なぜ泰明は髪形を変えたのか2


それは、泰明があかねの世界に来てまだ3日目のことだった。
その時の泰明はまだ京にいた時と同じように片方でお団子に結わえたあの独特の髪形をしていた。

その日はあかねから“さんしゃいん”とかいう日本一高い建物にある展望台に行きたいとせがまれ、こうしてその“さんしゃいん”の前で待ち合わせをしていたのである。

約束の時間になってもあかねはまだ来ない。
きっと学校とやらが長引いているのだろう…
そう思って泰明はひとり待っていた。

そのうち、泰明はなぜか先ほどから目の前を通る親子連れたちがこちらを見て、くすくすっと笑ったり、ひそひそと話をしているのに気がついた


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