永泉さんの受難

 

数日後…

 

「永泉…」

泰明に突然声を掛けられて、永泉はびっくりして振り向いた。

「や…泰明殿!?」

その存在を認めて、永泉は安心したようにホッと息を吐くと

「この前は本当にようございましたね。」

そう微笑みながら言ったのだが…

「ああ」

答えた泰明の声はなぜかものすごく不機嫌そうに思えた。

「あの…泰明殿?」

永泉はおずおずと声を掛けた。

「見ていた…」

「え? 何をです??」

「問答無用! 急々如律令…」

「えっ? えっ? 泰明殿?」

「ハーーーーーッ!!!!!」

逃げる間も与えず、永泉を雷のような衝撃が貫いた。

「ギャーーーーーッ!」

永泉の悲鳴が辺り一帯に轟いた。

「や…泰明…殿…どうして…」(バタッ)

「どんな理由があるにせよ、私のあかねに触れることは許さぬ。」

泰明はそれだけ言うと踵を返して、スタスタと歩いて行ってしまった…

 

それを薄れ行く意識の中で聞いていた永泉は

「あ…あれは、神子から…ああ、そう言ってもあなたには通じないのですね…」

そう涙を流しながら言ったのが、泰明の耳には当然届くはずはなかった…

 

そして、半日ほど経って、やっと何とか瀕死の状態ながらも意識を取り戻した永泉は「もう絶対あの夫婦にかかわるのは止めよう」と数珠を握りしめながら、固く決心したのでありましたとさ。

 

ちょんちょん

 

Rui Kannagi『銀の月』
http://www5d.biglobe.ne.jp/~gintuki/

 

[あとがき]

ああ、昨年の泰継さんのバレンタインデー話に引き続き

またまたこんなものを書いてしまいましたよ〜

永泉さんファンの方、本当にごめんなさい。

つい出来心です。<(_ _)>

あっ、ああーっ、石投げないで〜

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