初めての・・・・

 

遙かな時空の彼方からやってきた泰継にとって初めてのバレンタインがやってきた。
応龍の力によって陽香の世界の知識は植え込まれていた。
泰継は陰陽師の傍ら某大学の薬学部に通っていた。
モデル並の容貌を持つ泰継当然のことながら・・・・・・。


「あの・・・」
「安倍さん、これを・・・。」
ここぞとばかりに女子学生が泰継にチョコを渡そうと取り囲むが、泰継は一言だけこう言った。
「私には待っている人がいる。」
そういってすたすたと去っていく泰継、あとに残ったのは固まって動けない女子学生だけだった(笑)



そのころ陽香は泰継と初めてデートをしたプラネタリウムの前で待っていた。
「喜んでくれるかな、泰継さん。」
手作りのチョコが入った紙袋を大切そうに抱えて待っていると、茶色のロングコートを着た
泰継が近づいて来るのが見えた。
「泰継さん♪」ぶんぶんと手を振る陽香に気が付いた泰継は嬉しそうに近づいてきた。
「陽香、待ったか?」
「ううん、ちょっと前に来たばかりですから。」
にこにこと笑う陽香の手をそっと握る泰継。「そうか・・・では行こうか、陽香。」
「はい♪」
二人は思い出のプラネタリウムでバレンタインを過ごす為に中へと入っていった。




そして席に着いてプラネタリウムが始まると、泰継が陽香の手をぎゅっと握った。
「泰継さん・・・・・・。」
暗闇の中で陽香が顔を向けると泰継の顔が重なってきた。
人工の星空の下でそっと重なった唇・・・・・・。
泰継の唇が陽香の耳元で熱く囁き掛けてきた。
「愛している・・・そしてありがとう、私と出会ってくれて・・・選んでくれて。こうして大切な日が
お前とともに過ごし、傍にいられる幸せを噛みしめることが出来る。陽香・・・私の愛しい人。」
泰継の囁きに陽香は顔が熱くなっていくのがわかった。
「私もです・・・一緒にこの世界に来てくれただけでも嬉しいのに・・・。泰継さん、大好き。」
握られている手を握り返す陽香、暗闇の中でも泰継にははっきりと見える陽香の笑顔。
「バレンタインはまだこれからだ・・・陽香、ゆっくり過ごそう・・・。」
「はい・・・泰継さん。」



プラネタリウムでゆっくり過ごした泰継と陽香・・・その後光溢れる街の中へと消え
二人だけの甘い時間を過ごしていった。





END

 

asato様『Balloon flower

http://www.fuki.sakura.ne.jp/~sei-lan/index.htm

 

[涙のひと言]

asato様のサイトで“2002バレンタイン創作(フリー)”として

UPしてあったものをいただいて参りました。

asato様のサイトの神子ちゃんは“桜井陽香(はるか)”と言います。

かわいい名前ですよね。

多くの女性の申し出を「私には待っている人がいる。」ときっぱり言い

切って去って行く泰継さん。ステキです。陽香ちゃん愛されてます!!

こんな泰継さんと二人っきりのバレンタインデーを過ごしてみたいですわ。

asato様、ステキな創作をありがとうございました。

 

asato様のサイトへは『リンクのお部屋』からどうぞ

 

 

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