死闘7 静かなる敵!耳鳴りとの闘い!







2008年の春の朝の風景である。ふだんならすずめがピーチクパーチク鳴いているのどかな風景であるでしょう。

一般の方々には!

しかし、いつのまにかふなきさんの耳には






ニィ----------------------------

という
秋の虫の鳴き声が聞こえるようになっていた。どこから聞こえるということではなく、360度、両耳に常に聞こえている。

朝も昼も晩も。当然寝るときも。はじめはそんなに気にはならなかったが、2008年の春ころから妙にその音が気になり初めていた。知らず知らずにその





ニィ----------------------------


の音量は少しずつ少しずつ牛歩戦術が如く、ふなきさんの頭の中で上昇していったのであった。5月の中旬、会社に出社。
朝はみなさんメールを無言で見ているので、事務所内は非常に
静かである。しかしこの静かさが







苦痛なのだぁー!

静かであれば静かであるほど





ニィ----------------------------


の音が気になる!



パソコンを見てても”ニィ------------------------------------”の音が気になり、物事に集中できなくなっていた。仕事の効率が約40%ダウン。何をしていても音が気になる!歩いていても、トイレに行っても。このままでは仕事にならないので、実験室に移動した。実験室には測定器がいっぱいあり、常に”ゴォ---------!”という大きい音を立てている。


普段ならうるさいこの部屋が、非常に安らぐ。”
ニィ------------------------------------”の音が測定器の音にまぎれて気にならなくなるから。

そして休憩するときは自動販売機のすぐ横で休憩した。自動販売機の発する”グィ---------ン!”という音が虫の音を掻き消してくれるから。しかし、事務所に移動するとまた





ニィ----------------------------


の音が気になりはじめた。気になってどうしようものか?インターネットで調査した。

検査したキーワードは










耳鳴り

2008年春、耳鳴りとの死闘はこうして始まった!


2008年5月中旬

月曜日。いつもなら事務所で長々とパソコン作業をしているものだが、今日に限っては耳鳴りが気になり、朝から午後まで実験室の測定装置の発する音で耳鳴りを紛らわしながら仕事をしていた。あきらかに業務効率が落ちていた。

ネットで調べたたところ、他人には聞こえない自覚性の耳鳴りで原因はいろいろあるがストレスが関係しているのでは?というのが大半を占める。しかし一部には、
脳卒中の前兆として耳鳴りが生じることもあるという。

歳も歳だし、片頭痛も月に2回はコンスタントに発生している状況だから、もしかして脳に異常があるのでは?と一抹の不安が残った。









だめだ!今日は仕事に全然集中できない!

その日はフレックスで帰宅し、寝込んだ。

寝込んだが今度は更に耳鳴りが気になる!周囲が余計に静かになるから。

グワァーーー!気が狂う!




寝れん!




耳鳴りが気になって寝れん!


この状態で寝るにはあの手しかない!









アルコール大作戦!


冷蔵庫からビールを持ち出して飲み始めた。1缶、2缶、3缶。ついでに焼酎ものんじゃえー!いつもの週末の晩酌が月曜の夕方から始まっていた。酔いも手伝ってその日はようやく熟睡できた。







翌日起床.........耳鳴りはやんでない...。寝ただけでは直らなかった。とにかく今日は会社を休んで耳鼻科に行こう。会社に連絡して有給休暇をとり、開業医にでかけた。

開業医には2人ほど患者さんがいたが、待ち時間もほとんどなく先生によばれた。先生はなかなか明るい先生だった。

ふなきさん「あのぁー、ここ最近耳鳴りがひどくて気になってしょうがないんですけどぉー...」

開業医の明るい先生「いつころからですかねぇー?」

ふなきさん「ここ1ヶ月あたりから何かきになってたんですが、昨日は気になりすぎて仕事が手につかなかったんですよー」

開業医の明るい先生「どーゆー音ですか?虫の鳴くような
キーンという音ですか?」

ふなきさん「そーです。
キーンとかニィ−−−とか」

開業医の明るい先生「ではちょっと見せてください。」

先生は耳の中を検査器具で除いた。

開業医の明るい先生「左耳に
大きなアカがありますねー。取れた!」

あらら。日ごろから綿棒で掃除しているはずなのに、耳の奥にアカがあったとは...全然気が付かなかった。もしかして
これが原因で耳鳴りになったのでは?と浅はかな期待をしたが、ニィーーーの音は頭の中で鳴り続けていた。

開業医の明るい先生「見た目には特に異常はありませんねー。とりあえず聴力を検査してみましょう!」

聴力検査室につれていかれた。つまり無音室。無音になったら余計に
ニィーーーの音が気になる!看護婦さんは測定装置に座り、装置をセットアップしはじめた。お決まりのヘッドフォンをしてスイッチを握らされ

看護婦「これから音を流しますから、聞こえたらスイッチを押してください。」

聴力測定開始

ピーピーピーピー(ボタンを押す)

ピーピーピーピー(ボタンを押す)

ピーピーピーピー(ボタンを押す)

の繰り返しだが、看護婦さんの装置をガチャガチャいじる音で








多分この人音を出しているんだー!

先読みをしてしまう!こらぁー聴力検査だからなぁー。先読みなんてしちゃいけないよなぁー。無音室で妙に悩み始めた。
悩みながらも両耳の検査終了。先読みも多少入っているからそんなに悪い結果ではないだろう(←それはやっぱ検査ではないと思う)

看護婦「次に鼓膜の圧力を測りますね」

なんだそりゃ?看護婦さんは拳銃のようなものを耳の中に入れた。






ボッ!

デカイ音で空気が耳の中に一瞬送り込まれた。エアガンですかね。検査も終了し先生の元へ再び戻る。

開業医の明るい先生「ふなきさん、聴力は多少高音域が落ちていますが、これは年齢と共に落ちてくるので問題ないでしょう。
   内耳、中耳、外耳とも問題ないと思いますよ。
気にしないことが一番ですね!

ふなきさん「とは言っても(耳鳴りが)
気になるんですけど...

開業医の明るい先生「まれに脳に障害がある場合も耳鳴りが発生することがありますが...問題ないと思いますがね。どうします?」

ふなきさん「この際、徹底的に検査してもらいたいんですが...」

開業医の明るい先生「それでは大きい病院の紹介状を作成しますので、そちらのほうで精密検査を受けてみてください。」

開業医の明るい先生からは”気にしないこと”との御指示を頂いた。

無理です...この音。




翌日、総合病院の耳鼻科で精密検査を受けることにした。さすがに総合病院。待合で待たされる時間も長く40分くらい待ったか?"ふなきさーん"と看護士から声がかかった。3つの診察室のうち診察室1の中に入った。

先生は女性。
エドはるみがマスクしたような先生だった。とりあえず今までの経緯を説明した。

エド先生「耳鳴りはね、気にしないことが一番ですがまれに脳に疾患があった場合も耳鳴りがすることがあります。どうしますか?ひととおり検査しますか?」

ふなきさん「そのつもりできたので、徹底的にお願いします。」

エド先生「わかりました。では聴力の検査から始めますか。」

看護士に付き添って聴力検査室へ。またヘッドフォンして、ピーピーの音と格闘する。









あーまた先読みしてしまったぁ...

聴力検査の結果は開業医で検査してもらった結果と同じ。高域で多少聴力が落ちていますが、特に問題はないレベル。その日は飲み薬をもらって自宅に帰った。もらった薬は”アデホスコーワ顆粒”と”メチコバール     ”
と精神安定剤の”メイラックス”。眠れないときにはこの精神安定剤が効果的みたいだ。しかし、オレも落ちたもんだ。
精神安定剤のやっかいになるとは...

家に帰ってじっとしてても”
ニィー”という耳鳴り音が気になるばかりなので、テレビをつけて気を紛らせた。
お笑い番組が一番効果的であった。気晴らしに外にでた。ここで”
ニィーーーーー”っという音が全然気にならない快適な場所を発見した。それは






パチンコ屋

普段ギャンブルなどあまりしないふなきさんであったが、この日だけは近所にあるパチンコ屋にふらぁ〜〜っと入ってしまった。エヴァンゲリオン、仮面ライダー、ガッチャマン、ウルトラマン、そして大人気の冬のソナタと海物語。平日だけあって満員御礼ではなかったが、まあ6割くらいの入りであった。

台などはどうでもよかった。このパチンコ屋のうるさい音は完全に耳鳴りの音をかき消してくれた。パチンコ屋はふなきさんを救ってくれた。








パチンコは地球を救う!

気がまぎれた!実は耳鳴っているのだが、完全に開放された!ひさびさに気持ちハイになった。ついでに空いていた台に座った。座った台は1円パチンコの






CR 倖田くみ

とりあえず隣にタバコを吸うヤツもいない台だったのでここに決めた。1000円入れてスタートした。

数字がグルグル回る。グルグル回る。そのグルグル回る数字に神経を集中し、パチンコ屋の騒音を聞くことによって耳鳴りの音を全然認識することはなかった。

そんな中まれに”リーチ!”がかかる。多少ドキドキするがスカ!やはりそんなには甘くはない。もう帰ろうか?と思ったとき、やたらと台のライトがビカビカ光り、液晶の表示が明らかに普通と違う表示がでてきた。これは何かある!と思ったら”3”のリーチ!が来た。

派手な表示で”3”の数字と”2”数字が液晶の中で喧嘩している。で...







333






フィーバー!


おー!やった!









パチンコ屋は地球を救う!

玉がバリバリでてきた。耳鳴りを紛らすために入ったパチンコ屋でフィーバーしてしまった。表示される倖田くみのプロモーションビデオを見ながら、ドンドン玉をだしてゆく。フィーバーはその後も続き、なるがままやっていたら結局7連チャン。その後も3連チャンし合計10連チャン。

350mlのビールを2箱購入し残りは全部カードにストックした。(←店員さんに勧められカードを作った。)



耳鳴りは倖田くみによって一掃された!





一時的ではあるが。

この日以来、ふなきさんは耳鳴り対策のためパチンコ屋に入る機会がやたらと多くなった。



翌日、MRI検査。いままでも片頭痛のときにMRIで脳の輪切り写真を撮ってもらった。そのときは問題なし。それをとったのが約1年前。今日とっても多分結果は同じだろうとは思ったが、一抹の不安があったので再度MRI検査に挑戦した。

検査装置に横になり頭が動かないように固定する。あとはMRIの発するうるさい音と約20〜30分格闘するだけ。





ガッガッガッガッ





ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ


うるさい...。しかし、そこは頭が動かないようにじっとがまん。目は開けることができなかったのでMRIのうるさい音だけを聞くしかなかった。しかしそのうち






寝てしまった...







大音量の中、寝るんじゃねー!


検査員に起こされ、検査結果がでるまで耳鼻科の待合で待っていた。やっぱり1時間くらいは待たされたであろうか?”ふなきさーん”と声がかかり再びエドはるみ先生とご対面。エド先生は輪切りになった脳みそ写真を見て

エド先生「んー、MRIの結果を見る限り脳の耳の機能をつかさどる視野には特に異常は認められませんね。」

とりあえずよかった。耳鳴りは脳の異常ではなかった。

エド先生「やはり耳鳴りは
気にしないこと
です。気持ちを切り替えることが大切です。」

エド先生に冷たくあしらわれた。結局は”気にしないこと!”ですか?なんか精神論的になってきました。

ふなきさん「とは言ってもなんとかなりませんかねー?」

気にしないこと!とは言われても気になるものは気になる!必死に食い下がる。

エド先生「あと、
ブロック注射と言って耳の鼓膜にステロイド剤が注入する方法があります。そうすると耳の血行がよくなり耳鳴りが低減されることがありますがどうします?やってみますか?」

エド先生は、耳鳴りが”直る”とは名言しなかった。しかし”低減”する効果は、そのブロック注射と言うヤツにはあるらしい。







ふなきさん「
やります!

速攻で返答した。
この24時間鳴り続ける耳鳴りが少しでも低減できるのであれば、何でも挑戦したる!ブロック注射なるもので耳鳴りを低減し








普通の生活を取り戻すのだぁー!

しかし、この安易な考えがとんでもない悲劇となることをこの時点でふなきさんは知る余地もなかった...。



エド先生「じゃブロック注射準備!」

エド先生は宇宙戦艦ヤマト艦長の如く看護士に即座に命令。何かブロック注射するのがうれしいような感じにも思えた。

エド先生「注射は両耳同時にはできませんから、今日はどちらか片方にしますね。どっちがいいですか?」

どっちと言われても、耳鳴りは両耳で均等に鳴っているので優劣は付かなかった。

ふなきさん「じゃ左で...」

エド先生「じゃ今日は左耳にしますね。次回は右耳にしましょう。」

看護士1本の棒のようなものを持ってきた。棒の先には脱脂綿のようなものがついていた。エド先生はこれを手にもって

エド先生「これから注射の前に
麻酔をしますからちょっと我慢してくださいね!」

なんだ。麻酔か。まあ、麻酔さえすればどんな注射も痛みは感じないからガンガンやってもらおう!

エド先生「じゃ麻酔しますからねー、首を横にしてください。」

言われるがままに左耳が上になるように首を横にした。エド先生は手に持った棒の先端を左耳の奥にぶち込んだ!









ゴゴォ

さすがに耳の中で行われるだけあって音量は低音MAXで、凄い音がした。しかし...










い、いでぇ!

痛い!麻酔とはいえ痛かった...。予期せぬ痛み。別に注射ではない。麻酔薬を脱脂綿につけて耳の奥にぬっただけだ。
しかし、耳の奥なるものはデリケートな部分。その部分を脱脂綿でひと拭きされたもんだからたまったもんじゃない!

エド先生「麻酔が効くまで外の待合で5分くらい待っててください。」

ふなきさんは首を横にしながら外来待合室の長いすに座った。痛かった...。この人生の中の麻酔の行為で、一番痛かった麻酔ベスト3にランクインした(ちなみに1位は痔のときの麻酔注射です)。




いでぇ...

待合で麻酔がたれないように首をかしげて痛みをこらえるアホ親父の姿がそこにはあった。でもまあこれでブロック注射なるものは、全然OKとなるであろう。麻酔をしたから痛くはないはずだ。

待合で待つこと約5分、再び「ふなきさーん」とお声がかかる。きたどー!ブロック注射の時間。
診察室に入り、先生の前に座った。

エド先生「じゃ注射しますからねー」

エド先生は看護婦から細長い注射を手にとって、ふなきさんの横にたった。麻酔をぬった耳を覗き込み、注射を耳の中奥深く入れる。









何か入ってくる...と思った瞬間






















ボッ!”っとボリュームMAX
の音が聞こえた次の瞬間














いでぇー!







麻酔が効いてないじゃないかぁー!


目に涙が浮かび始めた。注射を打たれた耳は、プールで水が耳に入った状態になった。聞こえずらい。

エド先生「はい!終わりましたよ。向こうで少し休んでいてください。」










こっちはやたら痛い思いしているのに










やけにサバサバしてるじゃねーかぁ!

看護士に奥のベットに連れて行かれ、注射を打たれて耳を上に向けて寝るようにいわれた。ベットに横たわり必死になって注射の痛みをこらえていた。いでぇ...。麻酔は名前だけであり、気休め程度のものと判った。目にいっぱいたまった涙はボロボロとほほをつたって落ちた。











いでぇ...いでぇーよー。かーさん...

ひさびさに秋田の”かーさん”(つまりおふくろ)に助けを求めた。痛かった...。10分くらい休んで来週もくるようにと言われ、病院を後にした。

来週は逆の耳が注射を打たれる日なのだ...。それまで憂鬱な1週間をすごさなければならない...。ふなきさんはウサ晴らしにそのままパチンコ屋に突入した。










負けた...。

その日は完全に凹んだ1日だった...。



ブロック注射から1週間後

あれから1週間後、いよいよ反対の耳にブロック注射をする日がやってきた...。あー、またあの痛ったい麻酔と痛ったい注射を受けなければならない。朝起きたときから憂鬱であった。会社は有給休暇。1日分の給料があの注射1本分と思うと、高いのか?はたまた安いのか?

とりあえず朝飯食って、バイクで病院に向かう。平日なので土日の混雑にくらべればそんなに混んではいない。受付を終えて待合で待っていたが、次第に迫るあのブロック注射の恐怖にいい歳こいた親父は完全にビビッていた。

診察が始まった4人目くらいであろうか?

看護士「ふなきさーん!」





あーー...オレの名前が呼ばれてしまったぁ............





いやだぁ...............怖いよう............






まるで小学生低学年以下のガキじゃねーかぁ!


おそるおそる診察室に入り、エド先生の前に座る。

エド先生「どーですか?具合は?」

ふなきさん「なんとも言えないです。よくわからんス。」

エド先生「そーですか。今日は反対側にブロック注射ですね。」

エド先生はいきなりブロック注射に話を持っていった。あー......あー......やっぱやるんだ...注射。
先生忘れてなかったのか(←忘れるか!)。エド先生はいきなりあの麻酔を取り出し、準備万端。

エド先生「じゃ、麻酔しますからねー」

エド先生、麻酔を手にとり首を傾けて上向きになったふなきさんの耳の奥底にブッコンだ!





















い、いい痛でぇーーー!

やっぱ反対側も痛ぇ...。一週間たっても痛ぇ…。このあとの注射は









もっと痛ぇ!

エド先生「じゃ、待合で待っていてください。」

首を傾けながら待合で待つことにした。痛い…耳がジンジンする。なんでこんな苦労をしなきゃならんのだ?それにしても痛いぃぃぃぃ...。待合で痛みと戦いながら、数分後には行われるであろうブロック注射の瞬間を待っていた。








約5分後...




そしてその瞬間はまたしてもやってきた。

「ふなきさーん!中へどうぞ!」

死刑を告げる看護師の声。中へ入る歩幅は明らかに通常より短かった。牛歩戦術のように歩んだが、診察室のカーテンはすぐ目前に迫っていた。診察室に入る...。

エド先生「はい、じゃ注射しましょう!」

こっちの恐怖をものともせずに、エド先生の行動はすばやい!注射を持って即ふなきさんの横へ。首を横に倒して、耳を上に向ける。

注射が耳の奥へと入っていくぅ〜〜〜





あー!





やられる!





いやだぁー!






ウゥゥ............ウゥ!













先週に引き続いての大音量!









いいいいいいいいいい、いでぇー!!!!!!






やっぱりいでぇ!


耳はまた注射液の影響で耳に水が入ったような状態になった。

エド先生「じゃ向こうで横になって休んでいてください」

看護士につれられて奥のベットで横になって寝た。

やっぱいでぇ...。今回もいでぇ...。毎度いでぇ...。かーさん...
2週連続でおふくろの名前を呼んでしまった。目からは大粒の涙がボロっと流れていた。横になって、目にいっぱい涙を浮かべながら天井を見ていた。
あーーー、いつまでこの治療を続けるのだろうか?とにかくブロック注射を受けるのがいやになった。数分たって、エド先生の前にまた行った。

エド先生「じゃ、また来週きてくださーい!」

また来週やるんかよー!


2週間に渡り両耳にブロック注射を1回ずつ実施した。症状はどうなったか?

耳鳴りは完全に治ってはいない。”
ニーーーー”という音はなりっぱなしです。
ブロック注射をする前に比べてみると多少は音量が減った...






感じがする!

多少は効果があるようだが、気のせいか?なんとも言えない。いろいろ耳鳴りの本を見たが精神面での気構えが重要だということを記載している本が非常に多かった。つまり、精神面の問題。







うまく耳鳴りと付き合うことが大事!

100%直るのは無理で、一生付き合っていく羽目になる模様だ。なので、この時点であきらめ気味の気持ちになっていた。


とりあえず、今週も病院にやってきた。待合で待つこと15分、”ふなきさーん!”とお声がかかった。

診察室に入るとエド先生が普段どおりに座っていた。

エド先生「どーですか?ふなきさん調子は?」

ふなきさん「そーですね。ちょっと良くなったような感じがします。」

エド先生「今日も
ブロック注射できますけどどうしますか?」

この瞬間、2週間にわけて行われたブロック注射の痛さが鮮明に思い出された!あの麻酔の痛さと注射の痛さをまたしても味あわなければならないのかぁ?と考えているうちに






ふなきさん「
もう、いいです...






根性ナシ-----!

とっとと白旗をあげてしまった。この時点で、耳鳴りさんと死ぬまで付き合うこととなった...。

エド先生「耳鳴りは気にし始めるとドンドン気になるので、まずは気にしないこと。紛らわすこと。
仕事中に気になるようならば、音楽を聴くとかして気を紛らわすような配慮をしてはいかがでしょうか?
薬をだしておきますので、それでも気になるようでしたらまた相談しにきてください。」

エド先生はありきたりだが、耳鳴りとの付き合い方について解説してくれた。家に帰って寝た。
一生付き合わなければならない耳鳴りを聞きながら...。







後日、出張で秋田に行くことになった。実家に泊まったときおふくろと会話した。

ふなきさん「耳鳴りするようになってヨ...。いっつも虫が鳴いてるんだヨ!」

おふくろ「あぃスカ、おめもが!」

ふなきさん「”
ニーーーーー!”って鳴いてるんだぁ」



おふくろ「おぃもだもの。気にすればもっとひでぇべ?」




ふなきさん「んだ!」






おふくろ「
気にせばダメだ!





そしておふくろから痛恨の一言をくらった。











歳くってけば、そーなってくらぁんだ!がまんへ!
(歳をとると、そーなってくるもんだ!かまんしな!)

がーん!おふくろも耳鳴りだったとは...。じゃ










遺伝じゃないかぁー!




そして今。耳鳴りはあいかわらず鳴り続いている。仕事中、気にしないようにはしているが、ヤケに気になる日、気になる時間がある。そのときはパソコンにセーブしておいたCDの効果音”波の音””川の音”を聴いて気を紛らわしながら仕事をしている。

気にし始めると耳障りな耳鳴りだが、とにかく気にしないように笑って、騒いで、しゃべって日常をすごしている。

歳をとってきたのもそうだが、仕事の面で責任を取らなければならない地位になり、精神的プレッシャーがこの耳鳴りを誘発したのかもしれない。小泉総理は”鈍感力の必要性”を語っていたが、今なんかその気持ちがよくわかる。








逆の発想で、おふくろにしか聞こえない”耳鳴り”が聞こえるようになった!つまり、ふなき家の一子相伝の特技を身に付けたというようにポジティブに考えて







耳鳴りさんと一生死ぬまで付き合って行こうと思う!



耳鳴りとの闘いは、





ドロー!









いくぞー!
1、2,3 ダー!



ふなきさんの死闘はまだまだ続く。

トップ

ライン