決戦の朝−頼久1


「泰明様、神子様がお呼びです。」
女房が声をかけた。
「わかった。」

泰明はそう返事をすると控えの間を出て行った。

頼久はほんの少し前、目の前で交わされていたそんな会話を思い出していた。
今日、最終決戦の朝、頼久は誰よりも早く神子のもとを訪れ、最後の戦いでぜひ一緒に戦わせて欲しいと懇願した。畏れ多いとは思いながら、言わずにはいられなかった。それが今の自分にできる精一杯の表現であったから。


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