ナイチンゲール
 
永野護氏デザインMS大全       
機動戦士ガンダム逆襲のシャア 1988公開
永野氏が劇場版「逆襲のシャア」のためにデザインしたシャア専用機。
残念ながらHi-S同様公表されることはなかった。
  
 
 
 
 
 ナイチンゲール
 
永野氏が劇場版「逆襲のシャア」のためにデザインしたシャア専用機。
残念ながら永野氏が企画時点で降板したために、Hi-S同様公表されることはなかった。
→2011年、ついに当時の設定画が公開された(
ファイブスター物語リブート2巻P74)。 2011.1.9追記
 
ナイチンゲール(Nightingale)と言う名称の由来はヒタキ科の鳥であるサヨナキドリ(小夜鳴き鳥)の英語綴りである。
なお、欧州においてサヨナキドリは死を告げる鳥とされている。
→2011年に公開された設定画には永野氏の字で「NAITIENGEAILE」と書かれているが、永野氏による造語であると思われる。  2011.1.9追記
 
一方、2007年に永野氏が描いたMSはナハトガル(Nahatgall)という名称となっているが、単にナイチンゲールをドイツ語読みにしたものではない。
ドイツ語では「Nachtigall(ナハティガル)」)であり、「Nahatgall」という綴りも永野氏の造語ではあると思われる。
「永野がシャア用にデザインしたナイチンゲール(劇場版での名称はサザビー)は、ジオン系MSの新たなスタンダード・モデルとなりうる傑作だった」 [マモルマニア]
「逆襲のシャアでもまたまた筆頭デザイナーとして呼ばれて全てを作ろうとして、またクビになって(笑)。(中略)HI-Sガンダム(νガンダムの原型)やナイチンゲール(サザビーの原型)なんかのデザインも上げているし」 [Zガンダムエース]
「ナイチンゲールことナハトガルは僕が『逆襲のシャア』の企画に関わっていた時点でデザインされていたMSで、シャアが搭乗する最後のMSとして富野氏から依頼されていたものです。(中略)残念ながらこのデザインは日の目を見ることはありませんでした。作品を企画時点で降板したからです。」 [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
「『逆襲のシャア』のメインデザイナーとして起用されるが、今度は周囲のスタッフとドタバタを起こしてしまい、またしても降板」 [ウラBUBKA2004年11月号]
「この重々しいロボットは敵のスーパーパイロットが乗るという設定で、「死を運ぶ鳥」という意味の名前が付けられた。」 [リブート2巻]
「とある作品の続編が劇場映画と決定した。そのとき「テレビシリーズではないからすべてのデザインをお前に託す」とい、富野監督から言われ、ウルトラシリアスなロボットを猛烈な勢いで書き上げていった。この劇場作品で描いたデザイン(ナイチンゲール)が世に出るのは(リブート2巻が)初めてかもしれない。」 [リブート2巻]
「すでにこの作品(ガンダム)では2度も降板させられているので、今度こそはと全力でデザインを開始したのだが、ほぼすべてのロボット、艦艇、コクピットシステムから特殊なヘルメットなどを上げたところで、また降ろされるということになった。」 [リブート2巻]
  
これらの機体に関しては、永野氏自身も特に思い入れが強いと思われ、折に触れて最強のデザインであるという趣旨のコメントが掲載されている、
「ちなみに今までに本気でデザインしたロボットは(中略)"HISガンダム88"ナイチンゲール=v [CHARACTERS4FATIMA]
「永野メカの中で最もスゴイと言われる"ナイチンゲール"HIS・G≠ヘ未だ公開されていない」 [CHARACTERS4FATIMA]
「今見ても恐ろしいほどにすばらしいデザインだと思うが、「もしも・・・」とか、「これが・・・」とか思うのはお門違いである。その時代、その時代の空気があり、降板させられたのはその時代の理由があったからなのだ。永野ロボットの傑作のひとつだる。ただし、過去のものだ」 [リブート2巻]
  
残念ながら一部の頭部イラストを除いてこのMSが公開されることはなかったが、ついに2007年1月のNewtype綴じ込みポスターにてデザインが公開されている。
(ただし厳密には当時のままのデザインではなく、永野氏の最近のデザインラインでリデザインされたものである)
その際、現在広く知られている出渕氏のナイチンゲールと混同しない為?に、ナハトガルという名称に変更されている。
「んでまぁ、(ナイチンゲールは)20年前のデザインですので、(ナハトガルは)最新ラインにまとめ直してはあるものの基本的なところは変わっておりませんね。Z以降のMSはいろいろな方々がいろいろなメディアで出されていますので、その中の一つとしてでも見ていただければ幸いです。もちろん僕のわやな設定もお笑いください。」  [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
 
 
余談ではあるが、昔、ワンダーフェスティバルで行われた永野氏の対談にて、今後ナイチンゲールやHi-Sを公表するつもりがあるか聞かれ、以下の通り発言している。
「公開するつもりは、無い。なぜならこれらは様々な要素に分解されすでにFSS本編中に登場してるから。もしデザインを見れば、『これは、このMHのこの部分になったのね』という事がわかる」
(ただしその旨の発言はあくまで、当時会場にて会談を聞いておられた方より伝え聞いた話であり、正確な意味・意向は異なる可能性はある)。
 
長らく未公開とされていたこのナイチンゲールのデザインを永野氏が公表する気になったのは、ゴティックメイドを持って、今までに発表してきたデザインにナイチンゲールのすべての要素は吸収されつくし、もはや隠しておく必要が無くなったためであるとの事であるが、以前富野監督との会談にて富野監督がZガンダムを作り直すのならば、このMSを無料でデザインしますよという約束を果たすためとも考えられる。
この劇場版はほぼTV版とストーリーラインは同じであるが、ラストシーンは異なっており、そのことを「作り直した」という意味に取る事もできるのかもしれない。
 
個人的にはその会談記事を読んだときに、富野監督がZGを作り直す際には永野氏のナイチンゲールがスクリーンの中を圧倒的な迫力で駆けるシーンを見ることが出来ると夢想したものである。
当然、サザビーにあたるこのナイチンゲールという機体が劇場版ZGに搭乗するわけはないのであるが、しかしながら、このように幻と言われた機体を見ることが出来た、それだけで充分幸せである。
いつかあの機体も見ることが出来る、そんな日が来ると信じたい。
(富野)監督も自分のZガンダムを忘れて新しいZガンダムを作っちゃえばいいんです。そしたら僕はタダで最新版ナイチンゲールを描きますよ。」 [ISSUE]・[OUTLINE]
「今回珍しくかつてのデザインをもう一度描く気持ちになったのは自分の最新作、GTMのデザインに入り、今まで取っておいたこのデザインが永野デザインのストックという役割から開放され、ようやく放出する気になったからです。『もう取れるパーツはないだろう』ということですね。ちょっと寂しい気もしますが。こんなデザインのMSも当時は用意してあったんですよ。という今ならではの感覚からなのでしょうか。」 [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
 
 
機体の全体の印象としては、非常に独特なフォルムで、過去のモビルスーツのデザインとはハッキリ一線を画している。
 
重装甲かつ各装甲が丸みを帯び、頭部と背部に棘のようなものが生えていることから、一見恐竜のようなイメージを受ける(実際に設定画の横には永野氏の字で「ステゴザウルス」と書かれている)。
※ナハトガルをデザインした際にも、当時恐竜をモチーフにデザインした旨発言している。
肩・胸・腰・脚部には長い線模様(スリット)が何本も描かれており、これは後のナハトガルにも引き継がれている。このスリットは熱放射の為のエキゾースト(排気)であるとのこと。 2012.1.8追記
「ナハトガルのデザインだけでなく、当時富野監督と考えていたMSのラインは全て「ごつく怖い」デザインで進行していたと記憶してます。そのため僕が「逆襲のシャア」で用意したMSのデザインは全て恐竜や怪獣をモチーフとしており、リック・ディアスのラインを進めたイメージとなって、キラドーガやヤクトドーガ、そして再登場する予定だった「Zガンダム改」(リ・ガズィ)までもが超重装甲のデザインとなっておりました。」  [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
「各部の装甲にあるスリットはすべて熱放射のためのエキゾーストである。」  [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
 
 
ナイチンゲールは未公開であった長い期間で、様々な機体にデザインが転用されている。、
過去のワンフェス会談にて脚部部分がアシュラテンプル(先行試作型)に、2001年にはISSUEにてブレンパワードのデザインにも形を変えて反映されていたことを以前永野氏が語っている。
その後ブーレイヤクトミラージュ(右翼)にもデザイン要素が転用されていたことが2007年1月のポスター解説によって判明した。
→2011年、リブート2巻に設定画が掲載された際、このMSからブーレイの装甲フォルムに転用した旨コメントが掲載されている。 2012.1.8追記
「ブレンのデザインは、MSのナイチンゲール(「逆襲のシャア」で没になったモビルスーツ)がもとです。」 [ISSUE]・[OUTLINE]
「『逆襲のシャア』降板後、このデザインは『ファイブスター物語』のブーレイにリデザインされたり、長く背中まで垂れ下がった頭部はヤクト・ミラージュ・オレンジライトへと、後の永野メカに多くの部分を拡散して供給しています。」 [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
「当時は悔しさのあまりに「MHブーレイ」にそのまんま使ってやろうかと思ったが、装甲フォルムのみをブーレイに移し、よく見れば似ている・・・かも?程度になっている。」 [リブート2巻]
  
総合的なイメージとしてこのMSはリック・ディアスの最終形態というコンセプトで描かれていたらしい。
考えてみればZでシャアが最初に載った機体がリック・ディアスであることから考えれば当然の帰結点かもしれない。
(この機体に関しては、当時書かれた設定画なりイラストが公開されていない為、機体の細かいデザインについては言及できない。2007年に公開された機体についてはナハトガルを参照のこと)
「ナイチンゲールは、リック・ディアスの最終形態として描いている。ああいうものはやっぱり(ガンダムらしくないということから世に)出せなかった。」 [Zガンダムエース]
「基本的な外見はリック・ディアスの重装甲版というイメージがあるのはファンネルによる遠隔戦闘よりも対艦強襲MS、駆逐MSとしての戦闘任務が多くなることを想定しているからである。」 [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]

このナイチンゲールやHisGについては、噂レベルで目撃談がネット上で語られており、作画なり絵コンテでこれらの機体が描かれていたのではないかとも推測できる。
しかしながら、現在それらの手がかりは見つかっていない。
 
ただし、2007年のナハトガルのポスター解説文にて、逆襲のシャアの作画監督大森英敏氏にナイチンゲールの準備稿デザインが渡され、試験的な作画や大森氏の描いた作画用キャラクターシートがあったとの発言を永野氏がしていることから、これらの資料をごく限られた一部の関係者が見ている可能性も考えられる。
勿論それはナイチンゲールだけではなく、あの連邦のエースパイロットが駆る(予定だった)あの機体も・・・・。
(ナイチンゲールの)デ ザインはほとんど完成した状態で当時の作画監督、大森英敏君にこの準備稿デザインが渡され、実際の作画に反映されるかどうかの試験的な作画にまで入ってい たものです。現在でも大森君が描いてくれた作画用のキャラクターシートは残っていますが、テスト用だけでこれだけの作業をしていた当時の気合の入れ方は劇 場用作品だったということもあるのでしょうね。」 [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
 
 
1998年に発行されたまるごと富野に、ナイチンゲールジオンという名前でこのMSらしきイラストが掲載されたが、当時のままのデザインであるのか、それとも新しく描き直したものであるか不明。
便宜上ココでは別のものとしてまとめている。
 
2007年に公開されたナハトガルも最新のラインにデザインし直されているとのことであるので別記とする。
(そこに記載されていた設定などもナイチンゲールではなくナハトガルのものであるとしてこのサイトでは扱う)。

 
設定画
設定画は20011年に発行されたファイブスター物語リブート2巻P74に掲載されている。
 
掲載された設定画には、永野氏のサイン「MN.86.」「Gundum.the Movie ZAC NAITIENGEAILE」と記載されている。
※Gundum→Gundamの誤り ZAC・・・ジオニックエアコマンドの略で永野氏の造語
 
リブートでは切り取られており掲載されていないが、サインとタイトルの横にはフェラーリとポルシェの絵が描かれている。
イラストの横には「フェラーリかポルヘがほしいくりすだい.しえんごしゃくまん」と書かれていた(某掲示板にて確認)。
フェラーリはF355であると思われるが、ポルシェについては特定できず(サンルーフとハッチバックっぽいものが描かれている)
→ポルシェは928、フェラーリは512BBか365GT/4 BBである可能性が高いとのこと 2012.1.17追記
 
「ステゴザウルス」という書き込みと、頭身比較用に永野版リガズィの頭部略図も描かれている。
この他にも設定画が存在するのかは現時点では判明していない。 2012.1.9追記

 

 
掲載雑誌
ファイブスター物語リブート2巻 P74
  設定画完全一部書き込み完全一部 タイトル サイン
設定画及び解説文が掲載されている。
  
  
 
 ナイチンゲール・ジオン
 
まるごと富野にてついに公表された、永野版ナイチンゲールのイラスト。といっても当時とはデザインが異なると思われる。
→2011年1986年に描かれたナイチンゲールが公開されたが、全く別物であり、新しく書き直したものであったことが判明した。 2011.1.9追記
 

このイラストにはイラストの紹介として、「MS.ナイチンゲール"ジオン(逆襲のシャア.没.未発表.)」と併記されていた。
このナイチンゲール"ジオン≠ニいう名称は初めて登場している。頭部の背ビレらしき装甲板が印象的。

 

 
掲載雑誌
まるごと富野
著名人からのメッセージコーナーに永野氏のイラスト及びコメントが掲載され、ナイチンゲール・ジオンも描かれている。
  
   
 
 ナハトガル
 
2007年1月のNewtype綴じ込みポスターにて発表された機体。
 
上記のナイチンゲールを当時のままのデザインではなく、永野氏の最近のデザインラインでリデザインされている。
機体の名称もナイチンゲールではなく、ナハトガルという、ややドイツ語的な読み方に変更されている。
 
なお、ナハトガル(Nahatgall)というアルファベットでの綴りも掲載されているが、単にナイチンゲールをドイツ語読みにしたものではなく(ドイツ語では「Nachtigall(ナハティガル)」)、「Nahatgall」という綴りは永野氏の造語ではないかと思われる。
 
この名称については、永野氏の茶目っ気として、当時「Nahatgall」という語句を連邦側が誤って英語読みして「ナイチンゲール」という名称になってしまったというエピソードを創作している。
しかしながら、もちろん当時(80年代後半)は永野氏自身が各書籍でナイチンゲールと言う名称で記載しており、今更なぜか「ナハトガル」という名称に変更してしまったことに対しての一種の照れ隠しのようなニュアンスでの発言ではないかと想像できる。
「んでまぁ、(ナイチンゲールは)20年前のデザインですので、(ナハトガルは)最新ラインにまとめ直してはあるものの基本的なところは変わっておりませんね。Z以降のMSはいろいろな方々がいろいろなメディアで出されていますので、その中の一つとしてでも見ていただければ幸いです。もちろん僕のわやな設定もお笑いください。」  [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
「ナハトガルはアナハイム・ジュピターで極秘に製作されていた設計コードが一部、月のアナハイム・エレクトロニクス社に漏れ、その開発コードが英語で訳されたために「ナイチンゲール」と誤称されてしまった。」 [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
 
 
このMSの(永野氏による独自)設定も、ナイチンゲールはネオジオン軍のシャア専用機とあったのに対して、このナハトガルは何故かグリプス戦争時に参戦したハマーン・カーン率いる(ネオ)ジオンで使用される予定であった機体ということになっている。
なぜ、U.C.0093の「逆襲のシャア」時代ではなく、U.C.0087時に変更されたのか、それは以前Zガンダムエースで永野氏が富野監督と交わした約束が起因となっているのではないだろうか?
その富野監督との会談時、富野監督がZガンダムを作り直すのならば、ナイチンゲールを無料でデザインしますよという約束をしている。
当時、何故Zガンダムなのに(逆襲のシャアに登場する)ナイチンゲールなのか?という疑問を持ったのであるが、今回のポスターの解説文でもこのような設定になっている。
 
「ハマーンのネオジオンにこのナハトガルという機体があった」という新しい永野氏の独自設定なのだろうか?
(ただし開発が開始されただけであり実際に配備された訳ではないらしい)
機体の大きさや色(緑色)、ファンネルを装備ニュータイプ専用機であることからクイン・マンサを連想させるのではあるが・・。
って、クイン・マンサはZGじゃなくてZZ(ry ・・・・よく分からん。
「モビルスーツ・MAN-104(Msae-39)ナハトガルはアクシズ戦争時に開発が開始されたハマーン率いるジオン軍の超重MSとして配備される予定にあった重機動モビルスーツである。」  [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
 
 
機体のカラーリングに関しては一般的に想像される赤色ではなく、緑色を主体としたカラーリングとなっており、永野氏によるとこのナハトガルはジオン最後の機体であり、つまりはザクの最終到達点に立つ機体であるということからこのカラーリングになったものと思われる。
ただし、1987年当時のナイチンゲール赤色であったという記載(ソース)は無いことを付け加えておく。
(シャアの機体であること、実際に劇場版に登場した出渕氏のサザビーのカラーリングも赤色であったことからほぼ間違いないとは思われるが。)
 [追記]この機体を永野氏が「テスタロッツァ(赤の一番)」と呼んでいたとの噂もある・・・?(ソースはなし。あくまで噂レベルでの話)
 
2009年12月にガンダム30周年を記念して発行された画集「天地創造」にこのイラストが再録された際、カラーリングが緑色から赤色に変更されている。
このカラーリング変更については永野氏及び周辺の関係者からの説明は一切なく、どのような意図で実施されたのかは現時点では不明である 2012.5.23追記 
「この機体はジオンの理想「ZAC(ジオン・エア・コマンド)」の最終到達点であるかもしれない。」  [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
 
 
武装に関しては、6基のファンネルを装備しており、体内にはプロトンドライブを装備しているらしい。
 
ここで間違えてはいけない事として、1994年当事のタイプ100らに装備されていたのはプトンドライブではなく、プトンドライブであるということである。
ちなみにプロトン(proton)は陽子もしくは水素イオンを意味するが、プルトンという名称のモノは見当たらないことからプルトニウム(Plutonium)からの造語ではないかと思われる。
プルトニウムは核兵器における主要な核分裂性物質であり、プロトンは水素イオンであることから両者は全く別物という可能性が考えられる
ただし、2007年のポスターには「100式(おそらくタイプ100の事であると思われる)にプロトンドライブがアタッチメントブースターとして採用されている」と描かれているため、プルトンドライブとプロトンドライブは同一である可能性も考えられる(どっちやねん)。
 
この非常にややこしいなんちゃらドライブについて書き加えるべき点として、ナハトガルのプロトンドライブは背面の巨大なロングスカートに装備されているらしい。
同様に1994年のハンマハンマリックディアスもロングスカートを装備していることから考えても、やはり両者は同一のものとして考えるべきであるのかもしれない。
タイプ100はアタッチメントブースターとのことであるので背中の2対の巨大なブースターらしきものがブースターなのではないかと想像できる。ハンブラビは巨大な羽根部分に装備されているのかな?)
しかし、ナハトガルはプロトンドライブの放熱・放電のために巨大な羽状のヒートシンクラジエーターが付き、各装甲には熱放射の為のスリットがついているが、1994年の機体にはこれらの特徴は見られない事から、やはり両者は別物かも・・・(いいかげんにしろ)。
 
なお、プトンドライブに関しては「プルトンドライブを装備した機体は奇怪な脚部を持っている」という永野氏のコメントがあるが、これは決してプルトンドライブ自体が脚部に装備されているという意味ではなく、プルトンドライブを装備するがゆえに何らかの目的で脚部が奇怪な形をしているという意味ではないかと想像できる。
「全機下半身はプルトンドライブ特有の奇怪な脚部を持っている。しかしすべて隠れて見えないのが残念である」  [Newtype1994年1月号]
「対艦攻撃のためのスピードブースター、プロトンドライブ・モーターはガンダムタイプの3000倍の高出力を持っている。背面に巨大なロングスカートのように搭載されているプロトンドライブは「100式」にもアタッチメントブースターとして採用されているもので、通常のMSに搭載されているロケットブースターとは桁外れの出力をもっている。このプロトンドライブの放熱と放電の為に付けられている巨大なヒートシンクラジエーターが太古の恐竜を思わせ、その巨大な機体をさらに恐ろしく見せている。また、各部の装甲にアルスリットはすべて熱放射のためのエキゾーストである。」  [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
 
 
外見上の特徴としては、前述した巨大なヒートシンクラジエーター(放熱板)によってステゴザウルスをイメージ出来る。
ちなみに、逆襲のシャア製作当事永野氏がデザインしたモビルスーツは全て怪獣や恐竜がモチーフとなっていたらしく、このナハトガルだけでなく、1986年当事のナイチンゲールも同様のデザインラインであったと思われる。
1998年のまるごと富野という小冊子に掲載されたナイチンゲール・ジオンもナハトガルと比べるとかなり小型ではあるが同様に放熱板が装備されている。
 
イラストが公開されているナイチンゲール・ジオンとナハトガルであるが、描かれた時期が10年近く離れており、しかもナハトガルは最新のデザインラインで書き直されているために大幅に形状が異なっている。
共通しているのはモノアイの形状と頭部に放熱板がステゴザウルスの同じような位置で付いているくらいであろうか。
その他に特記すべき点としてナハトガルに関しては頭部にツノが付いており、この点もジオンの名機「ザク」を連想させる。
 
このナハトガルもナイチンゲール・ジオンも1986年当時に書かれたデザインと一緒なのかそれとも全く異なるのか、それは依然謎のままである。
「このプロトンドライブの放熱と放電の為に付けられている巨大なヒートシンクラジエーターが太古の恐竜を思わせ、その巨大な機体をさらに恐ろしく見せている」  [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
「ナハトガルのデザインだけでなく、当時富野監督と考えていたMSのラインは全て「ごつく怖い」デザインで進行していたと記憶してます。そのため僕が「逆襲シャア」で用意したMSのデザインは全て恐竜や怪獣をモチーフとしており、リック・ディアスのラインを進めたイメージとなって、キラドーガやヤクトドーガ、そして再登場する予定だった「Zガンダム改」(リ・ガズィ)までもが超重装甲のデザインとなっておりました。」  [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
 
 
サザビーがキュベレイ同様にファンネルを主体としたニュータイプ専用機であったのに対して、このナハトガルは一応6基ファンネルを装備してはいるが、対艦強襲・駆逐を戦闘任務とした機体である。
その為の強力なブースター「プロトンドライブ」を装備しており、グラブロやビグザム、ゾックなどの大型機体が担った高速移動・高出力兵器による撃破の役割を継いでいる。
 
イラストに描かれていないが、660mmプロトン砲と250mmビームマシンガンを外装兵器として装備し、しかも50mmガトロングビームキャノンも内装した非常に高い火力を備えた機体である模様。
このキャノンは機体のどこに内装されているのかイラストからは判別できないが、ファンネルに関してはモノクロイラストから腰部のアーマー表面に収納されていることがわかる(カラーイラストでは塗りつぶされているが、ファンネル表面に番号が刻印されている)。
「「ナハトガル」の戦術的な開発の発端は旧ジオンのMS、グラブロやビグザム、ゾックの延長線上に当たる。」  [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
「基本的な外観はリック・ディアスの重装甲版というイメージがあるのはファンネルによる遠隔操作よりも対艦強襲MS、駆逐MSとしての戦闘任務が多くなる事を想定しているからである。」  [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
「キュベレイよりも(ファンネルの)搭載数が少ないのは近接戦闘がメインとなるためである。」  [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
「対艦攻撃のためのスピードブースター、プロトンドライブ・モーターはガンダムタイプの3000倍の高出力を持っている」  [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]

 
なお、永野氏により、この機体には「MAN-104/MSae-39-20001-X-19D(〜20006-X-19D)」というシリアルナンバーが設定され、シリアルナンバーについて親切?な解説がされており、長らく意味不明であった「X-」という形式番号がアナハイムの社内コードであったことが判明した。
ちなみにキュベレイは「X-15B」で、Bはボンバーを指し、爆撃機であることを指す。
Dはデストロイヤーで駆逐機、Aはアタッカーで攻撃機(100式・リックディアス)、Cはクルーザーで巡航機を指すらしい。
 
過去に「X-」の形式番号が過去に振られていた機体はZG大辞典に掲載されたハンブラビの「X-185」、キュベレイ初期稿通称「マラサイ」の「X-15B」、キュベレイ初期稿その2、ZG大辞典に掲載されたキュベレイの「x-129」などがある。
なぜか3桁の数字があるがここら辺は謎。
そういえば、キュベレイってアナハイム製作でしたっけ?たしかアクシズでの独自開発だと思ったんですけど・・・。
 
また「MAN-」という形式番号はやはりモビルアーマーニュータイプの略であるらしいが、この「MAN-***」という形式番号は、初代ガンダムでのニュータイプ専用機に使用されていたものであるが(MAN-03ブラウ・ブロ MAN-08エルメス)、これら「MAN-***」はMAの為の番号である。
ジオングやサイコミュ高機動試験用ザクなどのニュータイプ用MSには「MSN-***」という形式番号が存在しているので、MSであるナハトガルは、こちらの形式番号が妥当ではないかと考えられるのだが・・・。 
なお、2005年にイラストが描かれたキュベレイにも同様に「MAN-103」という形式番号が設定されている(ナハトガルは「MAN-104」。
一方で、百式には「MSN-00100」が公式に設定され、永野氏オリジナルデザインの百壱式には「MSN-101」という形式番号を過去に永野氏自身が描いている。
 
また20001〜20006と書かれている事から製作過程で6体製作されたものと想像できる。
「(シリアルナンバーの見方:MANはモビルアーマー・ニュータイプの略)」  [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
「最後のX-19Dはアナハイム側の統一機種番号で社内コードである。ちなみにキュベレイはMANae-103-10001-X-15Bである。このことから キュベレイは「ボンバー」としてコーディングされていた事実がうかがえる。たしかにファンネルは爆撃仕様ともいえなくはない。」  [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
「Aはアタッカー、攻撃機(100式、リック・ディアスなど)。Bはボンバーで爆撃機。Cはクルーザーで巡航機。Dはデストロイヤーで駆逐機である。」  [Newtype2007年1月号綴じ込みポスター]
 
 

1998年に発行されたまるごと富野に、ナイチンゲールジオンという名前でナイチンゲールらしきイラストが掲載されたが、当時のままのデザインであるのか、それとも新しく描き直したものであるか不明。
便宜上ココでは別のものとしてまとめている。
→2011年1986年に描かれた
ナイチンゲールが公開されたが、全く別物であり、新しく書き直したものであったことが判明した。 2011.1.9追記

 
 
2007年に公開されたナハトガルも最新のラインにデザインし直されているとのことであるので別記とする。

(そこに記載されていた設定などもナイチンゲールではなくナハトガルのものであるとしてこのサイトでは扱う)。
 


 
掲載雑誌
Newtype2007年1月号綴じ込みポスター
イラスト及び解説文が掲載されている。
機動戦士ガンダム30周年画集「天地創造」 P203
イラストが再録されている。その際何故かナハトガルのボディカラーが緑色から赤色に変更されている。
  
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