記憶の断片(1)
                                           written byジン
                                             
      
〜プロローグ〜 
                  

夢・・・夢を見ていた・・・。 
終わらない夢・・・いつまでも続く・・・
終わらない夢・・・。 
                         
何もなかった。そこにはただ恐怖。   
根本的な恐怖があった・・・。
もうだめだ・・・。何度もそう思った・・・。
しかし、終わらなかった・・・夢は終わらなかった・・・。 
いつまでも・・・終わらなかった・・・・・。


〜第一章 紫世界〜


ベッドから起き上がった。眩しい。人工的な明るさに目がくらんだ。白い天井が見えた。 
「つつ・・・っ」
誰かの声がする。「あぁ〜そうですねぇ今週のヒットチャートは・・・」業務的な声だった。      
昨夜ラジオをつけっぱなしにして寝てしまったのだろう。  
ラジオを消すため、俺はベッドの手摺から身を乗り出し、タイルの床を見た・・・はずだった。     
「うわっ!」
床が消えていた。さっきまで目がくらむどの明るさに包まれていた部屋が、闇に変わっていた。
あるのは自分とベッドだけ。何もない。何も見えなかった。
しかし、自分の姿は見えた。ぼやけるようにして、自分の腕が目に映った。 
「何なんだ、これは!?」そう思った瞬間、ベッドが消えた。
何もわからない。ありえない・・・わからない・・・。  ・・・!!混乱の中、確信する。
そうか。
「夢だ」 
確信すると同時に、誰かの腕に後ろから抱き留められる。
咄嗟にその腕を見た・・・ような気がした。 
青白い、か細い手だった。
目の前がシャッターが下ろされたように暗くなり、意識が飛んだ。
       
そ・・うだ・・・この夢が覚めれば・・・また・・学校に行って・・・友達とお喋りして・・・・。   

僕・・・は・・・。  
        
                                                 〜第2章へ〜