マモルマニア]
   
唯一判明している機体の特徴としては、背中にマント状の装甲が有るという事である。
→リブート2巻のジュノーン後期型解説文の中で、HI-Sのマント部がこの機体に転用されていたことが判明した。 2012年1月16日追記
ただし、そのまま転用されたわけでは無く、若干変更はされている模様。
※マントが付けられたジュノーン後記型の設定画はNewtype1988年1月号の扉ページに掲載されたが、その後の連載登場時、単行本2・3巻に掲載されたキャラシートでは取り外されている。
「後部にマントの様につけられる装甲は、MHの特徴としてずっと考えていたのだが、ランドセルやタンクじゃ世界観が異なるし、という訳で、実験的に2年前(1987)の某劇場アニメの主役ロボットにつけたのはいいが、日の目を見なくなってしまった訳で」 [JOKER3100]
(ファイブスター物語2話の)物語ラストに登場する「ジュノーン最後期型」はその反省を踏まえたものの、やっぱり時間がなく、最後のフィニッシュを「ハイエス」という名のロボットからもってきた。背中のマントや腰の装甲などは形を変えてあるが、とりあえずくっつけてみた。 (中略) 読者の方でこの白黒イラスト(リブート巻に掲載されたジュノーン後記型)を見て「?」と思った方がいるかもしれない。そう、今まで公開されているセル画のバージョンには背中のパーツがカットされているのである。ハイエスのパーツをくっつけたままでは駄目と判断したのだろう [リブート2巻]
   
ネーミングについては永野氏ではなく、富野監督の意向で決定されている。
シャアを越えるという意味でHi-Sと名づけられたが、シャアの綴り(Shar)をCharと富野監督が間違えたためにHi-Sとなったのは有名な話である。Hi-Cでは、・・・・ねぇ。
「富野監督はシャアのスペルがSから始まると思いこんでいたようで−実際はCharなのでC−シャアを越えるという意味でHi-Sとしたらしい」 [GUNDAM EPISODE GUIDE 3]
   
一説には、HI-Sというネーミングはアニメージュに連載されていた「ハイ・ストリーマー」が由来であるというものがある。
これはガンダムセンチネルに書かれていた以下の一文が起因となっている。
・「(Sガンダムの没名称である)イオタ・ガンダムはかとき氏自らのネーミングによる仮称で、これは後の機体解説でも生かされることとなる、アナハイム・エレクトロニクスにおける、ギリシア文字を冠したガンダム・シリーズ(γガンダム=リック・ディアスをスタートとする、シリーズ7番目のガンダム)から来たものである。その正統制はともかくとして、ネーミングにおいても先の『逆襲のシャア』との橋渡しが検討された。この時点(3月下旬)で、『逆襲のシャア』での新ガンダムは、(裏情報で)“Hi-S(ハイエス)ガンダム”になる、というのが定説になりつつあった。(これは、徳間書店刊『月刊アニメージュ』連載の、『ハイ・ストリーマー』から来たものである。)それ故、このHi-SからHiを抜いた“Sガンダム”が候補となった。Sは当然頭文字であり、これは再びかとき氏の案で“シュープリーム(スプリーム)・ガンダム”とされた。 [ガンダムセンチネル]
  
 
このMSについては、キャラクターズ4のアシュラテンプルの解説のページに今までに本気でデザインした数少ないメカの一つとして列記されている。
そして、この
ナイチンゲールとHisガンダム88はいまだ公開していないというコメントも付け加えられている・・・。
  
ちなみにHISガンダム88という名称は非常に謎めいている。永野氏が逆襲のシャアの製作から離れたのが1987年夏であるため、1988という数字は合点がいかない。
考えられる可能性として、1988年に新しくすんばらしぃデザインのHi-Sを書き直した、もしくは映画の公開が1988年であったためあらかじめ88という文字が付加されていたという2点である。

→ナイチンゲールの設定画が公開され、これらの設定画が描かれたのはやはり1986年であったことが判明した。 2011.1.16追記 
88という語句は、やはり公開時の年号が起因であると考えた方が良いと思われる。

 

 
設定画
 −Unknown−
  

 
掲載雑誌
 −Unknown−
  
 

 

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