JOURNAL 2004.juillet.
〜東京幻想旅行記〜



☆2004年7月1日(木)晴れ☆

銀行にて決済、引渡し。鍵を受け取る。
夕方、内装店に勤務しているイトコのノリコに
来てもらい、一緒に部屋を見てもらって
内装の見積もりをしてもらう。
その後、母、ノリコとともにラジオキッチンに行き
生ビールを飲む。昼間暑かったので非常にうまい。
三つ年下のノリコとこんな感じで、つまり、親戚の集まり以外で
飲みに行ったのは初めてみたいな気がする。





☆2004年7月2日(金)晴れ☆

大学時代の旧友ふたりと銀座6丁目、
泰明通り近くの居酒屋で飲む。
泰明通りは本当に小さな裏通りで、
昔ながらの居酒屋、スナック、蕎麦屋、花屋などがある。
自転車を買って、3人でサイクリングをしようということで
話しがまとまる。最初は玉川上水を鷹の台から羽村まで。
秋頃かなあ・・・。楽しみだね、本当に。





☆2004年7月3日(土)晴れ☆

一日中、引越しの荷造り。引越し屋さんからもらった
ダンボールに本を詰めていた。重い荷物がたくさんできた。





☆2004年7月4日(日)晴れ☆

近所の床屋さんに行く。
国分寺に引っ越すことを告げた。
この街に来てから5年ほどずっと通っていた。
気さくでやさしい下町の床屋さん。
お世話になりました。
ありがとう。





☆2004年7月5日(月)晴れ☆

通勤の地下鉄の中で、ポータブルCDで
アドバンテージ・ルーシー
のアルバム“ファンファーレ”を聴く。
1曲目の“メトロ”というシンプルなロックに
疾走する地下鉄を感じて心地良かった。





☆2004年7月6日(火)晴れ☆

今月4日の東京渋谷でのワールドピースナウ・デモで
3名が逮捕されたという事を、あるサイトで知って驚いた。
この主催者のデモには以前、僕も参加したことがあるのだが、
のんびりとした雰囲気の、それこそ平和で静かで牧歌的なデモだった。
権力がそれに逆らう人々をどのように見ているのか
はっきりと分る今回の出来事だ。
この政権は国民にとって危険すぎる。





☆2004年7月7日(水)晴れ☆

久しぶりの友人と神保町の裏通りの居酒屋にて飲む。
下町の居酒屋探訪計画を練る。





☆2004年7月8日(木)晴れ☆

1974年にNHKで放送された、永島慎二原作、市川森一脚本のドラマ
『黄色い涙』のシナリオ本をネットの古本屋さんで購入。
1975年、22歳で自ら命を絶った保倉幸恵さんが
喫茶店ぽえむのウエイトレス役で出演している。
保倉幸恵さんという、当時の人気グラビアモデルについては
川本三郎氏もその著書『マイ・バッグ・ペイジス』で想い出を語っている。
川本氏は週刊朝日の記者時代に、
その表紙を飾っていた彼女と交流があったとのこと。
3年ほど前の暑い夏の日に、西武新宿線の富士見台駅前の古本屋さんで
保倉さんが表紙の週刊朝日が1冊100円で何冊も売っているのを
見かけて、内心興奮しつつ購入したことがあった。
僕はこの有名なドラマを観たことがない。
このドラマの存在を僕に教えてくれたのは
もう15年近く前、その頃つきあっていた女の子。
彼女が一番感動したドラマだと言って、そのストーリーを話してくれたっけ・・・。









☆2004年7月9日(金)晴れ☆

明日、引越し。準備完了。
さよなら、王子の街。

まだ、実感がわかない。
間違えて帰って来てしまいそうだ・・・。





☆2004年7月10日(土)晴れ/曇り☆

引越し。荷物を運送屋さんにまかせ、
僕は森田童子のCDと土方朋子さんの絵だけを
小脇に抱えて電車で新居へ。





☆2004年7月14日(水)晴れ☆

まだまだ部屋の中は片付かず。
しかし武蔵野の風は身体に合っているようだ。
気分、体調、共によし。





☆2004年7月17日(土)晴れ☆

このところ忙しく、なんとなく疲れてしまって
一日中家に籠もっていた。
夜、テレビの美術番組で
江戸初期の絵師・久隈守景の『夕顔棚納涼図屏風』
という絵を取り上げているのを観る。
茅葺屋根の粗末な家の軒先にしつらえてある
瓢箪(夕顔)棚のしたに寝そべって夕涼みを
している夫婦と幼子の図がなんとも長閑だ。
“幸福”というもののひとつの典型的な姿が
素朴な構図のなかに見事に描かれている。
幸福はどこか遠くにあるのではなく、
遠い未来や過去にあるのでもなく
デイズニーランドやハワイやブランド品や高級車に
あるのでもなく、すぐ目の前のこのひと時にあるのだ・・・
という幸福観。





☆2004年7月18日(日)晴れ☆

吉祥寺の居酒屋“菜や”にて友人と飲む。





☆2004年7月19日(月)晴れ☆

自宅付近を散歩。
途中、松本茶園に寄ってお茶を購入。
裏にひろがる茶畑の中の道を通り
東恋ヶ窪の住宅地を抜け、日立研究所の
裏側に出て、国分寺市街地へ。
古本屋でロープシンの『蒼ざめた馬』
(川崎浹訳/岩波同時代ライブラリー)の文庫本を
買い、ほんやら洞でアイスコーヒーを飲みながら
ぱらぱらとページをめくる。





☆2004年7月21日(水)晴れ☆

夜の三鷹駅構内のスターバックスにて
『ノンちゃん雲に乗る』(石井桃子/福音館)読了。
舞台となっている
「・・・東京府のずっとずっと片すみにあたる菖蒲町という小さい町」
「東京都の中心を去ること二十七、八キロ、・・・」
というのはどこのことなのだろう・・・・・。
川本三郎氏はその著『郊外の文学誌』(新潮社)の
なかで、この作品を「失われた郊外生活への賛歌」と評している。

帰宅するとネットで注文しておいた
『私説・日本映画の60年代 68年の女を探して』(阿部嘉昭/論創社)
が届いていた。





☆2004年7月22日(木)晴れ☆

ラヂオキッチンにて夕食。
夏野菜のカレーと奄美産のラム酒。
マサラ・チャイ。どれも非常に美味しい。
他にも気になる新メニューや信州の地酒などがあった。
次回のお楽しみだ。

散歩の達人8月号を購入。
向島・曳舟・押上特集。
読み応えのある力作だ。
いままでで最高の出来ではないだろうか。

帰宅すると第5回美人塔の案内状が届いていた。





☆2004年7月24日(土)晴れ☆

下北沢BIGMOUTHにて黒葛原りつワンマンライブ。
とても楽しい、リラックスしたステージだった。





☆2004年7月25日(日)晴れ☆

大学時代の恩師N先生と電話でお話しをした。
卒業以来、手紙でのやりとりしかなかった先生と
直接言葉を交わしたのは実に20年振りの出来事だ・・・。





☆2004年7月26日(月)晴れ☆

朝、出勤時に鷹の台駅のホームから大きな虹を見た。
仕事帰りにほんやら洞にてチキンカレーの深夜の食事。





☆2004年7月27日(火)晴れ☆

夕方、鷹の台駅前の松明堂書店にて
反戦絵本『戦争のつくりかた』(マガジンハウス)を購入。

なんとはなしに忙しく、なんとはなしに疲れた一日だった。





☆2004年7月30日(金)晴れ☆

ネットで注文していたRCサクセションのアルバム
“BLUE”(1981年発表)が届く。
国立市に実在の坂道を歌った、
“多摩蘭坂”という有名な、そして美しい作品が収録されている。





☆2004年7月31日(土)晴れ☆

夕方、国立の大学通りを散歩。
谷保かけこみ亭にてビールを一杯飲む。
街では浴衣姿の娘さんたちが目に付いた。
立川の昭和記念公園で花火大会とのこと。
帰りの電車を待つ間、国立駅ホームから
しばし遠い花火を眺めていた。