死闘6 物言わぬ敵現る! 大腸ポリープとの闘い!



2006年5月第2週

召集令状が来た!

開けたらまさに赤い紙が入っていた。前橋中央病院からの召集令状は何かというと、先日診てもらった人間ドッグに生まれて初めてひっかかってしまったのだ。ひっかかったのは










大腸がん検診!





検査2日前、1日前に採ったウンチが2日間とも陽性になったらしい。陽性ということは大腸内に血が混じっていることをしましているらしい(←アバウトな推論)。去年から10kgの減量に成功し、運動もしており、ビールを飲む頻度も半分にしたのに







何でひっかかるんだぁーーーー!






きっと





痔がちょっと切れただけだぁーーーーー!






検査技師が他の奴のウンチと間違ったんだぁーーー!


と思っていた。健康まっしぐらの現在、何でひっかかるかが全然腑に落ちない。とりあえず病院にいくしかない。


5月23日(火)

半日休暇を採って病院で検査。検査担当は何故か外科!8時半から診察が始まるので、8時に受付をして外科待合で待っていた。受付NO.で推定すると3番目だ。結構早かったぜ!

8時半頃、看護師が外科待合に来て

「○○さーん、XXさーん、△△さーん、...。本日内視鏡検査ですねー。検査室はこちらですので、ご案内しますのでお荷物を持ってこちらにきてくださーーーい!」

なんや?こいつら。おれは早めに受付したのに、それより早く呼ばれるなんて...とか思っていたが、後日自分が









同じ運命をたどるとは



この時点では思う余地もなかった。診察が始まり約10分くらいしたら

「ふなきさーーん!どうぞ」

の看護師の声を聞いて診察室へ。中へ入ったら電車男(TV版)的な先生でした。先生はもうなれたもんで展示会でプレゼンテーションをするコンパニオンの如く淡々と話始めた。

先生「
えー大腸検診で陽性ということで、精密検査を受けることになります。で、精密検査には2種類ありまして内視鏡を使う検査。これは大腸の中を直接スコープでみることができるので、かなり詳細に検査することができます。検査自体は大腸の状態にもよりますがだいたい20〜30分で、悪い部分が見つかればその時点で電気で切除することができます。但し、どうしても直接内視鏡を大腸に入れるので男性でしたら多少の痛みを伴うことがあります。もうひとつの方法はバリウムを飲んで、患部を撮影する方法です...(ぐだぐだ)

腹は決まっていた。どうせやるなら、ちゃんと見てもらったほうがいいので

ふなきさん「じゃ
内視鏡でお願いします!」

先生「わかりました。では、内視鏡検査ということで予約しておきます。大体いつ頃にしましょうか?」

電車男先生はパソコンを操作して予約表をだした。

ふなきさん「じゃ、5月30日(火)で」

先生「では5月30日で予約しておきますねー。で、こちらは当日までの準備ということで書いた書類と内視鏡検査の為の承諾書です。」

書類をいろいろもらったが、また検査前日から下剤を飲んでウンチ出しの作業がある模様だ。ハー!診察が終わり薬局で薬をもらった。薬は3種類。検査前日PM10時に2種類。検査当日AM8時に更に1種類飲まなければいけないらしい。3種類とも







下剤!

しょうがない。1週間後の内視鏡検査が決定した。検査しても何も出てくるはずない!と思ったが、まあ一度くらいはちゃんと見てもらったほうがいいので内視鏡検査を素直に受け入れた。

午後、会社に行って何気にスケジュールを見てたら6月4日(日)にスポーツ少年団のバーベキューに呼ばれていることが判明した!さっきもらった資料に、”
ポリープ切除をしたら1週間はアルコール、肉、辛いもの他が食えません(きっぱり)”と書いていた。

ということは5月30日の内視鏡検査でポリープ切除をしたら、






バーベキューなんて行けるわけがねぇー!





早速外科に電話した。

ふなきさん「あ、すいません。午前内視鏡の予約をしたふなきですが、
5月30日の内視鏡検査を6月6日にしてもらいたいんですが...」

看護師「大丈夫です!」





バーベキューに行きたいがために、内視鏡検査を1週間ずらした...







内視鏡より 






バーベキューのビールだぁーーー!






自分の身体より自分の欲望を優先してしまった...


6月5日(月) 検査前日

昨日のバーベキューのビールがかなり体内に残っていた..。しかし、フレックスも使わず気合で出社!明日はいよいよ内視鏡の検査の日!なので前日の今日は





ザ.下剤!

を飲まなければならない。飲むのは本日のPM10時だからまだ全然先だ。

(定時内、二日酔いと格闘中...。PM5時頃、アルコールがめでたく蒸発!)

二日酔いも収まってPM7時になった。もう食事は取れない。食事ブラックアウト期間がスタートした!まあ、昨年10kgの減量を成功させたふなきさんにとっては、屁でもないが。しかし、この日に限ってむしょうにラーメンが食いたかった。アルコール明けの締めのラーメンって奴を。
あー「山本屋」のラーメン中盛が食いたいーーー!





PM8時 帰宅

帰宅して風呂に入って、改めて病院からもらった資料を読んで前日の行動を再確認した。






PM10時

菓子も食えないし、ビールも飲めないし...ヒマだ。で、丁度時間となりましたので下剤2種類を飲む。PM10時の下剤を飲んだときはその後コップで2杯以上水を飲むようにと、病院からの書類に書いていた。コップで2杯水を一気に飲む。

ここで味わってチビチビ飲むということが、できないんだなぁー B型は!





向かいでかみさんが堂々と菓子食ってるし。単なるイジメだな!






こんちくしょー!

起きていてもちっともおもしろくないので寝る。


6月6日(火) 検査当日

AM7時 起床。腹減った...。でも検査当日だから食えるわけがない。検査当日に飲むトドメの下剤を飲む。下剤を飲んだからといって急にゴロゴロするわけではない。なんか、下剤らしくない下剤である。

目の前では子供2人が「めざましテレビ」をアホづらで見ながら、朝飯食っている。腹へった...。


AM7時40分
外科の受付は8時からだから、そろそろ行くか?かみさんから治療費10000円をもらう。内視鏡検査なんて、どれくらいするのか?ちっとも想像つかないのでとりあえず10000円を持参していくことにした。内視鏡が実際にケツに入るのは午後。それまでは前処理があるので結構ヒマらしい。なので



メモ帳とボールペン(←ホムペのネタをメモっておくため)
ニンテンドーDS
コミックス「からくりサーカス」23巻と24巻
I-Pods Shuffle



の暇つぶしグッズを携帯して病院に向かった。

AM8時
無事、病院に到着!これから過酷な戦いが始まる...。


6月6日(火) オーメンの日!検査当日

午前8時半

暇つぶしの持ってきたコミックスをボケーっと見ていたら、看護師さんがカルテを持ってきて読み上げた。

「内視鏡検査の○○さーん、◎◎さーん、ふなきさーん...検査室はこちらになりますのでご案内します!」

そーいえば先週、内視鏡検査の予約を入れたときの待合で同じようなシチュエーションがありましたな。あのときは「何だ?こいつら?」と思ったが、今日は先週の「何だ?こいつら?」の一味になってしまった...。

呼ばれたのは5名。じーさん2名、ばーさん2名、ふなきさん1名。なんと、ふなきさんが一番若いみたいだ(外見上は)。5人は看護師の後をトボトボと歩いていき、ある部屋へと到着した。そこは

内視鏡前処理室

6畳程度の部屋に机と椅子、あとはテレビがあるだけ。机の上にはいろいろ説明書類があったが、どーせ後で説明があるので、相変わらず持ってきたマンガを見ていた。

5分後看護師のにーちゃんが透明なビニール袋に液体が詰まったモノを持参し登場!絶対これは









サリン!

と思ったが「
マクコロールP」という製品名がビニール袋についていた。看護師のにーちゃんはそれを皆さんに配って長々と説明し始めた。

看護師「
......これからこのマクコロールPという下剤一袋1800mlを全部飲んでいただきます。いきなり飲むとお腹に負担がかかりますので、約200mlを約15分おきに飲んでもらいます。味はスポーツドリンクのような味がしますので無理なく飲めると思います。では9時なので、手元のコップの200mlの線の部分までマクコロールをついで飲んでみてください。

昨夜から水もまともに飲めなかったので、のどが渇いていた。なのでマクコロールだろうがサリンだろうがとりあえずなんか飲みたかった。早速紙コップに注いで飲んでみた。










んんーーーーー!



ポカリ!







全然ポカリなので味は問題なし。これが
下剤だとは誰が信じるであろうか?看護師のにーちゃんは更に説明を続ける。

看護師「
これを飲んでいるうちに、もよおしてくると思いますが、部屋の外にあるトイレでどんどん便をだしてください。そのときに便の色をよく見てもらいたいんです。そして机の上にある便の色のサンプルと比較して、サンプルと同じ色の番号を手元の用紙に記入してもらいたいんです。

前処理室に入ったときから気になっていた。机の上には便の色のサンプルを記載した説明がある。濃ぉいー色が1、これがだんだん薄くなって最後にほとんど色の無い5までの段階が写真となっているサンプルである。このサンプルと同じ段階の番号をそれぞれトイレに行って便をした都度その用紙に記入するのだ。

用紙には


1     有形便 1,2,3,4,5
2     有形便 1,2,3,4,5
3     有形便 1,2,3,4,5

   (以下略10回までありました)



というようなチェックリストが記載されてまして、該当するところに○を付けるシステムとなっていた。

看護師「
では15分ごとに200ml飲んでください。11時ころもう一度きますからねー。

看護師さんは前処理室を後にした。













過酷な戦いが切って落とされた。


始まりました。6畳前処理室でのウンチ早出し競走!5人でなんか会話するわけでもなく、テレビみながら黙々と下剤ポカリを飲み続ける。

異様な風景である。

知らんうちに開始して10分くらいで200ml飲んでしまった...。






喉渇いてたんだぁー!

そのときじーさん1名が席をたってトイレへ。







はえーなぁ!じーさん!

まだ開始10分でもうでるかい?

早クソじじいに負けてしまった。

15分経過、2杯目を紙コップに注ぐ。チビチビ飲み始めると、いきなり







キタァーーーーー!

速攻でトイレへ。

危なかったぁー!いきなりだもんな。こりゃヤバイなー。最悪の事態に備え、替えパンツ持ってくりゃよかった。早速トイレの中からかみさんにメールし、替えパンツを持ってくるように指示した(←院内でメールしてはいけません)。

この段階でレベル1を通りこして、レベル2だな。

1     有形便 1,(2),3,4,5

レベル2にチェックを入れ、下剤ポカリを飲み続ける。おれと入れ替わりでじーさんがトイレに入る。じーさんは2回目。早いなぁー!じーさんこれがほんとの






クソじじい!

じーさんは2人とも凄いクソ回転が速かった。ここぞとばかりにクソしまくっていた。さて、400ml目を飲みほしたころ、






キタぁーーーーーーーー!

トイレにGO!そしたらトイレ内の2つの箇所が、
クソじじい二人に占領されていた

やばい!いきなり厳しい戦いになってしまった!他のトイレはここから歩くこと20m付近のリハビリ室の手前!速攻でそっちに方向転換!間に合うか!







厳しい!




走ることができない!






走ると確実に漏れる!


体育会系B型人間は、多少内股気味の早足というへんてこな歩き方でリハビリ室を目指した!

イノキ先生もこれほどの戦いはなかったであろう、まさしく秒単位の戦いであった!






あともう少し!そこだ!んーやばい!

ドア開いた!鍵どこだ!鍵かかんねーじゃないかぁ!(←本当に鍵がなかった。リハビリ部屋がそこだったからか?)

しょうがねー。とりあえずドア閉めて、便座の回りのカーテンだけで仕切って......。

間に合ったぁー!勝利!まさに間一髪。危ないとこだったぁー!はよ、かみさん替えパンツもってきてくんねーかなぁ。それにしても、クソじじいの2人にはまいったぜ!今後のことも考えてトイレは今度からここで済ませよう!

クソじじい二人が頻繁に使うトイレを使用することをここで断念した。そして今回のチェックはレベル2。

1     有形便 1,(2),3,4,5
2     有形便 1,(2),3,4,5


前処理室での格闘は続く...。


ほぼ10〜15分毎にトイレに行く作業が続いた。とにかくキタぁーーーー時は速攻でトイレに行かないと漏れるくらい便は、見る見るウチにシャーシャー状態になってきました。知らず知らずにチェックリストは以下の如くになりました。

1     有形便 1,(2),3, 4, 5
2     有形便 1,(2),3, 4, 5
3     有形便 1, 2 ,3,(4),5
4     有形便 1, 2 ,3, 4,(5)
5     有形便 1, 2 ,3, 4,(5)
6     有形便 1, 2 ,3, 4,(5)
7     有形便 1, 2 ,3, 4,(5)
8     有形便 1, 2 ,3, 4,(5)


結局内視鏡入れるまで、合計8回トイレに行きすでに4回目でゴールに到達していたという優秀な結果であった。ちなみに私の向かいにいたバーさんのチェックリストが、見たくもないのに見えた。

1     (有形便) 1, 2 ,3, 4, 5
2     (有形便) 1, 2 ,3, 4, 5
3     (有形便) 1, 2 ,3, 4 ,5

           (以降不明)







なんで元気なウンチしかでないんだぁーーー!

個人差というものはあるんですなぁー、と痛感しました。オレと同じ量の下剤を飲んでるんだよ。がんばれ!バーさん!

12時ちょい前、看護師のにーちゃんがやってきた。

「(チェックリストを見て)どうですかね?いい感じですね。○○さん(←さっきのバーさん)はちょっと先生と相談して、浣腸を入れてだすようにしましょう!」

かわいそうに。バーさん、浣腸だと!

「では、あと1時間くらいしたら検査を始めたいと思います。検査の順番は先生と相談して決めさせてもらいます。検査のときは別室の検査着に着替えて...グタグタ」

看護師のにーちゃんは、検査までの準備事項を説明して、カラになったマクコロールとチェックリストを回収して前処理室を去っていった。あー、あと1時間もあるなぁ。

PM1時

前処理室に5人が集合してイスに座って、皆黙って部屋に備え付けのテレビを見ていた。そろそろ生まれて初めての内視鏡検査を受ける。多少緊張してきた。胃カメラは一度飲んだことがあるが、やっぱ入れる前はリングに上がるボクサーの如く緊張するもんだぜ!

看護師のにーちゃんが来た!

「では、内視鏡検査をしますねー。検査の順番なんですけども、こちらのほうで先生と相談して決めさせてもらいました。では始めは、







ふなきさん!







いきなりキタぁぁぁーーーーーー!



うれしんだか、悲しいんだかわからないがまあいいや。

どうせケツの中覗かれるんだから、とっととやってもらおう。一番指名を受けたふなきさんは、検査着に着替えるために隣の部屋へと移動した。

4畳半程度の部屋の一角で、カーテンを仕切ってロッカーから検査着にゴソゴソと着替え始めた。スッポンポンになってハーフパンツっぽい下着と服を一枚着る。下着はなんとケツの部分だけ20cmくらい開いていた。これは一度「世界の仰天映像」かなんかで見た







中国のガキのズボンじゃねーかー!

逆に履くと男子としては、おしっこしやすいパンツだ!などどくだらないことを考えながら、着替え終了。検査室へ移動し、イスに腰掛待っていた。検査室というのはオペ室みたいかねーと思っていたが、どうってことはない。普通の内科、外科みたいな検査室だった。

腰掛けて数分後、さっきの看護師のにーちゃんがやってきて

看護師「これから腸の動きを抑える薬を注射をしますからねー。」

いきなり左肩に注射を1本を打たれた。

看護師「ふなきさんは内視鏡検査は始めてですかー?」

ふなきさん「はい。胃カメラはやったことがあるんですけど...」

看護師「そうですね。胃カメラよりは見るところが曲がりくねっているので
多少キツイみたいですねー」





恐怖心助長してどーすんだぁー!


奥の検査室から「ふなきさーん!」と声がかかった。さぁーーー行くべ!奥のほうへ行ったら担当の先生がおりました。マスクとメガネをして顔はよくわからなかったが、小柄な身長と顔の輪郭からするとアクセルホッパーMr.オクレか?(とりあえずホッパー先生とします)。

ホッパー先生「じゃ横になっていてください。」

あわれ。ケツに穴の空いた検査着のケツの部分が先生の方向を向いた。
おれの足の部分にはキャノン製のモニターとたいそう高そうな検査装置、そしてカメラ。直径1cmくらいか?先端が光源できらきらしている。





カッコいい

これを頭に付けて赤城山でカブトムシ採りにいったら便利だろーなーと、またくだらないことを考えていた。でもカメラの太さ1cmもあるのか?これがケツに入ってくんのかぁ。どーなるんだろー?と多少の不安があったがもうまな板の上の魚。やるしかない。
どうせやるならば
しっかりと見ておかないと!ということでホッパー先生に注文した。

ふなきさん「先生、(モニターを指さして)これで見るんですか?」

ホッパー先生「はい、そうです。」

ふなきさん「オレもよく見たいんで、モニターをもうちょっとこっちに向けてもらえませんか?」

ホッパー先生「
いいですよー

ホッパー先生は快くモニターを多少私の方に見えるように変えてくれた。これで検査中、問題なく自分の腹の中が見れる!

若い助手が一人やってきた。いよいよ検査開始!

ホッパー先生「じゃ、身体を横にして膝を抱えるような格好になってください。」

あわれ。オレのケツはディフェンスのない無防備状態になった。

ホッパー先生「じゃ、痛み止めを塗りますからねー」

次の瞬間、先生の指がケツの中に速攻で入っていた!そして指でぐりぐりされた。哀れ肛門様。先生の秒殺に撃沈!薬ぬられたかどうかは知るよしもなし。とにかく先生の指で









ケツが犯された..。

薬を塗られて約1分後

ホッパー先生「
じゃこれからカメラ入れますからねー!

あー来ちまった。もうじたばたしてもしょうがない。運命を受け入れて、モニターカメラでも見てよう。ホッパー先生がケーブル状のカメラを持った瞬間、モニター画像がバタバタ動き始めた。知らないうちにモニターが黒くなって、その瞬間
ケツに異物が入ってくるのを感じた






ああっ!

次の瞬間、カメラがズブズブと入っていくのを感じた。特に痛みがなかったのが不思議であった。すでに20cmくらいは入ったか?
モニターは黒いトンネルを抜け、ピンク色のベトベトした洞窟を映し出していた。




これがオレの腹の中かぁ?これは絶対





ホルモンだな!

まさにピンク色ホルモンの長ーーーーいトンネルがモニターに映されていた。痛みは特になし。それよりも右手でカメラのケーブルを突っ込みながら左手でコントローラを操作する先生の左手が気になった。

プレイステーション2のコントローラーなんか比べ物にならないくらい、複雑な操作ができそうな黒いコントローラーであった。はっきり言って





かっこいい!

体育会系バカ親父は、ケツにカメラぶっこまれるながら、この世で初めて見た複雑なコントローラの外形に惚れていた。カメラは順調に腹の中を進んで行った。進んでも進んでも
ホルモン!

モニターを見ていたら、先がツカエタと思った。そしたら大腸の急なカーブに差し掛かっていた。大腸って結構Rのきつい急カーブがあるみたいだ。ホッパー先生が苦戦している。



ホッパー先生「ちょっと
仰向けになって、足を組んでもらえますか?」

あ?え?ケツにカメラ突っ込んだまま、仰向けになれってか?それで足を組むと...。ほう!足を組んだほうのケツが浮いて、先生がそこからカメラを操作できるではないか?

しかし、この体勢きついなぁ。

ホッパー先生は助手に

ホッパー先生「ちょっと抑えてくれないかなぁ」

と頼んだ。助手のにーちゃんは、私の腹をグッと押し込んだ。何というか、デブったおばはんが痩せるために腹の脂肪をもむようなあんな感じ。モニターにはホルモンの壁が見える。カメラの進むべき道が見えない。

助手の手に力が入る。モニターではカメラがどっかへ進もうともがいている。腹の中と外からなんともいえぬ圧迫感と痛み。苦しい...。これがきっと







陣痛だぁーーーーー!

と女子の陣痛の痛みを擬似体験した。本当に陣痛に近いかは、さっき浣腸されたバーさんに聞くしかない。

ホッパー先生「んんーーー、ちょっと水を入れてみましょう。」

モニターを見ていたら映像全体が水の中にドボーンと飛び込んだようになった。

ホッパー先生「んんーなかなか入りずらいですねーー。息を大きく吸ってください!」

言われるがまま大きく吸い込む。吸い込みMAX時点で、カメラがグリグリ動いて、腹を圧迫し苦しい。

ホッパー先生「じゃまた横になって膝を抱えてください。」

また、横向きかい?ホッパー先生、カメラを前進させるのにえらい苦労している。この時点で思った。









もしかしてこの先生






下手なんじゃねーか?


予感は的中していた...。



何で35分もたったのにまだ、カメラのコントローラをゴソゴソやって、もがいているんだぁー?

助手「ふなきさんは普段は便秘気味ですか?」

よくわからん質問だった...。

ふなきさん「(便秘は)大丈夫ですよ!うちのかみさんは便秘気味だけど。」







かみさんがいいように話のネタに使われていた...。

検査のしおりには約20〜30分程度で終了すると書いていたが、現在35分経過。ホッパー先生、なにやらまだカメラのコントローラを持って奮闘している。






こいつ絶対下手だぁー!

もう終わってもいいころなのに、全然カメラが奥に進まねーじゃねーかぁ!こーゆーとき患者が一部始終を見ていると先生もやりずらいだろうねー。40分経過しようとしたとき、ホッパー先生の助け船がやってきた。狸みたいな顔の先生。名前見たら「部長」と書いていたので







狸部長だぁーーーー!

狸部長は、ホッパー先生と一言二言会話してからコントローラーを受け取り、カメラを操作し始めた。モニターをじっと見ていたが明らかに違う。ホルモンの洞窟をカメラがスイスイ進んでいく。行き止まりみたいなところに出くわしても、カメラをくりくりやっているうちにまたスイスイ進んでいく。







上手い!

狸部長。さすがに部長先生だ。ということは、オレはいままでホッパー先生の








練習台にされていたのだぁーーーー!

狸部長に代わってから5分も満たないうちに

狸部長「ここが大腸の一番奥ですね。」

凄い!もう一番奥まできてしまった。さすが!それにしてもホッパーのヤツ、35分もかけやがって...。で一番奥にきたので無事終了か?と思った瞬間

狸部長「あ、これ
ポリープですね。」

なぬ?モニターをじっくり見てみると、たしかにホルモンの一部にイボができていた。ああぁーーー。ポリープがあったかぁ!

「異常なしでしたねー」でめでたく終わるシナリオがもろくも崩れてしまった。最後のあがきで質問してみた。

ふなきさん「それ、切らないとダメなんですか?」

狸部長「ん?
残しておいてもいいよー!でも、いやだろ?

鬼だ!この狸。患者を平気で脅しているし。チッキショー。そんな会話をしながらも狸部長は間髪入れず、ポリープを焼き切る準備をしている模様。痛ぇだろうなぁー。覚悟した。見つかったものは残しておいてもしょうがないので、痛みを我慢してここは一つ焼ききってもらおう。

ポリープ周囲が青いジェル状のもので囲まれた。ポリー部の部分だけが露出しているような形になった。オレの腹にはなにやら心肺蘇生時に使う電気ショックのような電極がくっついた。いよいよ物々しくなってきた。多少の恐怖におびえつつモニターでおこる決定的瞬間をまばたきしないで見守っていた。

カメラの先端から(ロデオの投げ縄みたいな)ワッカがでてきた。そのワッカの中にポリープを入れて、ポリープの根元を締め上げた瞬間






ぽろん!

まさに1瞬。ポリープはコロコロと転げ落ち、モニターの外へ。あっけない最後。不思議なことに痛みは全くなかった!狸部長はさらにカメラのコントロールを続けた。モニターには金属のアームのようなものが、切り取った患部に近ずいていく映像を写していた。と思ったら次の瞬間




ガシャ!

と音が鳴るが如く、ポリープが切り取られた患部をホッチキスのような金属で見事に接合した。さすが狸部長。部長だけのことはある。もし、ホッパーがやっていたら...。

カメラは今までの映像を逆早送りするが如く、移動し始めた。

狸部長「あった!」

狸部長はさっき焼ききったポリープを発見し、それをロボットアーム(←正確に何て言うのかわからん!)でつかんだ。モニター見ながら思ったよ。この先生、






スペースシャトルに乗れるわ。

カメラは撤収し始めた。するするとケツからカメラが出てくる。モニターの逆早送り映像が進むにつれて、腹の圧迫感がどんどん薄れてきた。モニターが真っ黒になった。そろそろカメラが全部でる瞬間が来た。

狸部長「せーの!よいしょ...  あぁ!」

狸部長が叫んだ!

つかんでいたポリープをどっかに落っことしたらしい。









落とすんじゃねーーー!

ガンだったらどーすんだよー!

狸部長「あれー?どこだ...あったあった!」

ポリープは無事に身体の外にでていた。見たところ直径7mm程度のポリープだった。終了した。約50分のカメラ挿入時間であった。約1/4を狸部長がやって、3/4をホッパー先生がやってくれたことになる。最初から狸部長がやってくれてたらなぁーーー。
と思っても後の祭り。まあ、無事に終わったから良しとしよう。狸部長は忙しそうに、他の患者のところに行った。

ホッパー先生はパソコンに取り込んだカメラの映像を見せながらいろいろ説明し始めた。

「これからポリープが良性か、悪性かを判定する検査をいたします。検査結果がでるのが約1週間後になります。来週の月曜日か、
火曜日かにまた来院してください。この後1週間は、食事の種類に注意してください。激しい運動も控えてください...(ぐだぐだ)」

ぐだぐだ偉そうに説明しているが、








てめえがポリープ取ったわけじゃねーだろー!

とにかく内視鏡室を後にした。清算。料金
10600円。








10000円しか持ってこなかったぁーーー!

後払い即、決定!



ポリープを無事に取ったが、これが良性なのか?悪性なのか?の審判の日までにはあと2週間ある。それまではそれなりに安静にしていなければならない。

しかしながら昨日の夜から何も食べず、しかも今日は下剤ばっか飲んでたのでとにかく






腹がへった!





なんかたらふく食いたい!


食欲が脳みその90%以上を完全に支配していた。






ラーメン食いたい!




辛いラーメンが!


しかし、さっき先生からもらったポリープ切除後の注意事項を記載した紙に目を通したら

切除後1週間は硬い食べ物をとらないこと

可  おかゆ、うどん、豆腐...

不可 肉、ラーメン、せんべい...






ラーメン食えねぇじゃねーかぁ!


たらふく食うことだけが切除したその日の唯一の楽しみだったのに...。家に帰ってかみさんの作ったうどんを食べる。わびしい...。

胃の中に空しい風が吹いていた..。

(これ以降、うどんばっかりの生活が続く)


切除後3日目の食事。
白メシがでてきた。おかずに魚もあるじゃないかぁ。

ふなきさん「おい、(切除してから)3日後でメシ食っていいのか?魚も?」

かみさん「大丈夫。おとうさんはそれくらいでもう食べてるから!」

かみさんの親父さんは、もう大腸ポリープを何十個も取っている猛者なので、かみさんにはある程度のノウハウがあった。ありがたく白メシを食う。



うめぇ。



ついでに少し
ビールも飲む!




ああ〜〜死んでもいい〜〜!


翌日(切除後4日目)、どうしても身体を動かしたくなってきた。しかし、やはり注意事項を記載した紙には

切除後1週間は激しい運動は控えること。

と堂々と書かれていた。激しい運動かぁ。そらぁラグビーとかプロレスとははだめだろうなぁ!





走るくらいなら大丈夫だろう!

と勝手に解釈し、自宅からぐんまアリーナまでの12kmのロードワークを強行する。




完走!




激しい運動じゃないかぁー!




切除後1週間後、そして普通の生活が戻ってきた...

ポリープ切除から2週間後、検査結果が出る日。会社を午前半休とって病院に行く。「ふなきさーん!」今日は比較的早く呼ばれて診察室へ。

先生「えー切除したポリープを検査したところ、特に異常はなく良性ということでした。」

この一言を待っていたぁー!ポリープ騒動は無事に終了した。多分問題ないとは思っていた。しかしながら、オレの腹の中にポリープが出始めたということはまぎれもない事実なので、今後注意していきたいと思う。注意するといっても、普通の生活をするしかないのだが...。まあ、酒の量くらいは考えて飲んでいきましょうかね。(←絶対無理に決まっている!)

先生「経過をまた確認する意味でも、半年後くらいにまた検査したほうがいいと思いますので、その際はまた御相談ください。」





誰が検査なんか受けるかぁーーー!




ホッパー先生の実験台なんかになるもんかぁー!



大腸ポリープとの闘いは、ふなきさんの大腸パイルドライバーで遺恨試合に終止符を打った。









いくぞー!
1、2,3 ダー!




ふなきさんの死闘はまだまだ続く。

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